表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/116

あっけない閉幕

連続投稿したので今日は休んでもいいかなと思ったのですが…書きます。


最上階は長い廊下の先に豪華な扉が一つあるだけだった。…豪華だが、私には悪趣味としか思えない代物だ。悪役は総じてこのようなものを好む。


扉には鍵がかかっていないらしい。

鍵がかかっているかどうかはドアノブに触らなくてもわかるよう、『先生』に訓練された。

この先にきっと『ご主人様』と『先生』がいる。

そして、013番と004番…いや、ルミアとアリサも私を待っている。2人も私を殺すように命令されているのだろう。

……私はきっと、いや必ず2人を殺す。

ディーナと同じように、ナイフで彼女を刺すのだ。そう思うと扉を開こうとする手が震える。



しかし、ここで諦めるわけにはいかない。

ここで諦めたって彼女たちは私を殺すまで操られたままだ。そしてその後も『ご主人様』の操り人形として一生を終える。

そんな人生…いや、人生とすら言えないものを経験させるなんて私は許すことができない。

それならばいっそ…ここで私が殺す。


私はそう決意して、扉を開いた。


その部屋は、意外と質素だった。

よくある貴族のシャンデリアは存在せず、壁にある絵画は私の知らない画家が描いたものだろう。

よくある風景画で、決して有名なものではない。

床に敷かれた絨毯は部屋と調和したデザインをしていて、落ち着いた雰囲気を醸し出している。


そんな部屋の奥で私を待ち構えている中肉中背の男が豪奢な装飾で部屋の雰囲気を殺している大きな椅子に足を組んで座っていた。

この人がきっと『ご主人様』だろう。横には『先生』が立っていて、私を見て笑顔を見せた。

そして、彼らを守るように私の前に立ちはだかっている2人がいる。

彼女らは表情を失い、無言で私の前に立つ。


「よくここまでやってきた…青髪は殺したか。」

男、『ご主人様』が私に話しかける。

青髪…ディーナのことだろう、私の怒りが強くなっていくのがわかる。

「ボス、話はそれくらいにしましょう。そろそろナナにも『命令』を与えたらどうです?彼女は利用価値があります。」

『先生』が『ご主人様』に言う。

『命令』?私も操るつもりだろうか、そうはさせない!

しかし、私の予想は裏切られた。

「いや、あいつは裏切り者だ。『命令』で人形にする前にいたぶってやりたい。あの2人をけしかけるなんてどうだ?そのつもりでここまであの3人を持ってきたんだがな!」

『ご主人様』は笑みを浮かべてこっちを見る。

…持ってきたんだ……か。

ここには彼女たちをもの扱いするクズしかいない。もう、ここにいる全員を殺してやる。

『ご主人様』も『先生』も殺す。

操られている彼女たちも殺してあげる。

…絶対に許しはしない。


「2人とも!ナナを殺せ!」

「「……。」」

2人は何も喋らず、私の方に走り出す。

そして、ルミアが私に持っているナイフを振りかぶる。私はそれを危なげなくかわし、彼女の足を払う。それを見てアリサが私の背後に回り、後ろからナイフを突き出してくる。

しかし、それは予測済みだ。

私は彼女のナイフをかわし、彼女の腕を掴む。

「…ごめんなさい。」

私は彼女のナイフを奪い、彼女の左胸に突き刺した。

「…ゴフッ。」

彼女は何も言わず、そのまま倒れる。

そして、それを見たルミアは何も言わず、また私にナイフを振りかぶる。

私はそれをかわそうとしたが。

「『動くな。』」

それは、『ご主人様』の『命令』だった。

ルミアの動きがピタッと止まる。

私もその声に驚き、動きを止めてしまうがすぐに自分でルミアの首を切る。

ルミアの体がゆっくりと倒れる。

「…ごめんなさい。」

「なんだとっ!?」

『ご主人様』が驚きで声を上げる。

私は何かおかしな事をしたのか?

