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真実の片鱗

皆さま、七夕はいかがお過ごしでしたか?

彦星と織姫に倣い恋人とイチャイチャしましたか?

家族の方と一緒に短冊に願い事を書いて一家団欒を満喫されましたか?


……私ですか?

いつも通りご飯食べて寝ました。

「私自身の魔力に干渉された形跡はない、つまり幻惑系の魔術じゃない…。」

ラディリエは魔術的な面でこの現象の謎を解明しようとしていた。


しかし、あらゆる推測もたった1つの事実によって真実になることはなかった。


「そもそも、私以外の魔力の動きが一切ない。というか私の魔力以外に魔術を発動できるような量の魔力が存在しないのよね。」


ラディリエ以外の仲間が消え、特定の物体に触れることができなくなるこの現象。

それが魔術以外の『何か』で引き起こされているというのか?


「……そんなチカラ、わかるわけないじゃない。」


当然、そんな都合のいい力なんてラディリエは知らない。

だからこそ、自身の理解の及ぶ魔術でこの現象を徹底的に調べ上げる。


外国の言葉を自国の言葉に翻訳して理解するように。


ラディリエはがむしゃらに調べ続ける。




その頃、ナナはテントの中に置いてあるものに片っ端から触っていた。


…そう、触れるのだ。

寝袋も、ランプも、片付けられた食器にも触ることができる。


これらは鋼糸や人形と何が違うのか、それがナナには分からなかった。

そして、違いを知る術も分からなかった。


これならば、いっそのこと明確な敵に襲撃される方がわかりやすくて良いのに。


…ついそう思ってしまうが、敵らしい気配は存在しないし現れる気配もない。


「……どうしようもない。」

そんな言葉が無意識に紡がれてしまうほどにナナは絶望していた。



さて、そんな中でも5人いれば誰かは奇策を思いつくもので。

ある天才はこの現象の真実に少しずつではあるが近づいていた。


「…これは、やはり魔術。そうとしか考えられない。」


そう、この現象を魔術的側面から捉え、ひたすらに考えを張り巡らせた人物。


それは、ネイデンだった。


彼はラディリエやエレン程の魔術の才なんて持っていない。

帝国の宮廷魔術師に劣るとも勝らない程度の実力。

はっきり言って魔術師の中級クラスだ。

ギリギリ一流を名乗れると言えば分かりやすいか。


しかし、なぜこの現象の真実を知るまでは行かなくとも、その片鱗を覗くことができたのか。

それは、運が良かったからではない。



彼が戦闘経験の浅い貴族だからだ。


彼の頭脳が優れているからでも、魔術師として優秀だからでもない。

ただ、貴族だったからだ。


王国騎士団の団長であるシュビネー

冒険者ギルドの受付嬢であるラディリエ

元帝国最強であるミルド

幼少から暗殺訓練を受けたナナ


彼らとネイデンは根底から考え方が違った。


ネイデン以外の4人はこの現象を『敵の攻撃』として警戒し、その対処を考えた。

それはもちろん正しいことであり、他の冒険者や騎士団員もこの状況に陥ったらそうするだろう。


しかし、ネイデンはそんな基本を知らない。

彼はこの現象に陥った時、まず混乱した。

そして恐怖し、皆を探してまわった。


彼が落ち着いたのはそれから10数分のことだ。

彼はこの現象を『この現象』として捉えた。

敵の攻撃としての意図や魔物の攻撃としてではない。

現象そのものの謎を調べたのだ。


彼は貴族だ、戦闘経験なんて頭脳戦のチェスしか知らない。

相手の攻撃の意図を探ったり、魔物の特性や狩りの方法なんて知らない。


だからこそ、純粋にこの現象自体を観ることができたのだ。


ただ見るのではなく、よく観て。

ただ知るのではなく、よく識り。


彼は秘密の一端に辿り着く。


「なぜ魔力の反応がないのか、それは既に魔術という『現象』として成り立っているからだ。」


当然のことだが魔術には魔力を使う、その際には魔力の反応がある。

しかし、一度魔術として完成したものに魔力の反応はあまり感じられない。

それは既に魔術として完成しているのだ、魔力はもう感じられない。


鉄で剣を作る時、作っているときは鉄と呼ぶが、完成した剣を鉄とは呼ばないように。

ラディリエたちの魔力感知に魔術は含まれていないのだ。


そう、これはもう魔術として完成している。

この現象で完結しているのだ。


テント周辺から離さず、一部のものに触れることができなくなるだけ。


……ただそれだけの魔術。


それ以上の効果はないのだ。

では、一体なぜこんな魔術が発動した?



一体誰がこんな魔術を使った?


そもそも、なぜこんな魔術を使う必要があった?


「……分からないことが多すぎる。」


真実には、まだ遠い。

1話ごとの文字数が少なくなっている?



初期の頃と比べると多いんですがね〜。

どんどん上がるハードルは嬉しいんですが…。

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