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第五十一章 盗撮

愛美から着信があり、「同級生と一緒に家に行くと母親の悲鳴が聞こえて、ゴキブリでも出たのかと思い家に入ると、母親がナイフで刺されて倒れていたわ。驚いて物音をたてたので犯人に気付かれて、同級生と反対方向に逃げると、犯人は同級生を追ったわ。助けて!」と広美に助けを求めた。

広美は住所を聞いて、近くの交番巡査に急行させて、緒方一課長に三係で担当すると報告して、他の刑事達と事件現場に向かった。

愛美はサイレンが聞こえたので、「母ちゃんが来てくれた。」とサイレンのする方へ向かい、覆面パトカーに合図しながら駆け寄った。

広美は愛美に気付いて、「愛美よ。止めて。」と運転している前田刑事に指示した。

広美は愛美を乗せて無線で、「西田主任、事件現場に向かい、指揮を取って下さい。私は愛美の同級生を捜します。」と指示して、愛美の同級生を捜した。

付近を捜していると、愛美の同級生、相良まどかさんが倒れていた。

広美と愛美が駆け寄ると、まだ生きていた為に救急車を呼んだ。

犯人は、パトカーのサイレンで止めを刺さずに慌てて逃亡したようでした。

広美は、覆面パトカーに同乗していた前田刑事に、「犯人は、まだこの付近に潜んでいる可能性があります。返り血を目印に捜して下さい。」と指示した。

西田主任が、「母親は、既に死亡していて、家が荒らされていました。その荒らされ方が、娘の部屋が、一番酷く荒らされていました。現金、通帳、貴金属類は無事なので、空き巣というより何かを捜していたようです。犯人はまだ付近に潜んでいる可能性があります。現在、防犯カメラのチェックと付近の聞き込みを全員で行っています。」と広美に報告した。

広美は愛美を一人にできず、救急車が到着するまで一緒にいた。

その間に広美は、「娘さんの部屋が一番ひどく荒らされていました。貴金属や現金は無事でした。犯人は何かを捜していたようです。愛美、相良さんから何か重要なものを持っているか預かっているような事を聞いた事ない?」と確認した。

愛美は、「そう言えば昨日、カバンの中に見た事のないUSBメモリが入っていたと不思議がっていました。ウイルスが入っていれば怖いので、中身は確認してないと聞いたわ。」と気になる事を広美に伝えた。

やがて救急車が到着して、救急車には愛美が乗って行き、広美も捜査に合流した。

    **********

その後の捜査会議で、広美は愛美から聞いた事を説明して、「何らかの重要な証拠をUSBメモリに保存して、その隠し場所として、近くにいた女子高生のカバンにスキをみて入れた可能性があります。」と伝えた。

西田主任は、「峰岸刑事、後藤刑事、そのUSBメモリを捜して下さい。須藤刑事、前田刑事、目撃者を捜して、殺人犯を特定して下さい。私は防犯カメラを確認します。」と指示した。

翌日愛美から電話があり、「母ちゃん、まどかちゃんが・・・まどかちゃんが・・・死んだ・・・」と泣いていた。

広美は、「大丈夫?確りして。」と愛美を心配していた。

愛美は、「まどかちゃんの父親に挨拶して帰ります。」と落ち込んでいる様子でした。

しばらくすると隆一から着信があった。

「愛美が襲われた。犯人は俺が追い払った。愛美は今、病院で手当てしている。」と連絡があった。

「愛美は大丈夫なの?」と愛美の心配をしていた。

「左上腕部を刺されたが、外科医の説明では軽傷で、入院の必要はないそうだ。」と広美を安心させた。

「隆一、犯人の顔は見た?」と動機から犯人を特定しようとして確認した。

「ああ、俺も愛美も見たよ。愛美の話では、相良さんを襲った犯人らしい。モンタージュ写真作れるよ。」と犯人逮捕に協力しようとした。

「襲われる可能性があるわ。刑事に向かわせるので病院で待機していて。」と二人の事を心配していた。

    **********

広美は事情を他の刑事達に伝えた。

西田主任が、須藤刑事と後藤刑事に、「モンタージュ写真作成の為、二人を病院に迎えに行って下さい。今後の護衛は、生活安全課に依頼します。後藤刑事、愛美ちゃんから、USBメモリの事を詳しく聞いて下さい。」と指示して病院に向かわせた。

隆一と愛美の協力で作成したモンタージュ写真を確認した西田主任は、空き巣常習犯の江藤正に似ていた為に、江藤の写真を見せると、二人とも愛美を襲った犯人で、まどかちゃんを殺した犯人に間違いないと証言した。