「何故だっ!何故お前が動ける!」

『ご主人様』の声からは先ほどまでの余裕は感じられず、焦りが滲み出ていた。


「ナナの『ご主人様』なんていねぇからだよ。」

それに答える声が一つ。

「っ!?ぐあぁ!」

『ご主人様』の腹にナイフが突き刺さる。

しかし、刺したのは私じゃない。『先生』だ。


『先生』が『ご主人様』にナイフを刺したまま私に話しかける。

「よく頑張ったな、さすが俺が教えただけはある。

お陰でこいつを殺すことができた。」

「きっ…貴様!初めからそのために奴隷を…。」

「俺が買った奴隷は4人だ。」

…それはおかしい、奴隷は私含め5人のはず。

「なんだと?奴隷は5人のはず……私は、確かに奴隷契約書を5枚…ゴフッ、5枚書いたはずだ!」

その疑問は『ご主人様』も同じだったらしい。

しかし、『先生』は笑って答える。

「お前、疑問に思わなかったのか?ナナが任務失敗で帰ってきことに疑問を抱かなかったのか?」

『ご主人様』の顔が歪む。

「…そうか!あの奴隷契約書は偽物だったのか。」

「そうだ、奴隷魔術の効果は絶対。『本部』から、つまり『ご主人様』直々の命令に従わなかったことは本来ならおかしいことなんだ。それに気づかなかったのがボス、あんたの敗因だよ」

そういうと『先生』は『ご主人様』からナイフを抜き、首を切りつけた。

鮮血が舞い、『ご主人様』が椅子から倒れる、

そして『ご主人様』は2度と動かなくなった。


「ふぅ、ようやく終わった。…お前には済まない事をしたな、到底許されることではない。

殺されても文句は言えないだろう。」

『先生』が私に謝る。

「お前を奴隷商で見たとき、こいつだと思った。

男2人に暴力を受けても、お前の目は輝いていた。

そんな風に俺には見えた。お前の子供達を助けようとする精神を、俺は利用できると思った。」

「…利用?」

「あぁ。お前以外の4人の奴隷契約書に混ぜて偽の契約書をボスに書かせる。だからお前はボスの『命令』に従わなかった。そして、お前の子供達を守る意思を利用して暗殺術を仕込む。お前なら志願すると思ったからな。」

「そして、組織の破壊?」

私の考えに『先生』が頷く。

「あぁ、お前を利用した組織の破壊。それが俺の夢だった。」

「『先生』1人でもできた。」

私は素直にそう思った。私を使う必要なんてないと思ったから。それが疑問だ。

「人質がいたのさ。それに俺は顔が知れ渡ってる。少しでも失敗するだけでアウトだ。

リスクが高すぎたんだよ、だからお前を利用して少しでも安全にボスを殺すように仕組んだんだ。

それに俺は警戒されていてな、平常時でも俺はこの部屋に入るときは護衛がつけられる。

だから、お前だ。ボスに『ナナが裏切るかもしれない、奴隷を使って奴を止めたい。命令を仕込んでくれ。』と言って近づき、警備として中の人間を外に出し、お前を待つ名目でここに居座りチャンスを伺った。」

…なるほど、そういうことか。

「つまり子供達は…元から殺すつもりだった?」

それは、なんて残酷な…

「あぁ、1人はお前に反抗心を植え付けるため、残りはボスに護衛の必要性を失わせるために必要だった。」

なんて残酷な肯定なんだ…。


「お前には謝っても謝りきれない。本当に申し訳ないと思っている。だから……」

もう何も聞きたくない。

だから……

「この…がぁっ!?」


もう何も言わないでくれ。

「…ごめんなさい。」

「ぐっ…なんで、謝るんだ。お前はいつもそうだよ…俺が『主人』じゃなく『先生』だと…暗に奴隷として振る舞うなと言ってるのに、お前は気づいてなかっただろう…。本当に、お前は子供のことしか頭になかったな。……済まない事をした。」

『先生』は、ナイフを右胸に刺されて尚私に謝り続けた。『先生』の話は続く。

「お詫びと言っちゃぁ…ガフッ、役不足だが…お前の知ってる…あの鍛冶屋…あるだろ?あそこの店主に『グランディルダガーが必要だ。』と言え。

それで伝わるはずだ。お前の力になるはずだ。」

『先生』は…どうして組織にいたのか。

『先生』は…どうして組織を破壊しようとしたのか。『先生』はどうして………。


疑問はきっと晴れることはない。



私の組織壊滅はあっけなく終了した。


「………ごめんなさい。」

次回、妹の方出すかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