たくさん、いっぱい、スベろう!
ある日の狩人は、札幌駅周辺をうろついていた。
「うぅ~やっぱり異世界といえども、冬の札幌はやっぱ寒みぃ~・・・忠実な再現だけど~うぅ~今は、とりあえずさむい・・・しかいえない・・・。くぅ、これは試される大地ならぬ、試される、俺・・・!・・・うぅ~さぶいなぁ・・・ズズゥ!(鼻水をすする)」
そんな感じで、カイロをでこに貼っている狩人はブルブル震えながら歩いていた。
その時だった。
実況「さぁ!!今年もこの時がやってきました!!”スベって凍えてェ!!氷点下ァ!!目指せ絶対零度ォッ!!”第361回・全国一発ギャグスベリ大会、いよいよ開幕だああぁぁぁあああああ!!!」
そんなマイク越しの声が札幌駅に響き渡った。
「・・・なんだろ、何かのイベント、かな?しかも結構、こんな寒い中人が大勢いる・・・ちょっとなんか気になるなぁ・・・」
それを聞いた狩人は自ずと、そちらを向き、視線の先にあった屋外会場を目にする。
その屋外会場は壇上ステージとそれと向かい合わせの形で100の氷椅子が並べられ、満席状態の100人の観客が集まっていた。
実況「そしてェ~この度、第361回全国一発ギャグスベリ大会を実況するのは、過去大会から引き続きこのワタクシ!!カナダ出身のコメディアン!アダムス・ゴリガンの実況でお送りしていくぞおおぉおおお!!・・・ちなみにィィ~、妻はロシア出身!長男は南極出身!次女はフィンランド出身!三女はここ日本・札幌出身だあああぁぁあ!!」
「いやいや、ルーツバラバラすぎだろ。どうなってんだよ・・・(うぅ~さびぃぃ~くそぉやっぱりツッコミの熱もいつもより低くなる・・・がんばってツッコんで体温上げていかないと・・・)」
そうして狩人は会場に近寄り最後部において、イベントの立ち見をし始める。
実況(アダムス・ゴリガン)「そしてェ同じく!!過去大会から引き続きィ!一発ギャグの解説は~ミスッタアアアアァァアアひょうーどうー~~~~!!」
解説「はい、今年もやってきましたね!今大会の解説もこの氷堂冷飯が務めさせて頂きます。皆さん、よろしくお願いします。是非、会場の寒さを一緒に味わいましょう。」
実況「ヒョウドウさん。この大会も今年で361回目になりましたが~何か意気込みなどはあるでしょうか」
解説(氷堂冷飯)「そうですね。非常に長い時代、スベってきたなという重厚な歴史を感じますし、何よりそれだけの数々のスベリがあって、まさにすってんころりとゴキも、のけ反り返ったようなツヤを感じますね。」
(いやそのコメント自体冷えるわ・・・なんか・・・。)
実況「そしてエエエェエエ!!いよいよ今回ファイナルラウンドでスベリ合う死闘を繰り広げてくれる、この4名が登場だああああぁあああああ!!!」
プシュウウウウ!!
