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本編70話記念

本編70話突破を記念しての少し遅めの手抜き作品です。

このお話は本編とは全く関係ありません!

ちょっとした二次創作です。

そう、作者本人が作る二次創作です。


シリアスは『ほのぼの』で希釈していますのでご安心を。



【もし、ナナも王国の娘に生まれていたら】


皇室の朝は少し特殊である。

メイドたちが起こしにくるよりも早く起きる少女が、愛しの姉の部屋に侵入するのはメイドたちの中で有名である。


…それを誰も止めようとしないのも微笑ましい。


「ナナお姉様っ!おはようございます!!」

「…うぐっ!?」

少女、シュリエはベットで寝ている姉の上にダイブ…到底国王の娘らしからぬ行動だが、ここでは日常茶飯事である。


…飛び乗られたナナからすればたまったものではないが。


「…シュリエ〜、後でシメる。」

「早く起きてくださいナナお姉様!今日は午前中一緒に散歩してくださるのでしょう?」

ナナの恨み言はシュリエの元気の前では無力である、シュリエが後でシメられることは決定したが、恨み言自体は無力なのだ。


そして、朝早くからの喧騒の犠牲者はナナだけではない。

「…うるさいなぁ、ちょっとナナ!私も起きちゃったじゃない!」

バンっとカレン王女が部屋の扉を開ける。



そこには……。


眠そうなナナの上に馬乗りに跨っているシュリエの姿。

「…あ、カレンお姉様。」

「……うぁ?カレン姉様?」

眠そうなナナと気まずそうなシュリエ。


「…………。」

カレン王女はそんな妹2人の姿を見て、今までの怒りの矛先を失う。

彼女の心情は怒りから『無』に変わっていた。

…私は一体この2人を見てどうしたらいいのだろうか。

カレン王女は表情に出すことはなかったが、かなり困惑していた。


そして、そんなカレン王女のとった次の行動は。


…バタン


扉を閉めることだった。

それは、完全に現実逃避ではあったが彼女が取る選択の中では良い選択だと言える。



そして、そんな姉を見てようやく焦る妹が1人。

「あっ!カレンお姉様!?誤解です!誤解なんです!!」

「……シュリエ、うるさい。」

ナナが自身に跨りながら憐れで虚しい弁明をするシュリエを押しのけて起き上がる。

急に押しのけられたシュリエは「うわぁ!」と驚きの声をあげてベットから転げ落ちる。


結局、誰も何も得することなく騒がしい朝を迎えるだけだった。



「むぅ〜〜。」

「…カレン、シュリエはなぜ怒ってるんだ?」

「……ナナが乗り気じゃなかったからでは?」

「…なんの話だ?」

「……。」


ベットから無情に突き落とされて拗ねているシュリエと未だに勘違いしているカレン王女。

それを見て困惑するキールズ王子。


メイドたちはこの謎の空気感で包まれた3人に朝食を持ってくる。


ちなみにナナは朝が弱いので朝食はもう少し後だ。

それにシュリエが不満を抱いてることはナナ以外では周知の事実である。

家族みんなで一緒に朝食を食べたいというのがシュリエの意見だが、それに仕事が忙しい国王は含まれていないのが残念なところである。


そして、メイドが入ってきた。


「皆さま、本日の朝食はエッグベネディクトとララニアのサラダ、ビーナ鳥のスープでございます。」

「パンは何かな?」

キールズ王子が質問する。

「シシ麦のクロワッサンでございます。」

「コーヒーは、アンデリンかな?それともイリマンジャロかい?」

またまたキールズ王子が聞くが、メイドはスラスラと答える。

「ギボー産のイリマンジャロを用意しております。」


「完璧だよネリアナ。」

「感謝の極み。」

キールズ王子の賛美にメイドのネリアナが頭を下げる。


「…はぁ、めんどくさいお兄様ね。」

それにため息をつくのはカレン王女である。

キールズ王子の質問癖は毎度ながら退屈なのだ。

「カレン…食事は会話を楽しんでこそ美味しいんだよ?」

「質問ばかりするのは会話とは言いません。」

「会話の基本は質疑応答にあると思うんだ。」

「…学園の面接官にでもなります?お兄様の天職だと思いますけど?」

「遠慮しておくよ、受験生が可哀想だ。」

「……自覚あったんですね。」

「…まあね。」


それでもやはり、喧嘩に発展しないあたり彼らの仲は良いのだろう。


そんな3人のいる食堂にガチャっと扉を開ける少女。

「……おはよう。」

「ナナお姉様!」

「…ああ、おはようナナ。」

「……遅かったわね、おはよう。」


3人は少し早めのナナ登場に三者三様の反応を見せる。

シュリエの家族みんな(国王抜き)での朝食は意外と早めに叶ったのだ。



……朝食後、二度寝しようとしたナナにシュリエが散歩をせがむ姿を見かけたカレン王女が苦笑する姿があったとか無かったとか。



そして、渋々シュリエと散歩するナナ。

皇室の庭を歩き回すソレは散歩とは言ってもそれほどの運動量ではない。

「……ねぇ、お姉ちゃん。」

「…なに?」

シュリエの顔は、嬉しそうではあったが、表情に少し影が差していた。


「……お姉ちゃんは、お姉ちゃんなんだよね?」

その言葉の真意はナナに伝わることはなかった。

「……え?」

「…ううん!何でもないよ!」


でも、伝わらなくてよかったのかもしれない。




伝わらなくても、たとえ伝わったとしても。

2人の絆は変わらない。

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