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第五十五章 愛美、殺人を目撃する

ある日、愛美が彼氏と琵琶湖に遊びに行った帰りに、高速道路を走行中、彼氏が運転する車の助手席から、左横の車の後部座席で女性がロープで首を絞められている様子を目撃した。

愛美は驚いて彼氏に伝え、減速するように依頼した。

犯人は、「やばい、隣の車から見られた。高速道路でもかまうか!後ろに回ったので止めろ!」と車を運転している共犯者に命令した。

共犯は、「殺してしまったのか?こんな場所で止めると、後続車両に死体を見られる。何台も後から来ている。騒ぎになり、すぐに警察がくるぞ。とにかく京都で降りて死体を処理しないとまずい。」とそのまま走行した。

愛美が車両番号を確認すると、京都ナンバーだったので京都で降りる可能性があると判断して母に電話した。

愛美は状況を説明後、「後部座席で首を絞めている男に睨まれたので怖いわ。」と広美に助けを求めた。

愛美は広美の指示で、その車の車両番号が読み取れるようにスマホで車を撮影して、広美のスマホに送信した。

彼氏は、何故警察ではなく母に電話するのだろう?本当かな?と愛美の事を疑っていた。

広美は、緒方一課長に報告後、事情を刑事達に伝えて、車を停車させるように指示した。

西田主任は、後藤刑事と須藤刑事を京都東インターに向かわせて、前田刑事と峰岸刑事を京都南インターに向かわせた。

京都で降りない可能性もある為、高速警察隊にも連絡して容疑車両を捜していた。

犯人は東インターで降りなかったので、愛美は彼氏に東インターで降りるように伝えた。

愛美を疑っている彼氏は、「面白そうだ。このまま行こうぜ。」と愛美の話を本気にしていませんでした。

愛美は、「やめて!降りて!」と助手席からハンドルを握って、降りようとした。

彼氏は、「危ない!」と驚いて、愛美が必死だったので愛美の話を信用して東インターで降りた。

愛美はいまの状況を広美に電話で、「犯人は東インターでは降りなかったわ。私は怖いので、東インターで降りたわ。」と逃げられてホッとしている様子でした。

広美は後藤刑事に連絡して、「後藤刑事、犯人は東インターで降りませんでしたが、愛美は犯人から逃げる為に東インターで降りたわ。愛美の携帯番号を教えるから連絡取って詳しい話を聞いて下さい。」と指示した。

後藤刑事は愛美の携帯に電話して、「愛美ちゃん、今覆面パトカーでそちらに向かっています。緊急走行しているので、パッシングして知らせて。」と愛美と合流しようとしていた。

彼氏は、「本当に殺人を目撃したのだったら、のんきに電話している場合じゃないだろう。」と愛美の考えている事が、理解できませんでした。

前方から、覆面パトカーがサイレンを鳴らして緊急走行してきたので愛美は、「正子おばさんが来てくれたわ。パッシングして停車して!」と伝えた。

彼氏は、「母親の次はおばさんか?」と呆れたが、横からハンドルを握られるかもしれないと判断して、取り敢えずパッシングして停車した。

すると覆面パトカーがUターンして愛美の彼氏の車の後ろに停車した。

彼氏が驚いていると、愛美は車から降りて、「正子おばさん、怖かった~」と後藤刑事に泣きついた。事情を把握した彼氏も安心して車から降りた。

正子は、「愛美ちゃん、彼氏とデート中にとんだ災難だったわね。ところで犯人の特徴を教えて。」と犯人を特定しようとした。

愛美から犯人の特徴を聞いた後藤刑事は広美に、「係長!首を絞めていた男の特徴を愛美ちゃんから聞きました。顔のホクロや傷から指定暴力団銀龍会の浅井文雄の可能性があります。私のスマホに、浅井の顔写真を送信して下さい。愛美ちゃんに確認します。」と報告した。

愛美はスマホの写真を見て無線を取って、「母ちゃん、この男よ。指定暴力団か何か知らないけれども怖いから早く捕まえて!」と広美に伝えた。

広美は、「愛美、詳しい話を聞きたいので京都府警まできて。」と愛美から事情を聞こうとした。

愛美は、ここで彼氏と別れて覆面パトカーで京都府警に向かった。

西田主任が、「手配車両が南インターでおりて、一号線を北に走行しています。九条警察署の志村警部補が覆面車で尾行中です。現在警官隊が現場に急行中ですので、到着次第停止させます。」と全員に連絡した。

その後、志村警部補から、「気付かれました。緊急走行します。」と報告があった。

前田刑事が、「容疑車両を発見しました。志村警部補と追跡していますが、細い道を猛スピードで逃走していて危険です。至急道路封鎖して下さい。」と報告した。

しばらくすれば前田刑事から、「子どもの飛び出しがあり、容疑車両を見失いました。現在志村警部補と手分けして容疑車両を捜しています。」と報告があった。

一時間後、前田刑事から、「容疑車両を発見しました。車内に女性の死体があり、浅井の姿はありませんでした。死体処理の時間がなく、車内に放置して逃亡したと思われます。女性の特徴は、愛美ちゃんが目撃した女性と一致します。愛美ちゃんに確認願います。」と写真を電子メールで送信した。

