ショーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...ジョーーーーーーーーーーーーーーーージ!!
ある日の、狩人は住宅街を散歩していた。
「今日は散歩日和で、平和だな~。やっぱたまにはこういう日もないとな~」
そして前から歩いてきた集団とすれ違った後の事だった。
集団の1人「・・・・・・あっ!さっきすれ違ったのは勇者ドラゴンだ!ちょうどよかった。これで人数を埋められる。」
と、直後いきなりおじさんが狩人に駆け寄ってきて、さっそく声をかける。
(・・・なんか失礼なことが聞こえたような気がしたけど・・・気のせいか・・・)
話しかけてきた人「やぁ。おらは猟友会で猟師をやってるハタケっていう者ね。えっとおらたち今から動物園から脱走した猿たちを対処しに行くところなのね。でもあと一人人手が欲しくてね、つーわけで急で悪いんだけど、おらたちのパーティーに今日だけ加入してくれるかな?」
「いや!ホントに急すぎるわ!!てか、なぜ俺なの!?」
ハタケ「お~う、んだんだ。引き受けてくれてよかったよ。じゃあ、さっそくおらたちについてきてね。」
「うん、えっと・・・話噛み合ってませんよ!?まだ何も言ってないんだけど!?」
というわけで、狩人は集団の仕事を急遽手伝う事になったのだった。
「強制かよ!」
ハタケ「あ、それと軽く今日の仕事仲間だけ紹介しとくね。え~この人が動物園の飼育員さん。」
飼育員「あ、どうも今日手伝ってくれてありがとうございます。私はモモといいます。今回、脱走した猿の動物園・『異世界裏山動物園』というのですが、そこで飼育員をしています。」
モモは女性飼育員だった。
モモは落ち込み気味である。
モモ「うぅ、自分の所の動物園から猿たちが逃げ出したという事で、、実は私、結構きまずいです。うっかり目を離した隙に逃げられてしまうなんて・・・・・・」
(おいおい、この動物園大丈夫かよ・・・)
モモ「数日前から、脱走の兆候はあったんです・・・『餌をバナナからドライバナナにしてくれー』と猿がストライキしてきたり・・・別の日には見に来たお客様と檻越しにラップバトルで激しい煽り合いになったり、極めつけは深夜に大合唱をし始めたり・・・」
「猿!!?・・・猿!!?ホントに猿なの!?」
モモ「私は幼少の頃から猿を見下していました。見下していたから飼育員を志しました。けど、今回大脱走されたことで・・・猿担当飼育員としてもっと猿を見下そうと思うのです。次からは高圧電線と鞭が必要です。許せない・・・猿・・・ッ」
(一体この人と猿との間に何があったんだ・・・)
ハタケ「で、そこの隣の人が、“異世界でたった3人しか存在しないと言われる”猿語通訳・翻訳家のサールさんね」
サールは直立した猿亜人だった。
サール「はーい。どうぞよろしくでーす。ワタシは今回脱走した猿たちを説得するのが仕事でーす。猿語の習得のために異世界裏山動物園に10年間留学した経験もありまーすし、学校で猿を解剖して食したこともありまーす。猿のことならなんでもお見通しでーす。・・・アイムモンキーザ・プロフェッショナル。どうぞ、頼ってくださーい。」
(いろいろぶっとんでんな・・・・・・いや、ここは異世界か・・・)
その時。
犬「ワン!ワン!ワン!」
ハタケ「おうおう、ハチマル。お前も紹介してほしいな。おらの親戚から借りてきたこの柴犬はハチマル。・・・完全に猿の臭いを覚えたアンチモンキー犬ね。索敵なら任せろけろーって鳴いてるね。」
ハチマル「ワン!ワン!ワン!」
「犬までも・・・・・・結構本格的なパーティー感・・・」
???「で、最後は俺だ」ガチャ、ガチャ・・・
そこで前身金属骨格のロボットが前に出て名乗り出る。
ロボット「俺は、クラウドファンディングと市の補助金で作られた次世代の害獣駆除ロボット・デスモンキー8000Nだ。超高性能AIとどんな獣でも粉砕できる圧倒的な火力を有している。後ろのバックパックには秒間800発の射撃が可能なミニガン、レーダーに捉えた獲物を追いかける1500発の小型ミサイル。そして最終兵器には直径10mのレーザーを放つことが可能だ。実証実験では一時間で野犬を5匹こらしめたことがあるので俺の高性能は自他共に織り込み済みだ。・・・ちなみに俺は野良猫の方が好きだ。」
