表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/116

定番の

今回はなろうでは定番のお話

結局…露天風呂やサウナを堪能することなく、シェリアに身体中を弄ばれた後…一緒に湯船で戯れているうちにのぼせてしまった。

アンナは私がシェリアの相手をしているうちに逃げた…裏切り者め。

「……うあぁ。」

「…だらしないよお姉ちゃん。」

「…誰の…せいだ。」

「……誰?」

「……。」

私は無言でシェリアを指差す。

のぼせてしまった私は現在部屋のベッドで横になっている…体が言うことを聞かず起き上がる事が出来ないのだ。

「…えへへ。」

「………。」

笑って誤魔化そうとするシェリア。

…不覚にも可愛いと思ってしまった。

「本当に…勘弁して、あんな事…。」

「…あんな事?……どんな事?」

ニヤニヤ笑いながら聞いてくるシェリアに私は無言で睨みつける…シェリアの奴、いつか絶対に仕返ししてやる。


その意思がシェリアに届いたのか、もしくは睨んだためにシェリアも少しまずいと思ったのか…話題を変えようと彼女が口を開く。

「そっそうだ!お姉ちゃん、明日はどこに行くの?」

「……まだ決めてない。」

「ならさ!服屋に行こうよ!」

「…なんで?」

服屋?確かにシェリアの服は王国から逃亡してきた時の使用人みたいな服をアンナが改造した庶民以上貴族未満な中途半端に綺麗で庶民的なだけど…別に問題は……


「お姉ちゃんの服よ!」

「…私?」

問題は私だった。

いや、でも私の服は別に問題ないだろう?

冒険者になった時にタニアさんがプレゼントしてくれた一着と、それと同じような服を二着。

どこにも問題はないと思うが……

「だってお姉ちゃん三着しか服を持ってないでしょう?」

問題があるらしい。

「三着で…別にいい。」

「よくない!」

「…なんで?」

「…その三着、全部男物じゃない!」

「…う。」

そうなんです、男物なんです。

タニアさんが最初にプレゼントしてくれた女物の服のサイズが合わず、その日のうちに急いで買ってきた服が男物で…まぁ私はその方が動きやすいからいいかな?って思ったのでそれを着ていた。

…そして意外と気に入って似たものを二着買ったのだ。

「……動きやすい。」

「でも可愛くない!」

……どうしたらいいのだ。

「お兄ちゃんは女の子なんだからもっと可愛くするべきなの!そんな男物ばかり着てるのはダメよ!」

「はぁ…。」

お兄ちゃんは女の子なんだからって…。

矛盾してるのに矛盾していないという矛盾…。

もう訳がわからない。


その時、規則正しいノック音。

「入っていいわよ。」

それに自然な形で答えるシェリア、それだけでノックした相手が分かる。

部屋を出ていたアンナだ。

ガチャッ

「失礼いたします、例のものを用意いたしました。」

「……例のもの?」

しかし、アンナの手には何もない。

「わかったわ!入れてちょうだい。」

「では……どうぞ!お入りください。」

ん?例のものって……『例の者』ってこと?

そして、呼ばれて入ってきた人は。

「いやぁ、まさかお客に部屋を案内されんとは…人生何があるんかわかったもんじゃありせんなぁ。」

この宿の女将さんだった。……なんで?


理由はすぐに知ることになる。




「こないな娘…おめかしせんことが可笑しなことやねんなぁ…ほれ、この浴衣もお似合いや。」

「イイ!イイわよ女将さん!」

「…しかし、この振袖もナナさんの髪と調和するかと。」

「いや!逆に調和しすぎやね…ちぃとばかし色を外すってのがえぇ。」

「…なるほど。」

「女将!師匠と呼ばせてください!」

「違う!『姉御』と呼びな!」

「わかりました姉御!」


「……死ぬ…もう無理。」


私は今…着せ替え人形になっています。

のぼせて体力がない今!3人の猛者におもちゃのような扱いを受けています。


これも…女将さんと値段交渉という熱い戦いを繰り広げいつの間にか仲良くなっていたシェリアが女将さんの衣服に興味を持ったのがそもそもの始まりである。


初めは女将さんに女物の服を3着ほど用意してもらおうとしていたらしいが…同年代のネルーちゃんを娘に持つ女将さんが大量にお下がりを用意した上、その服で興奮したシェリアの暴走が重なったのだ。

