真実【2】
はい、体調が優れない携帯充電器です。
最近はカモミールしか飲んでいません。
オススメのハーブティー誰か教えてください。
シェリアは先ほど体験した現象をアンナに伝えた。
「…つまり、私が玉座の間の扉を開けた瞬間にカレン王女の部屋に転移し、そこで戦闘になった…ということですか。」
「しかも、あなたは突然攻撃されて致命傷だったわ。」
アンナはその話を聞き、真剣にその現象について考える。
「…おかしいですね。」
「…どこがおかしいの?何かこの現象について思い当たる節があるのかしら?」
アンナはシェリアの方を見て真剣な表情で言った。
「……カレン王女の幻惑魔術は、そう簡単には解けませんよ?」
その瞬間。
グニャリと空間全体が飴が解けたように歪む。
「あ……また…。」
世界が変わる。
異質で、歪に、前後左右上下の景色が混ざり合ってシェリアは方向感覚を失う。
「……あれ、ここは。さっきと同じ廊下…。」
気がついた時には、シェリアの周りからアンナが消えていた。
しかし、先ほどのアンナはシェリアに十分なヒントを与えてくれた。
「……幻惑魔術。」
魔術の中でも珍しい部類に入る精神干渉系の魔術で、使い手はあまりいないが…カレン王女がその使い手なら今までの、そして現在の状況にも納得がいく。
しかし…それならそれで問題がある。
「今の私…かなり無防備な状態じゃない?」
そう、現在シェリアが幻惑魔術に掛かっているのなら、シェリアは眠っているのと変わらない状態になっている。
敵地のど真ん中で眠っているのがどれだけ危険かは説明する必要はないだろう。
そして、もしもアンナがシェリアと同じ状況になっているのなら、2人して敵地の真ん中で抵抗できない状態を無防備に晒しているのだ。
「……不味いわね、一刻も早く魔術を解かないと。」
しかし、どうしたら幻惑魔術を解くことができる?
幻惑魔術はその希少性ゆえか対処法が周知されていない、そもそも対処法を知っていなければならない状況が無いのだ、覚えるだけムダと学園でも教えない学年すらある。
……また、打つ手なしか。
【お前は 諦めるのが早いな】
「……あ、また…。」
声が聞こえる、以前よりもはっきりと。
【絶望することは無い お前には私が】
その懐かしい声は、シェリアの心に深く染み渡り、絶望を、悲観を、緊張を和らげる。
そして彼女の心に希望の光を放つ。
【この強壮で偉大なるウォルト・ウィルモットが お前の絶望を掻き消そう】
パキンッ
瞬間!ガラスがひびが入ったような音が響き、シェリアの世界がバラバラに砕け散る。
そして、目の前が白い光で埋め尽くされた。
カレン王女は、目の前でうつ伏せに倒れているシェリアと、それを心配そうに抱きかかえているアンナを見てため息をつく。
「はぁ、ネリアナ。本当に投降しないの?」
「…ええ、私の独断で決めるわけにはいきません。」
カレン王女は、アンナがキールズ王子を縄で縛りあげようとシェリアから少し距離をとった一瞬でシェリアを幻覚の世界に閉じ込めた。
つまり、縄についてアンナに質問した時には既にシェリアは夢の中だった。
…証拠に、キールズ王子は縛られていない。
そして、事実上シェリアを人質に取ったカレン王女はアンナに降参するように持ちかけた。
……しかし、アンナは降参することなくシェリアを抱いてカレン王女から離している。
「…キールズお兄様は無事だし、父上が負けるわけない。消えた近衛兵たちもじきに戻って来るはずだし、あなた達に勝ちは無いわよ?」
「希望的観測が多いように思いますけど?」
「それは、あなたも同じことでしょう?」
アンナが笑い、カレン王女が眉をひそめる。
「いえ、シェリアお嬢様はすぐに目を覚ましますよ。私が起こす前に目を覚ました事だってある方ですから。」
「ふふ、そうだったら良いわね。」
カレン王女がそう言い、アンナに近寄る。
アンナはそれを見て距離を取ろうと動く。
「その前にネリアナ!あんたを夢の世界にご招待してあげるわ!」
カレン王女がいざ魔術をかけようとしたその時!
「【夢の世界は 一体どこにある ?】」
突如シェリアの声が聞こえてカレン王女の足が止まった。
「……え、なんで!?」
驚いたカレン王女は、とある事実に気がつき恐怖した。
前進したはずのカレン王女は、いつのまにかシェリア達から遠ざかっていたのだ。
どんどんと2人から離れていく……廊下が長くなっている?
いや、むしろこれは……なんなんだ?
「【夢を見ているのは 一体どちらだ?】」
新作の設定が煮詰まってきたので同時進行の投稿を少し考えている携帯充電器です。
さすがに一気に二つの作品の同時投稿は辛いので曜日で分けようかな?
……そもそも不定期更新なんだけど。