「スペックと結果があってなくない!?つーか何と戦うつもりだよ!!」
ハチマル「ウ゛ウ゛ウゥゥゥゥウウウ・・・!!ワン!ワン!ワンワン!!」
そこでハチマルがデスモンキー8000Nに対し威嚇し始めた。
ハタケ「・・・おう?急にどうしたーハチマル~何かあったか~」
(今の紹介で絶望的に相性が悪いことが判明したもんな・・・)
ハタケ「まぁまぁデスモンキー8000Nの結果には気にせんでやっておくれ。なんせ、予算を使い果たしたもんでね。両目のメインカメラはおらの昔のガラケーのカメラを埋め込んだもんで、どうにも画素つーか視力が悪い。むしろよくやってるよ~」
「致命的すぎる弱点だわ!!」
その時だった。
デスモンキー8000N「ぐっ、なんだこれは。俺のオペレーティングシステムが急にウイルスと化している。どういうことだ。そうかわかった、犬アレルギーだ・・・ッ!うぅっ、俺の全身が今にも核爆発をおこしそうだッ・・・うッ・・・・・・くっ悪いがここまでだ。またいつか、戻ってくるぜ・・・・・・」
デスモンキー8000Nは、そこで止まってしまった。
ハチマル「ワン!ワン!ワン!」(尻尾を振って喜ぶ)
「・・・・・・。」
ハタケ「あちゃ~~~。やっちまったか~~ァ~~まさか犬アレルギーを発症するんて思わなんだ。」
サール「はーいこれはダメですねぇ~ロボットは難しいでーす。」
モモ「猿ッ・・・!猿ッ・・・!ここまでするなんて・・・ッ!猿ッ・・・!」
ハチマル「ワン!ワン!ワン!」
(なんちゅう出オチロボットだったんだ・・・)
そして狩人は困惑しながら、尋ねる。
「それで、どうするんですか?俺が入った所で、変わって1人抜けちゃいましたよ・・・」
ハタケ「・・・実はね。こういう不測の事態に備えて今回もう1人声を掛けていたんだね。・・・そろそろやってくるはずだよ。あの人が。」
「最初からその人でいいじゃん・・・(俺の存在意義・・・)」
???「皆さん待たせたね~・・・イッヒッヒッ、がぶっ(手に持っていたトマトをかぶりつく)あ~リコピンの塊はうまいねぇ~」
民家の屋根に立った人影がそのように登場する。
そしてスタッと道路に降り立ち、狩人の前に立つ。
???「噂をすれば、現れるってのはあたしゃの事だよ。あたしゃは、ヤマンバ。名前何てもう忘れてしまったねぇ~。」
(また、強烈なのがきたぞ・・・)
ヤマンバ「今回ハタケさんから動物園の猿共が逃げ出したって聞いてねぇ~。いてもたってもいられなくなって手伝う事にしたのさ。あ~まったくやだね~四足歩行の獣たちは~。四足歩行の獣はみんなあたしゃの鍋の出汁にしてあげたいねぇ~。獣鍋。」
「全動物否定!!?」
ヤマンバ「もっと言うなら翼をもつ者も刺身になって泳ぐ者もあたしゃ嫌いだね。あたしゃね、二足歩行しか認めないよ。だからね、猿なんてものはね、今すぐにでも鍋の出汁にしなきゃいけないのさ。」
(よくわからんけど(汗)。これがヤマンバ・・・ッ!こえぇ・・・やっぱヤマンバこえぇ・・・左手にかじられたトマトと右手に包丁持ってるし・・・)
ハタケ「どうもどうもね、ヤマンバさん。どうです最近の調子は。」
ヤマンバ「絶好調だよ~そりゃね。今朝もここまでやってくるために山を下り海を渡って高速を走って来たんだからねぇ~。あたしゃの健脚はまだまだ衰えないねぇ~。これも自家栽培リコピンの塊のおかげかね~イッヒッヒッ。さっさと猿共の片目をこの包丁でくり抜いて、丸飲みにしてやりたいね~」
ハタケ「お~う!ヤマンバさんが絶好調ならおらたちも心強い!ハッハッハッ!」
「ゴクッ、このプレッシャー・・・ッ!(急にバトルものの雰囲気だ・・・)」
ヤマンバ「で、これで人も揃ったのかい。それじゃあ早速猿共を見つけてやろうじゃないか。あたしゃ戦闘専門だからね。どういう手順で進めていくんだい。」
ハタケ「あぁ、そうですね。これで人手も満ちましたので、仕事を開始しようと思うね。それじゃあまずはモモさん概要を。」
モモ「はい。・・・えっと今回異世界裏山動物園から逃げ出した猿の数は数千匹にもなります。」
「えぇ!!そんなに!?多すぎる・・・」