ステージ上で冷気が噴出され、4名のプレーヤーたちが登場し始める。
実況「さぁ、4名ステージ上に並びました!全員が腕組みをしています!まさに極寒サバイバルスポーツ!!では左から順に1人目の方から、簡単な自己紹介と意気込みをお願いします!」
1人目のプレーヤー「はい!・・・えっと東京都から来ました。20歳大学生。津田沼シンタロウです!ファイナリストの中で一番若い僕ですが、その若さで今日はスベリ倒してやろうと思ってまぁす!目指せ、絶対零度!!」
解説「はい、いいですね。とてもフレッシュな寒さを期待できそうです。」
2人目のプレーヤー「・・・東京都から来ました。45歳会社員兼ボディビルダーをしています。千葉コウイチです。今日は、鍛え上げたこの筋肉と同じように会場をカチカチ、コチコチに凍らせていこうと思う所存でございます。よろしくお願いしマ、ッスル!!」
解説「はい、いいですね。早速先制する様に、一発かましました。まさに親父というギャグで、会場の気温計も0.7°下がりました。今日は激戦が期待できそうです。」
3人目のプレーヤー「・・・えっと~ぉ~東京都から来ました。29歳専業主婦の浦安カズミといいます♪今回ファイナリスト、女性はわたしだけという事なので、自由にのびのびとスベっていこうと思います♪い~えい、マサ~!ユウく~ん!見てる~(手を振る)」
解説「はい、いいですね。ファイナリスト唯一の女性という事で、独特でマイペースな間合いがありますね。これは思いがけないスベリが期待できそうです。」
4人目のプレーヤー「・・・冥府から来ました。344歳運送業をやっています。相模ウツノスケです。・・・以上です。」
解説「はい、いいですね。はんぺんをおでこにつけて、白装束という恰好。これは、得体のしれないスベリが期待できそうです。」
「いやどうみても、幽霊だろ!!別の意味で冷えるわ!!」
実況「そして~今日会場にはああああぁああ、100名の観客が駆け付けたアアアアアアァ!!受精卵から~150歳の仙人まで!!はたまた~モンスターや人造人間まで集まったァあああ!!この多種多様な人たちから果たして、この選ばれし4名はスベリを獲得できるのかアアアァァアアアア!!?」
(すでに体温を感じねぇ・・・)
実況「さて、ここでルールを説明しますと、今からターンごとにそれぞれステージ上の4名の方たちには、一発ギャグを披露して頂きます。そこでその一発ギャグがウケてしまうと、会場の観客の皆さんが笑ってしまい、それに比例して、ここに設置されている気温計が上がってしまいます⤴⤴!!ですが逆にィィ!!?スベると笑いは起きズゥ!どんどんと気温は下がっていくぅぅ⤵⤵!!・・・つまり単純明快!もっとも気温を下げた合計が多い人が優勝となります!そしてェ!一撃必殺、絶対零度!!もし何かの一発ギャグで絶対零度に達した場合ィ!!その時点で、大会は即終了!!無条件でその人が優勝者となるぅ!!果たして現れるのか?凍える地獄は・・・あるのか・・・・・・第361回全国一発ギャグスベリ大会、ここに開幕ゥウウウウゥゥウウ!!!」
「何この大会」
狩人の体温がここから上がり始める。
その拍子にデコのカイロもペロッと落ちた。
実況「あ、ちなみにこの大会で得た冷気は地球に寄付され、地球温暖化対策に役立てられます。『あなたのスベリが人類を救う』協賛・スポンサー→北海道・内閣府・異世界新聞・東京氷郷大学・火瀬田大学・株式会社火炎焼/たはか/マージンス/スケイシュ/POINTMARK/B.G・全国かき氷愛好会・公益財団法人海の家・筑波アキヒト様・大宮サトシ様・氷堂冷飯様・・・以上でお送りいたしますゥゥッ!!」
「どんだけスポンサーついてんだよ・・・(い、一応俺の方で言っておくか・・・※こんな大会存在しません。)」
実況「それではアアアァァ!!試合開始だあああぁああ!!キーーーーン!!」
実況の合図と共に氷製のゴングが今鳴らされた・・・!
ーー1ターン目ーー
津田沼シンタロウ「1発目いきます・・・・・・おかあああああ、おかあああああ、あかあああああちゃん!!」
実況「さぁ、観客の反応はどうだァ!?こちらの気温計で確認します。2.4℃上がりイィ!・・・・・・おっとぉぉ普通にウケてしまったアァァ!これは、どうだぁぁア!?」
解説「そうですね。ちょっと、スベるにしては勢いがありすぎましたし、何より語呂のキレが良かったですよね。お母ーお母ーと2連発と来て、次の瞬間もう一発お母ーがくるかと思いきや、赤ー(子)が来るという構成の一発ギャグでした。それと~かあーという部分がカラスの鳴き声も連想させてしまいますし、その点でもちょっと笑いを誘ってしまいますよね。スベるには程遠いギャグでした。・・・」
(よく、あの一発ギャグでそこまで解説できるな・・・)
解説「ですが・・・個人的にはちょっとウルっときてしまう一発ギャグでしたね。」
「いや、ないだろ!」
実況「ほう?といいますとォオ??」
解説「いや、あのね私事の思い出なんですけどね、私の子供の頃の昭和の冬というのは毎年毎年、今のなんちゃって冬と違い物凄く寒くてですね、冬になれば手足の先がしもやけで赤くパンパンにふくれて、これがまぁ随分と痛くてですね、それでよく泣きながらおかーおかーとおっかさんに泣きついていた事を思い出してしまいましたね」
(結構真面目な話だった・・・)
千葉コウイチ「それでは次は私ですね。・・・・・・(ポージングを取りながら)私の筋肉!(ポージングを変える)25g!!・・・」
実況「さぁ観客の反応は!!?・・・おっと、ナイススベリィィ!!気温が3.7℃下がりましたァ~!!さぁ、どうですか?氷堂さん?」
解説「はいそうですね。いいスベリだったと思います。まさに大会序盤のスベリにふさわしい、小スベリでしたよね。調理のような小さじ大さじ何杯ぶんかはわかりませんけども、kgではなくgというところが笑い所なのかもしれませんけども(笑)・・・まぁ、くだらないですよね」
(バッサリすぎる・・・!)
