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再会

まただよ、同じ話を連続で投稿してしまっていました。


本当に申し訳ないです。

この森に、私たち以外の人間は存在しない。

そう言い切るラディリエの目は自信に満ち溢れていた。

普段の彼女では、ここまで自分に自信を持つことはできなかっただろう。

それを可能とすることができたのは、やはりネイデンさんのおかげだった。


「…この森には敵の魔術師も魔物もいない。なら……これは自然現象?」


信じられない言葉が紡がれ、ラディリエは頭を左右に振る。こんなものが自然現象であってたまるものか。


「ここに生物はいない……でもこの現象を起こしたものがある。」


それは明らかな矛盾、常識的に見れば間違いだ。

しかし…ラディリエは自分の仮説を信じる。

それがネイデンさんの残した言葉の意味だから。


『自分を信じてみないか?』

「…信じるよ、自分の仮説を。」


私が信じた人が、私を信じてくれるなら。


『自分の魔術に自信を持ってみないか?』

「……自信なんてないけど、今回ばかりは信じてみるよ。」


私が信じた人が、私に託してくれた言葉。


『ありのままを見ろ』


それが意味するものが何なのか、正解はわからない。

それでも、言いたいことが何なのか大体はわかる。


「……ネイデンさんはこの現象の秘密を知った。だから私との通信を切られたのよ。…一体、ネイデンさんはこの現象の秘密をどうやって知ったの?」


持っている情報は一緒、なら…私とは違うところにネイデンさんは目をつけたはず。


「…でも、そんなのわかりっこない。」


ネイデンさんがこの現象のどこに目をつけて、どうやって秘密にたどり着いたのか。

ラディリエの思考はどんどん加速していき、ぐるぐると回っていく。


まるで迷路に迷ったみたいにその思考は抜け道を見つけることができずに永遠と回り続ける。



「……いや、ダメよ。ネイデンさんは『私を信じろ』って言ってたのよ。」


そんな出口を失った思考を止めてくれたのは、やはりネイデンさんだった。


「私を……私の魔法を信じる。」


考えろ……さっきのようなネイデンさんの見つけた【答え】を探すような考え方じゃ『答え』はわからなくなってしまう。


…考えるべきは、【答え】じゃない。



「考えるべきは、ーーーーー。」







緋色に輝く洞窟、ヒヒイロカネの森の中心にあるそれの中には一体の怪物。


「…下等種族がうろついている。」

その重低音は洞窟内を揺らすような重苦しい響きだった。


あの貴族みたいな服を着た男はこと怪物を見た瞬間、一目散に逃げ出していった。

怪物は彼を追うことはしなかった。

…そもそも、彼に注目することすらしなかった。


そして今、目の前に倒れている1人の女。

目に付いたので洞窟に入れたはいいが、すぐに気を失ったようだ。


「……以前多くの人間どもが侵入してから80年余り、人間どもがここに目をつけてもおかしくはないか……邪魔になってきたな。」

餌に群がるハエ供が、この地を荒らしに来る。怪物にそこはかとない怒りの炎が燃え上がる。


「そんなにこの森が気になるなら…いいだろう、存分に探るがいい。」

怪物は圧倒的自信と余裕を感じさせる声色でつぶやく。


その時だった。


ヒュンッ!!

鞭が高速で振るわれたような音が聞こえた。

そして、キーーーンという甲高い音が響く。


怪物の体表を覆う紅い鱗が鋼糸を弾いたのだ。


「……誰だ、貴様。」

弾かれた鋼糸が意思を持ったかのように侵入者の手元に戻っていく。


「誰だと聞いている!」

「………。」


怪物の問いに答えない侵入者。

背はさっきの女より小さい…子供だろうか?

そう考察した怪物はあることに気づく。


「……女がいない。」

さっき倒れていた女の姿が見えない。


「よくやったナナ、ラディリエは無事だ。」

「……よかった。」


よく見てみれば、先ほど攻撃してきた少女の後ろに女を抱えた赤ひげ大男がいた。

怪物は侵入者2人を睨みつけるように観察する。


「……侵入者は2人…いや、3人だな。」

「やはり気づかれるか、洞窟内で隠れるのは至難の技のようだ。」

その言葉とともに侵入者2人の後方から立派な剣を持った男が現れる。

隠れていたようだが、怪物の索敵能力にかかれば見つけるのは容易い。


「お前らをここに連れてきた覚えはないが、どうやってここまで侵入してきた?」

「そうだな…正直言って偶然だった。」

「…ネイデンさんに、感謝。」

剣を構えたシュビネーさんとナナがお互いを見て笑い合う。


「…なるほど、人間は邪魔になりそうだと言う私の見解は間違いだったようだ。」


怪物はそう呟き、3人の侵入者を見る。

1人は魔剣を構え、鋼糸を右手に忍ばせた少女。そして立派な剣を持った貴族風の男。


この2人はあまり脅威に感じない。

かと言って、赤ひげの大男もさして脅威ではない。

怪物には3人を圧倒できる自信とそれに見合った力を持っているという自負があった。


しかしだ、ここまで人間が侵入してきたのは初めてのことだ。


「邪魔になりそう…じゃあないな。」

怪物は3人を見据え、そして見下す。



「邪魔だよ、下等種族。」


圧倒的な自信と余裕、それを感じてなお下等種族は堂々と立ち向かう。


赤ひげの大男は好戦的な笑みを浮かべる。

「かかってこいよ、ドラゴン(トカゲ野郎)。」

ミスのない投稿を心がけていきます。

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