刑事達に事情を説明して、至急江藤を捜すように指示した。

翌日南区の廃工場で男性の遺体が発見され、所持していた免許証から三係が捜している江藤正だと判明したと連絡があり捜査員たちは現場に急行した。

西田主任は、「黒幕がUSBメモリを入手しようとして、空き巣常習犯の江藤に依頼した可能性があります。女子高生の自宅を捜しても発見できなかった為に、その女子高生を襲っても発見できず、一緒にいた係長のお嬢様の愛美ちゃんを襲った可能性があります。愛美ちゃんを襲うと隆一君に阻止され、失敗して顔をみられたので口封じされた可能性があります。黒幕の手掛かりはUSBメモリだけです。後藤刑事、USBメモリの事を愛美ちゃんに確認しましたか?」と黒幕より先にUSBメモリを入手しようとしていた。

後藤刑事は、「はい、確認しました。正体不明のUSBメモリで変な事件に巻き込まれたくないので、父親に事情を説明して渡したと亡くなったまどかちゃんから聞いていたそうです。」と報告した。

    **********

初美から着信があり、「相良さんからご指名よ。捜査で忙しい事は解るけれども、娘さんから鶴千代を推薦されていたそうよ。その娘さんが殺されたので、どこで鶴千代の名前を知ったのかなど、話を聞きたいそうよ。その娘さんの名前はまどかちゃんです。その事件を担当しているのであれば、是非話を聞いてやって。」と依頼された。

広美は、「引き受けるわ。」とUSBメモリを入手しようとしていた。

広美は、「相良まどかさんの父親、啓太さんから、お座敷の声がかかりました。USBメモリの事を確認するわ。」と刑事達に伝えた。

お座敷で相良さんは、「娘が鶴千代さんを推薦していました。娘と知り合いですか?」と娘と鶴千代との関係を知りたそうでした。

広美は、「ええ、娘の同級生です。まどかさんが怪しいUSBメモリを父親に渡したと聞きました。知り合いの警察関係者に調べて頂きますので預からせて頂けませんか?」と問題のUSBメモリを入手しようとしていた。

USBメモリを受け取った広美は、「もし誰かにUSBメモリの事を聞かれると、鶴千代に渡したと伝えてね。」と犯人が接触してくる可能性があり、下手に隠しだてすると相良さんが危険だと判断して、犯人に逆らわないように警告した。

    **********

その夜、相良さんから置屋に着信があり、「先ほど帰宅途中、柄の悪い男性に先日のUSBメモリの事を聞かれましたので、依頼されましたように鶴千代さんに渡したと伝えましたが本当に大丈夫ですか?」と広美の事を心配していた。

広美は、「警察官と一緒にいますので大丈夫ですよ。」と安心させた。

広美は事情を西田主任に説明して、「今から芸者姿で外出します。」と伝えた。

刑事が行くまで待って下さいとの依頼に、「大丈夫よ。」と置屋にいれば、犯人に襲われた時に他の芸者や母に危害が及ぶ恐れがあると判断して、犯人をおびき出す為にも外出した。

その夜は襲われなかった為に翌日、「西田主任、これが問題のUSBメモリよ。中身を確認して。」とUSBメモリを渡した。

西田主任はUSBメモリを確認して、「誰かを撲殺している動画のようです。科捜研に詳しく鑑定依頼します。」と全員に伝えた。

数日後、科捜研から、撲殺の被害者と加害者の鮮明な映像と、場所、時間が特定され、恐らく被害者は、重傷を負ったか死亡した可能性がありますと報告があった。

西田主任は、「須藤刑事、前田刑事、被害者と加害者を特定して二人の関係を調べて下さい。峰岸刑事、後藤刑事、動画で撮影されていた場所を鑑識と協力して捜索して手がかりを捜して下さい。」と指示した。

    **********

翌日捜査会議で須藤刑事が、「被害者は、先月から行方不明になっていて家族から捜索願が提出されていた石川紀夫さんです。」と報告した。

前田刑事が、「加害者は、黒のフードを被っていた為に、氏名、年齢、性別は特定できていません。体型から女性のようにも見えますが断言できません。」と報告した。

後藤刑事が、「現場で血痕が付着したイヤリングが発見され、現在科捜研で鑑定中です。」と報告した。

西田主任は、「被害者は死亡している可能性が高いです。前田刑事、須藤刑事、死体を捜して下さい。後藤刑事、イヤリングを購入した人物を捜して下さい。峰岸刑事、事件現場に他の証拠はないか鑑識と引き続き捜索して下さい。」と指示した。

