プロローグ
ゆるーく読んでくださったら幸いです。
この世界には「天使」がいる。
それは比喩や信仰上の存在ではなく、実際に存在している。
ごく普通に、当たり前に、時には街中に、時には戦場に、彼らはいる。
彼らに外見的な特徴は見られず、ごく一般の人間と見た目は殆ど変わらない。
しかし彼らには人類を凌駕し超越する圧倒的な力がある。
その力は人類には見られない特異的で驚異的な力や圧倒的な力など様々で、どれも強力なものである。 彼らはその力を使って私達人類を救う。
そのため私達人類は彼らを愛し、尊敬し、崇めている。
また、彼らにはある共通点がある。
まず、彼らに出生の記録は一切存在しない。
出生について尋ねてもはぐらかしたり、存在しない地名を答えたりなどと全く分かっておらず、その一切が謎に包まれている。
さらに子供時代の記録も同様に残っておらず、その理由も不明である。
彼ら「天使」にはある言い伝えがある。
彼らはその絶大なる力を完全に支配し、完璧に使いこなしたとき「神」になりその災厄を瞬く間に鎮め、天界へと旅立ち「神」として私達人類を見守ると言われている。
「神」になった「天使」は天界から私達人類に加護や祝福を与え、世界を護る存在になると言われている。
言われている、という不確実な表現なのは書物という形ではで殆ど残っていないからだ。
残っているのは「神」になったと思われる「天使」がいた記憶と「神」になった瞬間を目撃した仲間の証言のみである。
しかし、証言する仲間は殆どいない。
何故なら彼らが力を完璧に支配する必要など数百年に一度あるか無いかという程の災害や敵との戦闘でしか起きず、またその力を制御するのは非常に難しいとされているからだ。
そのためそのような災厄に遭遇した仲間の殆どは亡くなってしまっている。
勿論、「天使」は「神」にはなっておらず、死んだだけだ、という説を唱える者も少なからずいる。
そして彼らは仲間の証言を「天使」が倒れたことを認めたくなかったため、虚偽の発言をした、と考えている。
だが、そう唱える人々も「天使」が戦闘により死んだ可能性は低いと考えているのが実際のところだ。
「天使」が殺されるということがあり得ないとされているのはそれほど彼らの力が絶大なものであるからだ。
どちらにせよ、私達に真実を知る事はほぼ不可能だ。
何故なら「神」になると、身に着けていた物と共に天界へと旅立つと言われているからだ。
そのため、彼らがいた記憶と痕跡程度しか残されたものは存在しないのである。
せいぜい分かっているのはこれ位の事だ。
さあ、物語を始めよう。
ある戦士の追憶の物語を。
ある天使の始まりと終わりの物語を。