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起立!…どうも初めまして、県立高校で教師をしています中村藍羅武です。担当教科は公民(道徳)です。教員免許は持っていません。礼!着席!

キーンコーンカーンコーン~キーンコーンカーンコーン


中村先生「はい、じゃあ授業始めていきます。・・・え~っとまず今日の欠席者は・・・」


板書{中村先生は、教壇の上の出席名簿を開いたのである。}


中村先生「・・・えっと悪いんだけど、そこの窓際の空席って誰だったっけ?」


ツトム「はい、確か勇者ドラゴン君と存じています。」


板書{ツトムはぐるぐる丸眼鏡をかけ七三の髪形をした、誰もが見習うべき模範的な校内一の優等生である。}


中村先生「あーそうだったそうだった、朝一に欠席の連絡寄越してくれてたのに先生忘れてたよ。・・・じゃあ今日の欠席者は、勇者ドラゴン一名のみと。」


ツトム「先生。勇者ドラゴン君、もうかれこれ一週間も学校をお休みしていますが、何かあったのでしょうか?」


中村先生「・・・えっとな電話で本人から聞いただけなんだけど、体調がすぐれないみたいでな~なんか37.5度の熱が三日、四日ぐらいもう続いてて、倦怠感、頭痛、嗅覚味覚障害とかもあるみたいな感じで中々登校できないみたいなんだよ。」


ツトム「先生、そんな状態で勇者ドラゴン君は大丈夫なのですか?」


板書{ツトムは内申点のために同級生を心配するのである。}


中村先生「あーまぁそんなに心配しなくても、大丈夫だろ。あいつ一応主人公だし。・・・にしてもツトムお前やさしいな。勇者ドラゴンなんかを気遣ってあげるなんて。なぁ!よし、ツトムの平常点に加点!」


ツトム「しゃアァッ!!」(ガッツポーズ)


板書{そうして中村先生は出席名簿を閉じるのである。}


中村先生「はい、それじゃあ授業始めていきます。えっと前回、は・・・教科書p1192までやったんだよな。前回やった内容覚えてるかー?”朝の曲がり角”問題。やったよなー・・・朝急いでる時、曲がり角で人とぶつからないようにするにはー・・・はい、ヤサグレオ。なんだった?」


ヤサグレオ「・・・・・・」


板書{ヤサグレオはリーゼント頭の不良生徒である。中村先生とは犬猿の仲で、このようにかなり目をつけられている問題児である。}


中村先生「答え、いってみて。」


ヤサグレオ「・・・・・・・・・・・・」


中村先生「・・・・・・あのー下うつむいて黙ってるんじゃなくて。今、当てられてんだよ、わかってるよな?答えがわからないなら、わかりませんとか言ってくれないと、授業になんーー」


ヤサグレオ「・・・チッ・・・」ゴトッ!


板書{ヤサグレオは舌打ちと共に机を蹴ったのである。それによって中村先生の熱血スイッチ・・・ONである。}


中村先生「おいゴラアアアアアアァァアアアァ!!!」


ヤサグレオ「・・・な、ななななnなんスカ?いきなりキレて?俺なんもしてねーけど(汗」


中村先生「なんもしてねーことねぇだろオォ!お前!!なぁ!!?お前今、まばたきしただろオオォがアァッ!!?」




・・・・・・シーン




中村先生「おい、日直!!ツッコめよ!!シーンじゃねぇだろ!シーンじゃ!静まり返ってんじゃねぇかよ!どうすんだよこの空気!!・・・おぃ!!誰だよ今日の日直はぁ!!?」


ツトム「僭越ながら・・・先生、今日の日直は欠席している勇者ドラゴン君です・・・でした・・・。」


板書{これを聞いた中村先生の熱血スイッチはOFFである。}


中村先生「あぁ、そうだったんだ。はいはいはい、じゃ・あ、今この教室の中に日直がいない事になっちゃうわけ、か・・・そうかそうか・・・そ・れ・じゃ・あ・・・仕方ないな。代打!ツトム、悪いんだけど今日日直、勇者ドラゴンの代わりにできる?」


板書{そう振られたツトムは天才のように顎に手を当てて考え込む。次の瞬間彼の頭脳には最適な内申点を導き出すためのえげつない量の数式が浮かんでいたのである。}


ツトム「はい。先生僕に日直をやらせて下さい。今までツッコミの経験はなく力足らずになるかもしれませんが、僕に、僕に・・・ツッコミをやらせてください!!」


中村先生「・・・お、じゃあお願いしようかな。というわけで今日の日直はツトムです!はい拍手~!パチパチパチパチ・・・いやーさすがツトムだな。やっぱ偏差値がたけぇよな。どっかの誰かさんたちとは偏差値が違う、うん。先生関心するね。」


ケーコ「センセーまたツトムアゲアゲ~ですかー」

カネト「そういうのって、えこひいきっていうらしいぜ。ヘッ」

マジオ「マジ??マジかよ!マジで?」

ヤバコ「ヤバくね?ヤバいね?ヤバい・・・ヤバケ」


板書{ケーコは黒ギャルの準問題児で、カネトは両親が資産家の準問題児で、マジオはマジの準問題児で、ヤバコはヤバい準問題児である。これは暗記しなくてよいのである。}


中村先生「はーい!低偏差値の君たちは授業中しゃべらないで下さーい!私語するなら、この国から出て行ってもらいまーす。」


ヤサグレオ「・・・・・・」


板書{中村先生の熱血スイッチON!}


中村先生「おいゴラアァアァッ!!ヤサグレオ!!しゃべんなっていってッんだろがぁァアッ!!お前はずっとまばたきせずにそこで座ってたらいぃんだよオォ!!・・・クソみたいな顔で生まれてきやがってよオォッ!!」


