貧しさもまた行動の糧であるのだ・・・(泣
狩人は城を出た後、ナハハ王国の中心街であるキュウリ市になんとか徒歩で着いた。
市の中を歩いていく。
(集めた情報を整理すると、まずこのナハハ王国の港からハヤシュウ地方に渡る必要がある。
ハヤシュウ地方は俺の元の居た世界の九州地方に当たるみたいだ。
そしてその渡航料金が50万円かかるみたいで・・・一方俺の財布はというと
”勇者にご縁があるように”というナハハ王のありがたい、ありがたーーーーい計らいによって!なんと!
今なら!えぇっ!こんなにも!)
(いや!俺の好感度が多少下がってもいい!クソったれのメタボ野郎の王~♪ 支給されたのは5円~♪
勇者に渡す額じゃねーよ~♪ ねーよ~♪ ねーよ~♪ こんなの宿も泊まれねーよ~♪ ねーよ~♪ ね~よ~♪ f〇〇k you!ピー・・ピーピー・・ピーーーー・)
その後もラップは続いた。
なんとか怒りは治まった。
(ふぅ~・・・そんなわけでとりあえず勇者はお金を稼ぐことにしました。
この世界はモンスターが絶滅危惧種みたいで、ほぼエンカウントしません。
平和です。僕の存在価値がわかりません。魔王という存在価値もわかりません。なんなのでしょう。
ちなみに勇者でも壺を割ったり、タンスをあさるのはダメみたいです。
めちゃくちゃ怒られちゃった!てへっ☆)
そんなことを考えながら、目的地に着いた。
「えーっとここだな。ナハハ王国公共職業安定所、いわゆるハローワーク。にしてもここも元の世界と同じとは、どこまで手抜きなんだ・・。 まぁ、とりあえず入るか。」
狩人はカウンターに行き、椅子に座る。
職員もやってきて狩人と向かい合わせで座る。
「仕事をくださ・・えっ!」
「ソ、ソージさんじゃないですか!!どうしてここに?」
「さぁ?一体誰のことかしら?あなたが勇者ドラゴンで、お金に困って仕事を探しにきたことなんて知らないわ。」
「ぜ、絶対わかってますよねぇ~。絶対あなたソージさんですよねぇ~。」
「あら。気持ち悪い人。通報しようかしら。それとも特別にその防犯ブザーを鳴らしてあげてもいいわ。
私と接触できてうれしいでしょ?ねっ?」
「ぐっ!!」
(思春期の子が外で親に会った時並の他人行儀だな・・。
外では俺と知り合いということをそんなに知られたくないのかっ・・!
すいません、自分・・涙いいすっか?)
ソージの鋭い視線が狩人に刺さる。
「わ、わかりましたよ!んじゃあ、とりあえず仕事をください。」
「どんな仕事がいいの?」
「うーーん。そうだなぁ。本職は勇者だから、長期は無理だな~。
そしてかなりの額が必要だしなぁ~。・・・短期でがっつり稼げる仕事ないですか?あっ!できれば簡単なやつとか・・汗」
「都合のいいこと。それに選べる立場にあるのかしら。」
「うっ! で、でも長期で働いたら魔王をいつまでたっても倒せないじゃあ・・ないですか(震え声)」
「それ含め、勇者よ。」
(まさか、RPGの中にシミュレーションまで入っていたとは・・。
ジャンルの詰め込みは御法度だよな~。
だがそうならかなりのボリュームと思われます!隊長!
ということは・・だ。俺がそんだけ帰れなくなってしまう!)
狩人はそう考えてしまい思わず絶望してしまう。
真っ白の顔で固まっていた。(チーン・・