いつものお使いをさせてください(切実)
「かわいそう・・。」
ソージのその哀れみの言葉を聞き、なんとか狩人は精神を取り戻す。
「い、いや全然平気すっよ(震え声)ぜ、ぜひこの勇者ドラゴンがやっての、の・・・の、のけましょう。」
「男の見栄って不幸ね。」
その言葉は狩人に突き刺さり、撃沈してしまった。
その姿に見かねたソージはB5サイズの紙の束をドン!と机に置いた。
それを狩人は見る。
「・・・これは・・?」
「これはクエスト。本来勇者はこれで資金を稼ぐの。」
(今まで俺の反応を見て、もて遊んでいたということか・・・!!ち、ちくしょう・・!)
だが、狩人はクエストというシステムがあることに安心し元気がわいてきた。
(そうだよなぁ~普通あるよな~。クエストをクリアしていって資金を稼ぐ。ここは王道でよかった~(安堵)・・労働なんてやってたらキリがないよなー。・・・さて上から順番に拝見させてもらうと・・)
狩人は上からクエストの紙を確認していく。
「えぇ~と、まず、1枚目。依頼主ナハハ王国市民運動推奨協会@熟女歓迎→連絡先〇〇〇~〇〇〇です。さん。」
「う、うん!?・・・・な、内容は、っと・・えっ~
『サーターアンダギーっていうお菓子がありますよね。今度それをボールとして使用しテニスをしようと思っています。是非新しい競技を・・と思い発明致しました。
セットが終わるたびにかじりましょう。
なお雨天の場合は中止し、卓球に変更となります。
みなさんぜひ、運動して日頃の運動不足、ストレスを解消しませんか?』報酬額10万円か・・。」
(すげぇ、手とかギトギトになりそうだな・・・いやいやまず、食べ物で遊ぶんじゃねぇ!
つーかボールが跳ねないから競技として成立しねぇーわ!!)
「はぁ・・次々。」
狩人は次の用紙を手に取る。
「えぇ~依頼主ハナタレこぞうさん。内容は・・・
『ゴーヤを人のお尻の中へ入れることってできるんですかー?もし入れられるならその姿見てみたいです。』
報酬額30万か・・・。」
(これが純粋の悪意か・・・。恐ろしい。いや、穴に対する人の本能かもしれないなぁ・・・。)
「よし、まだこれだけたくさんあるんだ!次だ次。」
狩人は次の用紙を手に取る。
「えぇ~依頼主YOURTUBERという動画サイトでタイラノハナビで検索、登録お願いします。再生数のためなら何でもやります!さん。」
「内容は・・っと『お恥ずかしい話なんですが・・先日、視聴者様からのリクエストで自分の出した尿を飲んでくれとあったので、それに応え、飲んでみたんです。そしたらですね・・・なんとこれがうまい!!
まんまシークワーサーの味なんですよ。もうおいしくて、おいしくて、促すために水を飲んでは出すというのを繰り返し、2リットルのペットボトルに入れて保存しているんです。それも10本目に到達しました!今度オフ会で視聴者様のみなさんにも振る舞いたいと思います。
このこと自体は嬉しいことなんですが、おしっこがこんな味するって結構ヤバいですよね?
病院いったほうがいいですか?』報酬額497万円か・・・」
「・・・・・・・。」
狩人は何も言わず紙をビリビリに破いた。
そして何かを考えていた。
「あら?次のクエストは確認しないの?まだ、2017枚残ってるけど。」
「ソージさん。俺はもう直感で決めることにしました。」
狩人は残りの紙を裏返し、マジックの時のトランプを選ぶように広げた。
「よし!これだあああああああぁぁぁぁ!!」
そして、2017枚のうち1枚を指さした。
この作品はフィクションです。実在するものとは一切関係がありません。