翌日後藤刑事から、「イヤリングの購入者が山根小枝子と判明しました。これから山根さんに会いに行きます。」と報告があった。

西田主任は住所を聞いて、「相手は女性ですが殺人の疑いがある女性です。峰岸刑事に向かわせるので合流して下さい。」と指示した。

    **********

二人で山根に会い後藤刑事が、「このイヤリング、あなたのものですか?」と確認した。

山根がイヤリングを取ろうとした手に、ナイフを確認した峰岸刑事が、「危ない!」と後藤刑事を庇った為に峰岸刑事が刺された。

山根は逃亡し後藤刑事が、「峰岸刑事!大丈夫ですか?」と峰岸刑事を支えた。

峰岸刑事は、「何している!俺の事は良いから、追え!」と指示した。

峰岸刑事は腹部をハンカチで押さえて、携帯で西田主任に報告した。

西田主任は覆面パトカーで向かいながら無線で、須藤刑事と前田刑事に緊急連絡して向かわせた。

山根は車に乗ろうとしていた女性を突き飛ばしてキーを奪い車で逃走した。

後藤刑事は、車の色、車種、車両番号、逃走した方向を被害者に確認して無線で連絡した。

後藤刑事が被害者から、「私の車には、ガソリンが殆ど残っていません。」と聞いて、無線で追加連絡した。

西田主任が山根の奪った車を発見して、赤色回転灯を点灯させて、「こちらは京都府警です。前の車、左によって停車しなさい。」と呼び掛けたが、停車する様子はありませんでした。

西田主任は無線で現在位置を連絡して追跡していると、山根が奪った車がガスケツになり止まった。

車を乗り捨てて逃亡する山根を西田主任が追跡していると、前から、須藤刑事と前田刑事が覆面パトカーで到着した。

挟み撃ちにされた山根は、「来ないで!殺すわよ!」と血痕が付着している刃物を構えた。

刑事達は警棒を構え、「馬鹿な真似はやめなさい。」と山根に迫った。

山根は二人より一人の西田主任を襲って逃亡しようとして、西田主任に襲いかかった。

西田主任は、警棒で刃物を叩き落として、「殺人未遂の現行犯で逮捕します。」と逮捕した。

    **********

取調室で西田主任は証拠のイヤリングを提示し、「石川紀夫さんはどこにいるのだ?」と問いただした。

山根は、「石川紀夫?誰ですか?その人は。」と惚けた。

西田主任は動画を見せて、「お前が殺した人だ。」と睨んだ。

山根は、「この殺している人が私だとでもいうの?フードで顔が隠れて誰かわからないじゃん。」と惚けた。

西田主任は、「あなたが購入したイヤリングに付着していた血痕のDNAが、石川紀夫さんのDNAと一致しました。」と問い詰めた。

山根は、「あ~あ、遺体も隠して折角上手くいったと思ったのに、そんなところにイヤリングを落としていたのか。」と諦めて自供した。

山根の自供から、岩倉の山林を捜索して、石川紀夫さんの遺体を発見して、山根小枝子を殺人と死体遺棄で逮捕した。

西田主任は、「何故殺した?」と殺害の動機を確認した。

山根は、「私、あいつからお金借りていて、返せないのだったら体で返せ!と服の中に手を入れて、私のオッパイ揉んだのよ!突き飛ばすと、金返すか体で返すかどっちだ?と襲ってきたので、近くに落ちていた鉄パイプで殴ると頭を抱えて倒れたのよ。その後、夢中で何度も殴ると動かなくなったのよ。」と最初から殺すつもりではなかったと主張した。

西田主任は、「本当か?夢中だったにしてはフードで顔を隠す余裕があったな。」と計画殺人を疑っていた。

山根は、「争っていた時に偶然になった事よ。」と計画殺人を否定した。

西田主任は、「まあいいだろう。女子高生親子を襲ったのは何故だ?」と質問した。

山根は、「あいつが動かなくなったので我に戻ると、隠れてタブレットで撮影してUSBメモリに保存している男に気付いて、後を追ったのよ。その男を捕まえても、USBメモリはなかったわ。途中で女子高生とぶつかっていたので、その女子高生を捜し出して、USBメモリを捜していたのよ。」と自供した。

西田主任は計画殺人を疑って捜査したが立証できなかった。


次回投稿予定日は、12月27日を予定しています。

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