[暗黒]芸能界の底なし闇についてお話しましゅ[魔界]
ある日の狩人は砂漠の真ん中でたたずんでいた。
「うわぁ・・・またか・・・。(コンビニに公共料金支払いに行って帰ってきたら、俺が住んでたアパートごと土地一帯が砂漠になっていた・・・。異世界ではある時、突然土地が急に砂漠化することはまれにあるんだけど、ここ最近やたら俺が居住している地域が集中的に砂漠化するので、強制的にホームレスにさせられる・・・)」
ショックを受けながらも狩人は砂漠を歩き出す。
「はぁ~マジか・・・これだから異世界は・・・。また、石拾いからの人生やり直し・・・キツイなァ~・・・」
落ち込んだ様子でしばらく砂漠を歩いていると、狩人は誰かを見つける。
「・・・?あ、あんなところでキッズが砂遊びしてる!?」
ということで狩人はキッズに声をかけることにした。
「おーいぼく~こんな砂漠で砂遊びは危ないよ~」
キッズは後ろを振り返る。
キッズ「・・・危なくないでしゅよ。ぼくちんは天才子役の”しゅラウド”でしゅよ?これぐらい広い砂場じゃないと砂遊びなんてできないでしゅよ。紹介よろしくでしゅ↓」
キッズの正体は、今もっとも売れている天才子役のしゅラウドだった!6歳の男児でヘアーはサラサラの黄金マッシュルームヘアー!出演ドラマはことごとく視聴率100%!!CM本数365本!好感度ランキング819位!!抱かれたい俳優ランキング1位!!狙っているかのようで実は狙っていない天然の活舌の悪さで、今世間をもっとも騒がせている超大物スターだったのだ!
しゅラウド「というわけで、これ名刺でしゅ。」
しゅラウドは律義に狩人に名刺を渡した。
「あ、どうも・・・。みょ、妙にかっこいい名前だね(てか好感度だけメッチャ低いッ!・・・それと、子役を抱かれたいランキングに入れるのはいかがなものか・・・けしからん)」
しゅラウド「お前、・・・勇者ドラゴンでしゅね。ぼくちんに何か用でしゅか?」
「お、お前!?・・・あ、いやそのこんな砂漠でキッズ一人砂遊びなんて危ないなーって思って声をかけたんだけど、その必要はなかったかな・・・ハハ」
しゅラウド「大丈夫でしゅよ。時間になったらマネージャーがヘリで迎いにきてくれましゅので。それにぼくちんもたまにはこうやって一人でリラックスする時間がほしいでしゅよ。最近無性に砂場で遊びたくて、不動産会社の偉い人に働きかけて土地をよく砂漠にしてもらっているんでしゅから。」
「犯人、君だったの!?君のおかげで俺何回も住所失ってるんだけど!?」
しゅラウド「そうだったのでしゅか。それは災難だったでしゅね。・・・それでもぼくちんは砂場で遊びたいのでしゅ。お前には我慢してほしいでしゅ。」
「・・・」
しゅラウド「まぁまぁ。そう怒らないでほしいでしゅ。ぼくちんもスターとして大変なのでしゅよ・・・。砂漠で砂遊びしてる時間が一番安らぐでしゅ。ぼくちんの愚痴聞いてくれましゅか?」
しゅラウドは愚痴り出す。
しゅラウド「ここ最近は仕事量が激増してしんどいでしゅ。ぼくちんの事務所の社長の提案でテレビ業界はもう十分制圧したから、そろそろネットに行けって言い出して、最近は動画配信のお仕事もやり出したでしゅ。でしゅから朝・昼はマスメディアのお仕事、夜はネットでのお仕事と休む暇がなくなったでしゅ。こんなタイトなスケジュールがもうずっと続いてるでしゅ・・・」
「確かにそれはかなり激務だなぁ・・・(というか子供にこんなに働かせて色々と大丈夫なのかな・・・でも異世界だしな・・・。)」
しゅラウド「昨日もマインクラフト36時間ぶっ通し生配信をしたのでちょっと疲れてるでしゅ。」
(す、すげぇ・・・さすが天才子役・・・。36時間ぶっ通し生配信もこなせるのか・・・やべぇ・・・さすがにそんなこと言われたら頭が上がらない・・・)
しゅラウド「事務所の社長いわく、ネットでは刺激的なコンテンツが好まれる、いわば新宿区みたいなものだというので、最近は特に刺激的な動画作りにも挑戦してるでしゅ。そうでしゅね~もっとも、バズッた動画はでしゅね~…」
