表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/116

真実【1】

ちょっと今回は何部かに分けます。

カレン王女へ挑発的な言葉を投げたは良いが、彼女がなぜ無事なのかは分からなかった。

たしかにカレン王女は氷で身動きを封じられ、頭に氷の剣を突き刺されたはずだ。


なのになぜ氷に覆われたカレン王女の隣に無傷のカレン王女が座っているんだ?

「まぁ、また氷漬けにすれば良い!」

また無傷で出てくるなら出てくれば良い、カレン王女が無傷で出てくればくるほどそのタネを暴くチャンスが増える。

周囲に氷の矢を大量に生み出す。

「…これでの能力の秘密を暴いてやる。」

カレン王女はその氷の矢の量に苦笑いを浮かべる。


……なんてことはなく。

「あら、それはさっき見たわよ?」

「なっ!?どうして!」

カレン王女が右手のひらをシェリアに向けてかざした瞬間。


シェリアの周囲に展開されていた氷矢が消えた。

音も無く、なんらかの前兆もなく。

ただただ一瞬で、幻のように消滅した。

「ほらほら、どうしたのかしら?さっきまでの威勢が嘘みたいじゃないの。」

「…なら、これならどうよ!」

またシェリアの周囲に氷の矢が展開されていく。


しかし、先ほどと違う点が1つ。

氷の矢が生み出された瞬間からカレン王女に向かって飛んでいき、空いたスペースにどんどん氷の矢が生み出されてまた飛んでいく。

数と速さを重視しての攻撃、先ほどの様子見とは違う。

カレン王女は氷の矢を炎の矢で相殺していく。


「これなら矢を消す暇なんてないでしょ!」

シェリアは威勢よくカレン王女に向かってこれでもかと氷矢を射出していく。

……しかし。

「……あるわよ。」

カレン王女に向かっていった氷の矢が、シェリアの周囲に展開された氷の矢が、全て消えた。

残った炎の矢がシェリアに向かって飛んでくる。

シェリアは避けることも相殺することもできずに矢を受けてしまう。

右足の脛、顔面を庇った左腕に矢が刺さり傷口を焼く。

「くっ……。」

「うふふふ、痛そうねぇ〜泣いても良いのよ?」

「うるさい!」

笑うカレン王女に氷の矢を放つ。

「あらあら、口が悪いわよ。」

しかし、カレン王女は冷静に氷矢を消す。

そしてお返しにと炎の矢を放ってくる。

「くうっ……。」

氷で壁を展開し、炎の矢を受け止めようとするが。

「それを許すと思う?」

すぐさま壁を消されてしまい、炎の矢がシェリアの右肩と、左腕に2本目が突き刺さる。

「…う、うぅ……。」

シェリアの目に涙がにじむ。


アンナは未だに背中の傷が深く意識すらたしかではなく、どう見ても加勢に来てくれるような状態ではない。

その上魔術は全て消され、逃げることも立ち向かうこともできないこの状況、もう手の打ちようが無いじゃない。


【諦めるのか ?】


シェリアが絶望しかけたその時。


【ここで 諦めるのか ?】

懐かしい声が聞こえた。

前にも聞いたことがあるような気がする。

「……あ、あなた…どうして?」

カレン王女がなぜか驚いた声を出しているがシェリアはなぜ驚いているのかわからない。


「シェリアお嬢様!」

アンナの声が聞こえた、しかしシェリアの体は動くことなく魔術陣を展開する。


【諦める必要などない 私が付いている】


その魔術陣からは3本の氷の矢が生み出され、カレン王女に飛んでいく。

「くっ…どうして!!」

カレン王女は焦った表情で右手をかざす。

その瞬間、氷の矢は音も無く消える。


…はずだった。

しかし氷の矢は消えることなくカレン王女に向かって飛んでいき、カレン王女の右足、右肩に突き刺さる。

残りの1本はカレン王女の背後にある壁に突き刺さり、パキンッと何かを破壊した。


そして、世界が変わった。


「…ここは、さっきの廊下?」

謎の声に意識を奪われていたシェリアがここでようやく覚醒する。

辺りを見渡すと、そこは先ほどのキールズ王子と戦っていた廊下だった。

「シェリアお嬢様!大丈夫ですか?」

そして私の目の前で私の両肩を持って心配そうにこちらを見ているアンナの姿。

「…え、アンナ…傷は?」

「傷…なんのことでしょうか?」

そう言うアンナを見てシェリアは自分自身を見る。

……炎の矢で受けた傷が無い…?

シェリアは嫌な予感がして、辺りをもう一度見渡す。



そこにカレン王女の姿はない。


「…何だったの?」


一体、先ほどの現象は何だったんだろうか?

その真実にたどり着く頃には一体どれだけの犠牲を払うのだろうか?

読者には簡単にわかるのに本人にはわからないアレです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