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乱入

少し筆が捗りました。

キュレーがバケモノの相手をして数分が経った。

その間、キュレーは防戦一方で反撃すらしておらずバケモノが暴れ回るようにキュレーへ攻撃の嵐を浴びせていた。

そのはずなのに、未だにバケモノは疲れた様子を見せず、バケモノの足止めをするキュレーを切り裂こうと襲い掛かる。


「うざってぇ!!」

「ウガァァァ!!」


両者ともに叫び声を上げ、剣と爪が火花を散らしてぶつかり合う。

……防ぐのに専念すれば実力は拮抗している。


しかし…


「はぁ…はぁ……頑張りすぎだろ。」

「……コ…ロス…。」

疲れの表情を見せない化け物に対し、キュレーの息は上がっていた。

明らかに体力で差がつけられている。


「……コロス!!」

「クソッ!」

どんどん動きが鈍くなっていくキュレーに対し、一切の疲れを見せないバケモノ。

攻撃を防ぐのに専念していたキュレーの体にだんだんと傷がつけられていく。


……まずいな。

キュレーは身体中につけられた傷をチラリと見て歯を食いしばる。


「負けないって…言っちまったからなぁ。」

「…コロス。」

キュレーのぼやきを無視してバケモノは飛びかかってくる。


ガキンッ!!


疲れて動きが鈍くなっているはずの体でバケモノの爪を弾き返す。

「教祖様に嘘はつけねぇよなぁ!!」

「ウガァ!!」

体力は限界で、動きは鈍い。傷口からは現在進行形で血が流れ出ている。


それでもキュレーは止まらない。


万全の状態でも防戦一方だったはずなのに

なけなしの精神力だけでバケモノの攻撃を弾き返して攻撃を仕掛けていく。


バケモノからして見れば傷ついて弱ったはずの相手が逆に強くなったように感じているだろう。

……感じる知能があればの話だが。


「おらおら!応援が来るまで遊ぼうぜ!!不気味な顔したクソ野郎っ!!」

「マリョ…ク…ナイ……ジャマ…!!」


その時だった。

ガクッとキュレーの足が急に力を失い、彼女は地面に膝をつけてしまった。


「……ははっ…そりゃそうだわな。」


限界など既にこえていた、精神力だけで戦える状態なんてとうに過ぎていた。

傷ついて逆に強くなるなんて幻想に過ぎない。


…ただヤケクソに暴れていただけなのだ。


バケモノは勝機だと言わんばかりに右手の爪を振り上げてキュレーに飛びかかる。

キュレーもなけなしの力を振り絞り両手の剣で爪を受けようと構える。

……避ける力は既にない。


この攻撃を防いでも…次の攻撃を防げるかはわからない。

…応援が来る気配もない。


「ちぇっ……ここで終わりかよ。」

キュレーはそう言って不満そうに飛びかかってくるバケモノを睨む。


ガギッ と爪を受け止める剣は震えている。


「でもまぁ…こんな終わり方も、オレらしいのかもしれねぇな。」

キュレーが思い出す景色はスラム街、裏路地にある腐った食べ物が放置されている居酒屋のゴミ置き場…通称『豚小屋』。

家のないものはここでゴミに埋れて雨風を凌ぎ、腐った食べ物を奪い合う……幼少期のキュレーもその1人だった。


腹の足しにもならないゴミを奪い合って殴り合う大人に混じり、コソコソと林檎の芯や腐った肉片を拾っては逃げる日々。

夜はこっそりと『豚小屋』の隅の隅で埋もれるゴミもない状態で丸くなって眠る。


自分が女であるなんてことに気を使う余裕なんてなく、人間らしい生活なんて知らないかった。

5年前…ある騎士に拾われるまで、そんな地獄のような生活をしていた彼女に生半可な絶望は通用しなかった。


騎士としての戦闘訓練なんて命をかけて戦うスラム街の喧嘩に比べればチャンバラごっこでしかない。事務作業も覚えてしまえば楽なもので、キュレーは瞬く間に出世していった。


過去を思い返しながらキュレーは動くことなくバケモノの攻撃を防いでいく。


何があっても、たとえ死を覚悟してもキュレーは絶対に『諦める』ことはしない。


スラム街で生きてきたキュレーはどんな敵が相手でも最後まで相手に喰らいつき、死ぬまで離さず逃がさない。

諦めることは敵に自分の全てを蹂躙させることを許すことと同じだから。

逃げることはあっても諦めることはしない。


そして、逃げることができないならキュレーには徹底抗戦しか選択肢は存在しない!



「コロスッ!コロスッ!!」

幸か不幸か、最初は聖国王を追おうとしていたバケモノも、今では膝をついたキュレーを殺すことしか頭にないらしく、動けないキュレーに両手の爪を何度も何度も振り下ろす。


それをキュレーは必死に防いでいくが、どんどん剣を持つ手は弱っていき、ついに右手の剣を弾かれる。


それでもキュレーは左手の剣を両手で持ち、化け物に向かって大声で叫ぶ。

「まだだ…オレはまだ死んでねぇぞ!!」

「ウガァァァ!!」


バケモノもそれに応えるように叫び、右手を大きく振りかぶってキュレーに突進した。


キュレーは剣を構え、じっと化け物を睨む。


応援は来なかった…それを恨む気持ちは全くない。むしろそれで良かったとすら思えた。聖国王を逃した自分がみっともない姿で聖国王の前に立たされてお礼を言われる姿が想像できなかったからだ。


…スラム上がりの騎士団長の最期はこれくらいがちょうどいいさ。


バケモノの右腕が至近距離で振り下ろされる。

ガギッ と金属同士がぶつかり合う音。


それにキュレーは「は?」と惚けてしまう。

それもそうだろう。

自分が構えた剣に衝撃は伝わってこず。

剣の目の前でバケモノの爪が静止しているのだから。

気配を感じて振り返ると、遠くに背の小さな影が見えていた。


…あんな距離からバケモノの爪を止めたのか?


「ナナに言われて来てみれば…面白い奴がいたものだ。」

「……誰だお前!!」


キュレーは突然現れた人物に叫ぶが、返事は返ってこない。


「…マ…マリョクッ!!」


その代わりに、バケモノはキュレーを無視してその人物がいた方向に飛びかかった。



……が、その人物はそこにおらず。


「……無事か?」

「なっ!?お前いつからそこに!」

キュレーの真後ろに立っていた。

近くでその『少女』をみて、さらにキュレーは驚いた。

桃色の髪に桃色の瞳、そして小さいとは思ったが近くで見てみればその背格好は歳の割に小柄なキュレーよりも小さかったのだ。


「自己紹介が遅れたな、私はエレン・オーケス……暇つぶしに来た、ただの魔導士だ。」


その少女は傲慢に、そして不敵にキュレーの前に現れた。

1日は24時間です。


犬は可愛いです。


猫も可愛いです。


薬は苦いです。


先生の話は長いです。


ベットは暖かいです。


何を書いているのか自分でもわからないです。

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