…アンナもなぜかノリノリだし。

なんでも「この系統の服は初めて。」らしい。


かくして、私の着せ替え地獄は始まった。

「この浴衣に合う簪はこの黄色い奴やね。まぁ好みでこんな赤い櫛を挿してもえぇ。」

「…尊い。」

「ではこちらの浴衣には橙色の簪ですか?」

「そうやなぁ…ナナちゃんの髪なら橙よか白の簪の方が映えるんやないか?」

「姉御!白より青の方が映えるかと!」

「…なるほど、良い目をもっとるやないか!」

「ありがとうございます!」

「なるほど…浴衣だけじゃないのですね。」


「…もう寝させて。」

人形の声は聞こえない。


しかも…シェリアは明日、服屋に行こうと言っていたような…。


そして私は、考えるのをやめた。



次の日、考えるのをやめた私はシェリア達の着せ替え人形をとして十分な働きをした。

…こんなもの、暗殺に比べれば生ぬるい!

この言葉を何度も私は自分に言い聞かせた。


その結果、私は数着の衣服を手に入れた。

…その全てが浴衣のようなゆったりとした服だったことは察することができるだろう。


まぁいい、むしろ好都合だ。

私の特技は暗殺術、体と衣服に空間があればあるほど都合がいい。

度がすぎるのはいけないけれど。


ちなみに、私の武器は主にナイフだ。

ナイフ術に関して言えば私はかなりの実力者だと自負している。

ちなみに、大男から貰ったナイフは今でも愛用している。

その他、予備のナイフ3本に投げナイフ6本で計10本のナイフを身体中に隠してある。

シェリアからは呆れられた。

アンナからは何も言われなかったが…。


そして、殺人鬼との戦いで見せた針と糸。

こういう言い方だと裁縫道具みたいだが…ちゃんとした武器だ。

長針は主に投げて扱う、毒をしっかり塗って。

毒は自分で調合した自信作だ。

掠るだけで相手は体の自由が効かなくなる。

この毒の在庫は沢山ある…帝国へ持ち込むのに苦労した。

今は私の道具袋…私が初めて裁縫した袋にしまってある。ガラス瓶だから割れないように最新の注意を払う必要があるが…私が舐めても問題ないので、そういう自爆戦術も頭に入れてあることは秘密だ。

…辛かった、食事に少しずつ毒を盛ってくる『先生』との辛い修行という名の拷問の日々。

…絶対に感謝なんてしてやらない。

後は糸…鋼糸についてだが、これについてはあまりいうことはないだろう、強いて言えばこれを使い出してから大男の作った『手袋』を毎日嵌めることになったという話くらいだ。

この『手袋』がないと鋼糸を使う度に自分の指が切れる。

大男の『手袋』は特別製だ、生半可な刃物じゃ傷1つ付かない…どこかの赤ひげの大男みたいだが、それほど頑丈なのだ。

それに伸縮性、通気性、保湿性抜群!鋼糸を使わなくても毎日使いたくなる一品だ。

…鋼糸じゃなくて手袋の説明になってしまったが…まぁいい。


ともあれ、他にも武器はあるが…主にこの三種類があれば大抵の敵はなんとかなる。


そんな私の暗殺術とこの服は相性がいい。

…意外と気に入ってしまった。


「お姉ちゃん!可愛い!似合ってるよ!」


シェリアのウケもいいし。

着ていて窮屈じゃない…かなり便利だ。



後日、就寝時もこの服で過ごそうとするナナを注意するシェリアをよく見かけるようになったらしい。


なろう小説で服装や武器の説明は定番かなと思っていますが…どうでしたか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