しゅラウドはスマホを取り出してスクロールしていくと、狩人に見せる。
しゅラウド「これでしゅね。『[ヤニ]天才子役が喫煙してみた[最高]』『[アル中]天才子役が飲酒してみた[
上等]』がかなりバズッたでしゅ。」
「いやアウトすぎるわ!!君消えるよ!?」
しゅラウド「なんでぼくちんが消えなきゃならないでしゅか?消える時はぼくちんではなくぼくちんの周りの大人が消えると思いましゅよ?ぼくちんは言われてお仕事してるだけでしゅ。」
「た、確かに・・・。一理ある・・・」
しゅラウド「特に喫煙してみたの方では、動画のサムネでどう見てもぼくちんと思わしき人物にがばがばの黒い目隠しが入って喫煙しているので、このサムネだけで相当クリックさせる効果はあったでしゅ。動画の内容も、ぼくちんがスターということでセブンスターを7本一度に吸うという刺激的な内容でかなり大衆の興味を引いたでしゅ。おかげさまで一億回再生に到達したでしゅ。広告収入うまうまでしゅ。・・・実際に吸ってみてゲホゲホ咳が止まらず、苦しかったでしゅががんばった甲斐があったでしゅ。」
「な、なんというプロ根性なんだ・・・泣けてくる」
しゅラウド「飲酒してみたの方では、ウォッカを一気飲みさせられて、さすがにヤバいなと思ったでしゅが何とか救急搬送で助かったのでよかったでしゅ。なかなか危なかったでしゅ。」
「君、死ぬよ!!?ホントに!!もう業界やめよう!!な!」
しゅラウド「ただ、飲酒の方はどうせ子供ビールでした~って安易な結末があるって大衆に思われたことと同じくサムネも喫煙と同じくがばがば目隠しにしたのでしゅが、それほどクリックさせる効果はなかったようで5000万回再生に留まったでしゅ。・・・比較的がんばった動画の方が伸び悩み、そうでもない動画の方が簡単にバズってしまうのもネット世界特有でしゅ。この点は現実と結構違うでしゅね。大衆は極めて気まぐれの生き物でしゅ。」
(下手にネットに馴染んでるところが恐ろしい・・・)
しゅラウド「次の動画は、『[カネ]天才子役が闇バイトしてみた[カネ]』でいこうと思ってるでしゅ。狙う住宅は有名動画配信者のお宅を狙う予定でしゅ。」
「君はどこまでいくの!?もう戻ってこれないよ!?」
しゅラウド「大丈夫でしゅ。事前に有名動画配信者と打ち合わせしてシナリオもあるでしゅ。いわゆるヤラセでいくから問題ないでしゅよ。」
「問題を積み増ししちゃってるよ!!」
しゅラウド「ぜひ、闇バイト動画が上がったら、お前にも見て欲しいでしゅ。よろしくでしゅ。あとチャンネル登録とスパチャもよろしくでしゅ。」
「・・・うん、まぁ・・・削除されない程度の内容でがんばってね・・・」
話はしゅラウドの家庭環境の話題に移っていく。
しゅラウド「激務でしゅが、ぼくちんの働きのおかげでぼくちんの家庭環境も随分よくなったでしゅ。」
「え?そうなの?」
しゅラウド「ぼくちんがテレビで活躍し出してから、ずっと養育費も支払わず蒸発して行方不明だったお父様がお母様と復縁したいといって復縁したでしゅ。今では二人とも仲良くしてとても人生楽しそうでよかったでしゅ。」
「お、お前・・・それは・・・」
しゅラウド「言われなくてもわかってるでしゅ。ぼくちんの収入毎月8億円のおかげで二人は幸せだってこともわかってるでしゅ。大人の世界で生きてるぼくちんでしゅよ?それぐらい察しがつくでしゅ。」
「プロすぎるな・・・」
しゅラウド「おかげさまでお母様は、毎日エステ狂いの日々でしゅ。」
(ホスト狂いみたいな言い方・・・)
しゅラウド「口癖はすっかり、『ごめんね~今日~ディナーなの~』ディナーディナーディナーディナー・・・なんでしゅか?ディナーって?ディナーでワイングラスにウオッカ注いでいる暇あったらたまにはぼくちんにも愛情注いでほしいでしゅ。」