殺人事件の目撃者として京都府警に来ていた愛美に確認した。

「間違いないわ。この女性よ。私が高速道路で見た時は、まだ生きていたのよ。」と殺人の瞬間に遭遇してショックを隠しきれない様子でした。

愛美が情緒不安定になっている事に気付いた広美は、犯人を目撃している事からも襲われる可能性があると判断して、初美に事情を説明してしばらく預かってもらう事にした。

初美は、愛美に芸者の体験をさせて、芸者になるように説得するチャンスだと判断して愛美をしばらく預かる事にした。

愛美は彼氏の事を心配して電話した。

彼氏は、「大丈夫だよ。幸か不幸か、僕の車の前面のナンバープレートは泥で汚れていて読み取れない。犯人は僕の身元を調べられないよ。しかし、愛美の母親は警察の人だったの?愛美には母親がついているから大丈夫だね。」と愛美を安心させた。

愛美は、「ええ、母は、京都府警捜査一課の係長で、主に殺人事件や凶悪事件を担当しています。」と母の事を伝えた。

広美は、「愛美、そこで少し待っていて。念の為に、おばあちゃんの所に避難しよう。送って行くわ。」と愛美を初美の置屋に避難させる事にした。

その後、鑑識から連絡があり、死亡推定時刻は、愛美が殺害現場を目撃した頃でしたので、愛美が目撃直後、高速道路上で殺害されたと断定して、銀龍会の浅井文雄を殺人罪で捜索したが発見できなかった為に指名手配した。

翌日春駒から、京都府警の広美に着信があった。

「鶴千代姉さん、交番に掲示している、指名手配のポスターの浅井文雄を、お座敷で見たわよ。帽子とマスクとサングラスで顔を隠していましたが、お座敷で外したのよ。今お座敷が終わり出て来たわ。」と広美に伝えた。

広美は、「浅井文雄は殺人犯よ。危険だから、すぐその場を離れて!それと、浅井文雄のポスターが交番に掲示されたのは今日よ。よく顔を覚えていたわね。」と不思議そうでした。

春駒は、「先ほど交番の前で、これは愛美ちゃんが目撃した殺人事件で、鶴千代姉さんが担当している事件よ。と皆で話をしていたので覚えていたのよ。」と説明した。

広美は、「わかったわ。とにかく、一刻も早くその場を離れて。」と春駒が事件に巻き込まないようにした。

「西田主任、浅井文雄が花町の料亭に現れたわ。対応して。」と料亭の名称と所在地を伝えて指示した。

西田主任は他の刑事に伝えて、全員、花町に向かわせた。その後、生活安全課に連絡して、最寄りの交番巡査に向かわせるように指示した。

近くにいた婦人警察官が無線を聞いて、浅井文雄を発見した為、本署に連絡して声を掛けた。

浅井文雄は、「じゃかましい!退け!」とナイフで婦人警察官を襲った。

婦人警察官が、警棒で応戦していると、近くの交番巡査二名が到着して、婦人警察官と協力して浅井文雄を逮捕した。

浅井文雄を連行して取り調べたが、殺人については目撃者の見間違えだと否認した。

念の為に、愛美に面通しさせたが間違いないとの事でした。

西田主任は捜査会議で、「現時点で浅井文雄が殺人犯だとの証拠はなく、愛美ちゃんの目撃証言だけです。今後捜査しますが、容疑車両を運転していた共犯者がいるはずです。愛美ちゃんは現場で浅井文雄と目があっています。唯一の目撃者である愛美ちゃんを襲う可能性があります。後藤刑事、愛美ちゃんを護衛して下さい。母親も協力してくれると思いますので・・」と広美を見た。

広美は、「後藤刑事が来てくれるのであれば、愛美を置屋からうちに戻すわ。」と伝えた。

広美は後藤刑事と置屋に愛美を迎えに行った。

初美は、「あら残念。もう帰るの?」と芸者の体験が数日で終わり、残念そうでした。

広美が、愛美と後藤刑事と帰宅すると隆は、「えっ?ここに泊まるのか?」と嬉しそうでした。

広美は、「何にやけているのよ。後藤刑事は捜査一課の刑事よ。手を出せば現行犯逮捕されるわよ。それに後藤刑事は、警察に就職する前に由紀子さんを助けたのは知っているわよね。由紀子さんに嫌われるわよ。」と変な気を起さないように忠告した。

隆は都合が悪くなったので話題を愛美に変えて、「愛美が襲われる可能性があるのか?だから二人とも拳銃を持っているのか。」と愛美の事を心配していた。

広美は、「そうよ。愛美は殺人事件の目撃者よ。証拠は愛美の目撃証言だけなのよ。愛美が殺されれば証拠がなく、殺人犯を逮捕できなくなるのよ。襲われる可能性は否定できないので後藤刑事を愛美に貼りつかせます。」と説明した。

翌日、愛美が登校途中、車ではねられそうになり後藤刑事が救った。

その車が、再度愛美を襲おうとした為、愛美を心配して、近くで様子を窺っていた広美が拳銃でタイヤを撃ち、運転者を後藤刑事と協力して緊急逮捕して署に連絡して連行した。

取り調べで、「逃げ出した風俗嬢を見せしめのために殺した。」と自供して、銀龍会を家宅捜索して共犯者を含む関係者数名逮捕した。

浅井文雄は、銀龍会から押収した証拠を提示されて問い詰められた。

浅井文雄は、“どうやら密輸船で海外との人身売買の事は発覚してないようだな。ここは大人しく自供して、早く捜査を終わらせよう。”と判断して自供して事件は解決した。


次回投稿予定日は、1月14日を予定しています。

浅井文雄が秘密にしていた人身売買については、女の体を持つ男第三部第二十八章で明らかにされます。

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