アダムのように 【As Adam】
タイトルに英語を付け足すのにハマっています。
しかしそろそろ難しくなってきた…
受験を終えた後(3分で終了)、私は馬車でネリアナに文句を言いながら皇居に帰った。
文句を聞いているネリアナはとても嬉しそうだったことは言うまでもないだろう。緊張してるお姿はとても可愛らしかったですと言われたときは顔が自分でもわかるくらいに真っ赤になった。
帰った後、その日の晩に受験を無事に終えたことを祝うパーティーを家族で行った。
こんなことができるのも私の男性恐怖症を緩和するのに尽力してくれた家族みんなのおかげだ。
まだ男の人と会話することは精神力をかなり使うが、それでも笑顔を意識してお父様やお兄様、執事のみんなとたくさん会話を楽しんだ。
…寝る前にネリアナにお疲れ様ですと言われた時はネリアナの読心に驚いた。あのメイドこわい。
そして時はあっという間に過ぎ、学園の始業式。
私にとっては入学式だ。受験にはない緊張を感じる…胸がバクバク言っているのがわかる。
学園の体育館のステージで学園長が生徒たちに挨拶をし、新しい学年になる上での注意や心構えを話している。生徒たちはそれを真剣な表情で聞いている。すごい迫力というか、オーラを感じるのは私がそこにいないからだろうか。
私はアリーナの横で先生たちと一緒に座っている。学園長に名前を呼ばれたらステージに上がって挨拶をするらしい。
王族の娘として、恥ずかしくない挨拶をしなければならない。あぁ…緊張する。
「以上で、私の話を終わります。」
学園長が話を終えた。
………あれ?私の紹介は?
「学園長!学園長!シュリエさんの紹介!」
私の近くにいた先生が慌てて学園長のそばに行って私のことを話す。
「あ…あぁそうでした!皆さんに紹介しなければならない娘がいます。これからあなたがたとともにこの学園で学ぶ同士ですよ。」
学園長が思い出したように私の紹介を始める。
「彼女は病気で療養していましたが、病気が落ち着いてきたので学園に通うことを決意し、試験を受け見事合格しました。3年生からのスタートですが、皆さん快く受け入れてあげてください。それでは、シュリエさん!ここで皆さんにご挨拶をお願いします。」
呼ばれた、私は落ち着いてステージに上がる。
大丈夫、私ならできる。
ステージの上で生徒たちに向かい一礼し、マイクの高さを確認、意を決した。
「皆さん、こんにちは。ラビネンシア国王の次女である、シュリエ・ノレスオリアです。詳しいことは全て学園長の仰った通りです。皆さんとは良好な関係を築いていきたいと思っています。」
そして、また一礼した。
我ながらいい挨拶だと思う。しかし、いつまでたっても反応がない。というか皆ポカンとしているけど…何か可笑しかったのか?
「素晴らしい挨拶ありがとうございます!皆さん!シュリエさんに温かい拍手を!」
学園長がそういうと、生徒たちは慌てて拍手をする。そこで私は自身の失態に気づいた。
まさか…うまくやり過ぎた?
私は今7歳、前世を含めると20歳。
生徒たちとは精神年齢が違う、つまり私の完璧と生徒たちの完璧には差があるのだ。
先生方も私の挨拶に結構驚いてるのが見てわかる。…期待していた挨拶以上の挨拶をしてしまったのか、これでは生徒たちと馴染めないかもしれない…不覚だった。
私の入学式は成功したが失敗した。
それから私たちは教室ごとにバラバラに分かれて、新学期向けての自己紹介や諸注意、教科の説明が行われることになった。自己紹介は私への配慮だろう。早くクラスに向かおう。
私の教室は3年1組だ、1クラス10人ほどの構成で、全部で5クラスある。意外と少ない?
教室に着くと、皆は席に座った。自由席らしい。
そして、先生の到着を待つ。皆無言だ。
ただ、こちらに視線を向けているのが6・7人いる……やはり目立つのかな?
奇異の視線らしきものを浴びながら先生の到着を願うと、意外と早く足音が聞こえてくる。
そして、クラスの扉が開くと中から紅髪紅眼の女性が入ってきた。…この人、あの時の監督官!
「は〜い、これから1組の担任になるカーラよ。よろしく、さっそくだけど自己紹介をお願い。私この学年の担当になるの初めてだから。」
順番は自由でいいよ〜。というので、みんながどうしようか困ってしまった。
「ありゃ、自由はさすがに無理があるか…なら私から見て右前から左に蛇行していこうか。」
先生が救いの手を出した。
…右前、私から!?さっき挨拶したのに!
しかし、挨拶しないという選択肢はない。
私は諦めて席を立ち、挨拶をする。
「シュリエ・ノレスオリアです、これからよろしくお願いいたします。」
「…え〜それだけ?もっとなんかないの?」
先生が文句を言う…なんかって何だ。
「…なんか…とは何でしょうか。」
「うーん…例えば得意教科とか?」
「…得意教科は歴史学です。」
「……。」
カーラ先生が何も言わなくなってしまう。
しかし、すぐに復活した。
「え?…何で7歳で歴史学なんかやってんの?普通そこは算術とか、文学でしょ?ていうか2年生まではその二つだけでしょ?」
「いや…私は学園じゃなく家で勉強していたので学園のことはあまり知りませんけど…。」
「………。」
その後、自己紹介はつつがなく終わった。
そして、諸注意を終えた後教科の説明が行われる…これが私の一番気になっていたことだ。
一体どんなことを勉強するのだろう。
「それでは教科の説明をするわね、あなた達は今まで『文学』と『算術』のみ勉強していたけど。これからは違うの、『歴史学』に『剣術』、『魔術』と『魔術理論』が追加される。歴史学は名前の通りこの国の歴史についての勉強。剣術は…勉強ではないけどこれも大事な授業よ、自分の身を守るための手段だからね。そして魔術と魔術理論。この二つはまとめて『魔術二科目』と呼ぶこともあるし、テストはまとめて一つにされて行われるから注意ね。」
魔術…前世で爺様が使っていたもの。
私たちには教えてくれなかったけれど…理論だけは教えてくれたから、きっと分かると思う。
魔術が使えたら…お兄様のことも探せるのかな?
「以上で、教科の説明は終わり!何か質問がある人はいる?ないなら今日は解散!また明日ね。」
学校から寮に向かい、自分の部屋に入る。
私の部屋は二階の奥、他の部屋と少し離れていて少し…いやかなり広い。そして1人部屋だった。
そう、1人部屋だった。1人部屋『だった』んだ。
「お嬢様、本日はいかがでしたか?」
「えぇ、問題なかったわ。…今までは。」
うん、少し予想外があったけど問題なかった。
けれど…なぜいるのよ、ネリアナ。
「あなた…何でいるのよ。」
「私はお嬢様の従者ですので…。」
「………許可は?」
「取っております。」
なら、問題は無い…のか。
正直、ネリアナがいるのは嬉しい。ベットはちゃっかりと二つ並んでいるし、部屋は無駄に広い。キッチンもあるからご飯はネリアナが作ってくれるだろう。寮のご飯はネリアナの料理より劣る。
…寮生活、思っていたよりあまり変わらない。
アダムは最初の人類、つまり人間の本質とも言えます。人間の本質は純粋で初心だと私は考えています。