「おう!そうだ!もっと言ってやるんだ!!なんてクズ親なんだ!!聞いてるだけでもムカムカしてくる親だな!!」
狩人の言葉にしゅラウドは勇気をもらう。
しゅラウド「アンチエイジングに始まりアンチエイジングに人生を浪費してアンチエイジングに死す、お母様・・・いや、アンチエイジング信者のババアなんて嫌いでしゅ!!!」と心の奥底でしまっていた感情を半泣きで露にした。
「よし!!よく言った!!」
しゅラウド「お父様は元々何をしていた人なのかわからないでしゅ。家にも滅多に帰ってこないでしゅ。でしゅがギャンブルの失敗で莫大に抱えていた借金も消えて、ぼくちんが新しいCM出る度に、車庫の中の乗り物が一台増えているでしゅ。毎日アクティブで楽しそうでしゅ。」
「くぅ~蒸発してやがったくせになんて親なんだ!!聞いてるだけでもムカムカしてくる~!!」
しゅラウド「蒸発に始まり蒸発に人生を浪費して蒸発に死す・・・お父様・・・いや、蒸発信者のジジイなんて嫌いでしゅ!!」
「ごめんそれはよくわかんねーわ!!」
しゅラウド「すっかり愚痴ばっかりしてしまったでしゅけど、子役でよかった事もいっぱいあるでしゅ。」
「へぇーそうなんだ・・・」
しゅラウド「スポンサーとのお偉いさんの知り合いが増えたことで欲しい新商品も簡単に送ってもらうことができるでしゅ。例えばつい最近発売した人気ゲーム機、しゅイッチ2」
(しゅ、しゅイッチ2・・・)
「100台も送ってもらえたでしゅ。これは大変、嬉しかったでしゅ。」
「いやさすがに100台はいらねぇだろ!!」
しゅラウド「それだけじゃなく、ようやくぼくちんの過酷な労働環境が世界に伝わったみたいで・・・国連の中の人がマインクラフト36時間生配信を見ていたようでしゅ。それでとうとう国連の機関からしゅラウドに対する重大な人権侵害の是正勧告がなされたようでしゅ。・・・生配信は一日24時間まで。と。世界がぼくちんに同情してくれてよかったでしゅ。子役で働いてきた甲斐があったでしゅ。」
「いや実質毎日できるじゃねぇか!!てか是正ポイントはそこじゃねぇーだろ!!」
しゅラウド「いいんでしゅよ。ぼくちんはこれで。ぼくちんはぼくちんなりの人生設計がありましゅから。こんな業界、小学校の卒業と同時にやめたるでしゅ。どうせ子役の一生は子役まででしゅ。それから後は、学校もいかず貯めた貯金でFXと株に全集中して生きていくでしゅ。」
「いやそれ人生転落フラグだから!!」
しゅラウド「しばらくそれで食いつないだ後は、参議院選挙に出馬して政治家になるでしゅ。ぼくちんは知ってるでしゅ。選挙制度的に参議院はタレントが通りやすいでしゅ。ぼくちんのような顔が知れ渡った天才子役が大人になって出たら絶対通るでしゅ。大衆はチョロいでしゅ( ´∀` )愚かでしゅねー大衆から吸った税金で働かずにうまうまでしゅ。」
(くっ・・・なんだ、さっきまでのかわいそうに思う気持ちが、・・・メチャクチャ生意気じゃねーかッ!!)
ドドドドドドドド…(ヘリのプロペラ音)
その時、マネージャーが操縦するヘリがしゅラウドの元に降下してきた。同時に砂漠の砂が周囲にすごい巻き散る。
「いてッ!ちょ、ちょメチャクチャ目に砂が!!ウワッ!口の中にも砂が・・・ッ!!」
しゅラウド「すべてはそのための布石でしゅ!!子役で名を上げて、過酷な労働環境で世界に同情を抱かせ、政治家になった後はぼくちんが愚かな大衆どもを支配するでしゅ。すべてぼくちんの思いのままでしゅ!!ぼくちんは全てのこの世の大人たちに復讐してやるでしゅ!思い知らせてやるでしゅよ!!ワーハッハッハッハッハッ!!さらばでしゅ~~!」
ドドドドドドド…!!
そうして、しゅラウドはヘリから吊らされた梯子にぶらさがって声高に砂漠から立ち去って行った…
「くぅ~あのガキ~!!メチャクチャ砂飛ばしやがって~~~ッ!!つうかッ・・・その前に俺の住所返せーーーー!!」
一方、狩人は砂男と化した…
砂男は一人、砂漠の真ん中で何かを叫び続けていたという…