解説「そういう子供にしかウケないというのがポイントにもなりましたが、逆にこの会場にいる子供にウケてしまい、そこが伸び悩んで小スベリに落ち着きました。それともう一点言うなら、千葉コウイチさんがボディービルダーでなく、ヒョロヒョロでガリガリの男性ならもっとスベっていたというポテンシャルはありましたね。こう言い方はあれかもしれませんけれども、それこそ拒食症の体で今大会に挑んだ方がもっとスベることができたという惜しい一発ギャグです。」
「絶対ダメな方のスベリだろ!!」
浦安カズミ「それじゃあカズミ~~出~ま~す~~♪・・・・・・(両手で目隠しをしながら地声で)もーいいかい?(子供声で)まーだだよ。・・・もーいいかい?(子供声で)まーだだよ。・・・もーいいかい?・・・・・・もーいいかい?・・・(目隠しを止めて、キメ顔)はい、捜索願!」
実況「さぁ、今の一発ギャグはどうだァ!!?・・・お!気温1.4℃マイナスゥゥ~~落ち着いたスベリになりました~さて、どうですか?」
解説「うぅんそうですね。まー、スベリはしましたけれども、ウケてしまう可能性もあったという際どいギャグでしたね」
(別の意味でな・・・)
解説「おそらく、親と子供のかくれんぼが、さぁ今から始まるぞというシチュエーションにまず、引き込むんですよね。」
実況「はあぁい!ですねぇ!」
解説「で・・・隠れる側の子供が隠れ終わって、まーだだよ。というセリフが途絶えた・・・そこで、かくれんぼ開始かと思いきや、見つける側の親は、そこで捜索願を出すと。いうオチがあってですね。一見、ほのぼのとした世界観から見当もつかない捜索願というハードな単語に、観客は??という感じでスベリを誘うと思うんですね。・・・ですが、よくよく考えて見ると、『大人げないw』『親、ガチ勢すぎるw』『わざわざ警察使うなよw』といった感じで後からジワジワくるようなタイムラグの笑いを誘ってしまうんですね、これがね。ですから、こうそこまでスベリ切らなかった。スベリに歯止めをかけてしまい、このマイナスに限られたんだと思いますね。」
「解説なげーよ・・・俺のツッコミが全部解説の氷堂さんにもっていかれてしまう・・・やべーぞ、今回・・・」
相模ウツノスケ「・・・・・・。・・・(両手で自身の首を締めながら)打ち首接近令!!打ち首接近令!!」
実況「さぁ、どうだぁああ!!?・・・おぉ!!きました5.2℃下がったああぁ~!いいですね!正真正銘のスベリですッ!!氷堂さ~ん」
解説「はいそうですね。シンプルにスベッたという感じですかね。現代人には馴染がない打ち首を持ち出したところで、まぁまずウケませんよね。こう、歴史的といいますか。狙い所がマニアですよね。個人的にも朝の目覚まし音に是非欲しい所ですが・・・ただあちらの150歳の仙人さんが爆笑してしまいましたので、大スベリとまではいきませんでした。これにて1ターン目終了、この調子で皆さん盛大にスベっていって欲しいですね。」
「くっ・・・フゥゥ・・・」と狩人は、どうツッコんでいくべきか熱を上げて考え始める。
ーー2ターン目ーー
津田沼シンタロウ「今から、ここにある茶封筒の仕送りをパチンコ台に吸わせていきたいと思います。・・・仕送りが~いちタマ~仕送りが~にタマ~・・・仕送りさんタマ!!!」
実況「さぁ、2ターン目とだけあって参加者も調子を上げてきますゥゥッ!!気温計は~~お!6.0℃下がりました~。どうですかねぇ?氷堂さん?」
解説「はいそうですね。先ほどの1ターン目を挽回するように、忍ばせてきた武器をここで発揮しましたよね。なかなか、平成の現代の若者らしい一発ギャグと言いますかね。一言で表すなら親不孝のクズ味がどことなくありますよね。この先大丈夫か的なね」