ツトム「いやいや!!一言も発していませんでしたけど!!?てか理不尽すぎるわ!!・・・・・・先生、ツッコミとはこんな感じでよろしいのでしょうか?」


板書{中村先生の熱血スイッチOFF}


中村先生「いいよいいよー。そう、ツトムのツッコミも中々いいね。勇者ドラゴンのツッコミをうまく再現しつつ、ツトムの個性もしっかり出てるしね。いいよその調子。」


ツトム「はい、先生。ありがとうございます!・・・ってやっぱりえこひいきじゃねぇか!!」


板書{中村先生は授業を続けるのである。}


中村先生「なぁ。であるからして、朝の曲がり角問題の答えは、”朝食のフランスパンを口に咥えて、そのはみ出た部分で事前に曲がり角から相手に知らせる”ってのが正解だったよなー。それで、朝の忙しい時間帯で起きやすい衝突を避ける、ことができるんだったなー。で、ここまでが前回の復習で・・・うん?なんだ?・・・なんか質問か?」


板書{目を見開きそろそろ充血してきたヤサグレオがその両目で隣の席の生徒に語るのである。}


キュウジ「先生、ヤサグレオが俺に目で訴えかけてきたんですけど、なんかーその朝の曲がり角問題の別解がある、とか、らしいすっ。先に進む前に聞いてやってくれませんか?」


板書{キュウジは元野球部の準問題児で、ヤサグレオとは親友である。}


中村先生「おぉ、いいよ。授業の内容に関係あることなら聞いてやるよ。あ、ヤサグレオはしゃべんないで。もう呼吸しなくていいから。キュウジの方に答え回してやって。」


ツトム「いやどこまで理不尽なんだよ!!体罰すらも可愛くなるわ!!」


キュウジ「俺が、答え言うってことすっか?」


中村先生「おう、そう、早く言えよ。こっちも授業の進行があるからさぁ。」


板書{息を止めて目を真っ赤かにしたヤサグレオがキュウジと数秒間目を見つめ合わせ別解を託すのである。これぞ友情である。}


キュウジ「コクッ、コクッ・・・OKOK・・・えっとー10mのリーゼントをセットして家を出れば絶対に曲がり角でぶつかることはない、らしいすっ」


ツトム「無理がありすぎるわ!!」


中村先生「はいブーーーー!だからお前らは低偏差値なんだよ。いいかあのな、一応解説するけどな、10mのリーゼントが曲がり角での衝突を防ぐっていう部分はいい。フランスパンよりも長いだろうし、色も染められて相手に知らせやすいよな。」


ツトム「だから長すぎてセットできねぇよ!!」


中村先生「けどな、お前10mのリーゼントとかセットしてたら、もう朝じゃなくて昼になっちゃうぞ?な、問題文よく読めよ。”朝の”曲がり角~ってちゃんと書いてあるだろ。昼になっちゃったら、もうスクーターで移動できるだろ。なぁ?そういうわけだよ。」


ツトム「突然のスクーター!!?しかもなんで昼から解禁!!?」


中村先生「そうだ、ついでにツトム。もし別解を立てるとしたら、ツトムはなんて答える。」


ツトム「あ、はい・・・えっと、それはズバリ光の速度すなわち、光速である299792458 m/sの速度で移動し、肉体を量子化することですね。すなわち粒子になってしまえば、朝の曲がり角でも質量を感じられる物体との衝突はまずありえないということです。・・・・・・と、いってもこれは僕が導き出した答えというより、SF小説から影響されたものなのですが・・・大変お恥ずかしい限りです・・・。」


中村先生「ブラボー!!パチパチパチパチブラボー!!いや~もうすごい!やっぱり!!高偏差値・・・!

もうね、先生な、ツトムの言ってることについていけなかった。先生の負け。完敗です。もう理解が到底及ばないもん。すごい。もうツトムが教科書書ける時代はすぐ目の前だ。さすがツトム!さすツト!」


板書{これぞツッコミ不在である。ここは中間テストに出るので要注意ポイントである。}


中村先生「ちなみに、この話題で随分盛り上がっちゃったから~先生が考えてた別解を言うと・・・それは全身をスタントマンのように燃やすだ。な、いわば火だるまになって、朝の曲がり角での衝突を避けるってことだ。燃えてたら、相手が見えてなくても炎なり、煙なりで一発でわかるよな。」


ツトム「(ウンウン)なるほど。勉強になります。って言ってる場合じゃなかった!・・・衝突するより危険だわ!!」


キュウジ「盛り上がってるところ、なんかー悪いと、思うんすっけど、俺ー野球やってたからわかるんすっけど衝突避けるなら、曲がり角ギリギリでスライディングして相手を宙に浮かせたらって感じになると思うんすけど、どうすっかね?」


ツトム「もはや格闘ゲームだわ!!」


中村先生「う~ん、低偏差値のわりにはがんばったけど、△だな。お前野球では通用しても、アスファルトの一般道でスライディングとか危ないだろ。しかもタイミングがシビアすぎて結果的に衝突の大事故につながるかもしれんし、やめとけやめとけ。」


ツトム「今更安全性!!?」


板書{先生と生徒が問題に対して議論をし、意見を深め合う。これぞよき教室である。}


ツトム「どういう深め方なんだよ!!?ついていけねーわ!!」


キーンコーンカーンコーン~キーンコーンカーンコーン


HR(帰りの会)

☆中村先生の授業は一部分完結の章というお約束を躊躇なく破って、次回も続きますので、ぜひ親御さんにも伝えておいてください。提出期限20XX/X/X☆

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