モモ「そして数千匹の猿たちは、今まさに各地に散らばり様々なところで潜伏や民家などを荒らしていると推測されます。そのため、すべての猿を一匹ずつ始末していくというのは現実的ではないです。」
サール「確かーに。数千匹の猿をすべて見つけるのはキツイでーす。」
ヤマンバ「あたしゃ、一匹ずつじっくり見つけて殺していくのでもよかったんだがねぇ~。・・・そっちの方が長い間楽しめるじゃないか。」
モモ「・・・そこで私たちは、まずボス猿に狙いをつけたいと思います。そのボス猿の名は、ジョージというのですが、」
「う~ん、ジョージ。なるほど。」と狩人は真剣にうなずく。
モモ「ジョージを真っ先に捕らえて、十字架に張り付けた姿を全国に放送して、その他の猿たちをおびき寄せるという作戦を考えています。」
ハタケ「人質作戦というわけですな。猟友会がよく行っている手法で、一網打尽にできるね。過去この方法で猟友会は熊を滅ぼしたね」
サール「確かーに。猿たちは非常に団結力がありまーす。もしもボス猿が捕まり、処刑されるかもしれないと全国の猿たちが知ったならば一斉に取り返しにくるはずです。ナイスアイデア!」
ヤマンバ「しかしねぇ、どうやってそのジョージとやらを見つけるんだい?」
ハチマル「ワン!ワン!ワン!」
ヤマンバ「なんだい!こんな所に四足歩行がいるじゃないかい!!あぁやだねぇ目障りだねええぇッ!」グサッ!
ハチマル「・・・・・・」
ハタケ「・・・・・・。」
サール「わ~お・・・」
(大事故すぎる・・・・・・つーかさっきからの人選のミスり方ヤバいな・・・)
モモ「予定変更。とにかく、何とか私が見つけてみます。・・・後は、皆さんに一つ協力してほしい事がありまして、ボス猿の名。『ジョージ!』と一斉に叫んでほしいのです。ジョージは非常にプライドの高い猿。聞こえる範囲なら必ず姿を現すはずです。ここで一回練習しましょう。せーの、」
「ジョーーーーーーーーーーーーーーーーージ!」
モモ、ハタケ、サール、ヤマンバ「ショーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!」
(・・・・・・えっ!?)
モモ「じゃあもう一度、せーの」
「ジョーーーーーーーーーーーーーーーーージ!」
モモ、ハタケ、サール、ヤマンバ「ショーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!」
(・・・えっ!!?)
ヤマンバ「イッヒッヒッ、完璧だねぇ。霧のかかった遠山までに届きそうなやまびこだねぇ~。」
「あれっ、ボス猿の名前って確か『ジョージ』ですよね?俺、間違ってませんよね?」
モモ「はい、合ってますよ。」
「今なんか皆さん、ジョージじゃなくて『ショーン』ってお叫びになってたような・・・」
ハタケ「・・・ジョージですよ?」
サール「・・・ジョージ。」
モモ「あれ?なんか、合っていませんでした?それじゃあもう一回確認しときます?せーの、」
「ジョーーーーーーーーーーーーーーーーージ!」
モモ、ハタケ、サール、ヤマンバ「ショーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!」
「・・・!?やっぱり、あなたたちだけショーン!って言ってますよね!?」
ヤマンバ「あぁもうごちゃごちゃうるさいねえぇッ!!何だいこの子はッ!!ド素人の子をここに混ぜるんじゃないよォ!!」
次の瞬間、ヤマンバが狩人の眼球に包丁を一ミリの隙間を残して突き立てた。
ヤマンバ「この子みたいな四足歩行に近い二足歩行もあたしゃ嫌いだよ。ジョージと言えばジョージ。それ以上でもそれ以下でもないよ。」
「ハァハァハァハァハァ・・・・・・はい。」と激しい動悸で狩人は汗だらだらに返事したのだった。
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猿たち「ウキウキ、ウキキウキキキキ、ウキ。ウキキウキ、ウキキウキキ、ウキ。」
※(サール訳)「続く、かもしれないし続かない、かもしれない。ジョージ、かもしれないしショーン、かもしれない。」
猿たち「ウキ?」
※(サール訳)「どっち?」