「急にきびしいな・・・氷堂さん・・・」
解説「きっとご両親は東京に出た子に、パチンコで遊んでもらうためにわざわざ仕送りをしたわけじゃないと思うんですね。良いご飯を食べてもらうために、それでまた東京で夢をかなえるために頑張ってという思いで仕送ったんですから。それを裏切るこの親不孝一発ギャグは、見事に親世代のスベリを誘って、大変いい一発ギャグだったと思いますね。これが、2ターン目ですよ~。うぅん(うなずく)。」
「いや!どっちだよ!!?」
千葉コウイチ「今から空気をねじります・・・!(ぞうきんしぼりで)スゥゥゥ、スゥゥゥ・・・はい、空気ひねり(指をさす)。」
実況「さぁ!!気温計は・・・おぉおおおおお!!ここで一気にきましたああああぁぁああ!!11.3℃マイナスだああああぁあああ!!おおぉ、どうですか!これは!」
解説「はいはいはいそうですね。ウケるところがまったくありませんよね。まさしくエアーですから、このおっさんは何もない所を捻ってるだけですし、最初に空気をねじりますと言ってますから、何の驚きもなく、これまたオチの方にも捻りがないですよね。そっち捻れよって野次を飛ばしてもいいぐらいですよ。しかもさっきと打って変わってボディービルの肉体がスベリへといい感じに誘導してるところもポイントですね。・・・というわけで全世代からスベリを誘いました。今大会初のマイナス二桁℃ということで、しかもこの早さですから、もしかすると、千葉コウイチさんは優勝候補かもしれませんね。期待です。」
(なんだこれ・・・盛り上がってるのか・・・)
浦安カズミ「(両手で顔を隠しながら)いないいない~~~ばぁ~~~~(顔を出す)、いないいない~~~~ばぁ~~~~、いないいない~~~~いないいない~~~~(そこで非常口の人の構えをし)そのまま、ネグレクト♪♪」
実況「さぁ、気温は~~~はいはいはいイィ!!これまた高水準です!!8.5℃マイナスが出ました~!どうですか?氷堂さん?」
解説「はいそうですね。1ターン目から引き続き浦安カズミさんの得意な技が効いてますよね。どこかブラックというね。赤子をあやしているのかな?と思いきや、そのままドロンと自分は空中分解し、つまり~子を置いて育児放棄というね。いいダークサイドの一発ギャグですよね。さすがに、やはりこれも親世代、それと孤独な人造人間さんのスベリを誘い、このマイナスになりました。会場もちょっと寒くなってきて、いい調子ですよこれは。」
「や、闇が深いな・・・ホントにあの人は一発ギャグで止まっているのか・・・」
相模ウツノスケ「ロボットに憑依、ウゥイーーンガチャン、(ロボット声で)OSをアップデートしてください」
実況「さて~~気温は~~~~おぉなるほどぉ!9.8℃マイナスですかー!悪くないですねぇ!どうですか?」
解説「そうですね。おそらくこの一発ギャグの背景として、幽霊が生き物ではないロボットに憑依すると、ところがロボットはOSのアップデートを要求し、結局憑依できなかったという所だと思うんですが~うぅん~やっぱりちょっと玄人といいますか、設定が込み入りすぎて、観客の皆さんを置き去りにしていくという感じでスベリをもらいましたね。いいですね、いいと思います。」
実況「さあァッ!!ここで2ターン目が終了しましたァ!!ここで4名の現在のマイナス℃の合計を表示したいと思います。デン、デン、デン、デン・・・はい出ました。津田沼シンタロウさん-3.6℃/千葉コウイチさん-15.0℃/浦安カズミさん-9.9℃/相模ウツノスケさん-15.0℃となっています!暫定一位千葉コウイチ・相模ウツノスケさんの2人が並びィ!、第二位浦安カズミさん、第三位津田沼シンタロウさんと続くゥ!さぁ、ここから波乱の展開はあるのかどうか~・・・それではアアアァアア!!いきましょう!!3ターン目!!」
(いつまで続くんだよ・・・これ・・・)
解説「この辺りからそろそろ長袖に着替えた方がいいですね。念のために救急車も待機していますが、突然ガクッと凍えて、観客の方が亡くなってしまうという事が過去大会では何度もありましたからね。」
「大会撤廃ものじゃねーか!!!」
ーー3ターン目ーー
津田沼シンタロウ「・・・(片手をあげて)異性の誘い方!・・・なぁ、今から脱衣麻雀しようぜぇー」
実況「さぁ、気温計はーーーおっ、あれれ、マイナス4.7℃ですかー・・・うぅん、思ったよりこれは伸びないィッ!!なぜでしょう、氷堂さん。」
解説「そうですね。若者らしい発想でスベリ方としては悪くなかったと思うんですが、どっちかというと関心してしまいましたよね。あ、プレイボーイってこう釣るんだ的な感じでね。・・・ですから、結果的に男性陣にはウケずスベリましたが、女性陣には愛嬌的にウケてしまいましたね~。ですから、今一つだった要因はそこにあると思います。」
「真面目に解説することじゃねぇよ!!」
千葉コウイチ「(片手で力こぶを作り)上腕二頭筋で~~登山~♪(テクテクと人差し指中指を動かす)」
実況「どうでしょうか、気温計は~~アウチッ!なんということでしょうか!!暫定一位の千葉コウイチさん!!ここでウケてしまいましたあああぁあ!プラス12.2℃~~!!大ウケしてしまったああああああ!!」
解説「スゥゥゥゥそうですねー・・・こう、なんといいますかね。・・・まぁ、発想の、うぅん、・・・そうだな~ムキムキな体を生かそうとして、・・・うぅん~策士策に溺れるといいますかね。発想が普通におもしろかったですよね。自分の武器は諸刃の剣にもなりえるといったところでしょうかね。やはりスベることは難しいものです。・・・残念ですが、ウケてしまいました。これは痛い。」
「いや!!それでいいだろ!!」
浦安カズミ「(子供の声で)ねーねーママー、子供はどこから生まれるのー!(地声)そうねー子供はねー・・・(突如M字開脚をとり)ココ、産道!!(片手で股を指し示す)」
実況「さてさてさて、気温計は~・・・おっとまたも予想外の展開だああぁ!マイナス0.8℃!!まったく伸びない!プラスじゃないだけまだ良いのか!?・・・さぁ、ここまでくれば私には何がスベって、何がウケてしまうのかもはやわかりません!!氷堂さん!!!」
解説「まぁ、そうですね。これはおそらくさっきの津田沼シンタロウさんの一発ギャグと構造は似てるかと思うんですね。」
実況「といいますと!!?」
解説「やはりね、下ネタに分類される一発ギャグですから、ジェンダーによって大きく変わるかと思うんですね。何となく大の大人が変な格好してるから、子供にはまずウケてしまいましたよね。そして、男性陣にもまずまずウケてしまいました。そして、女性陣にはドン引きさせてスベリを誘ったかと思えば、女性陣の中でも、この一発ギャグはあまりにも堂々としているので逆に笑いを誘ってしまいましたよね。だから結果として、ギリギリスベったという感じでしょうかね。これは浦安カズミさんも、きっと女性の下ネタというパワープレーで一気にスベリを稼ぎに行ってやろうと思っていたはずなんですが、ちょっと誤算でしたね。」
(何を解説してんだ、この人は・・・わけがわかんなくなってくる・・・!)
狩人の体温がいよいよちょっと危ないくらいまで上がってくる。
相模ウツノスケ「トレーディングカードゲーム風に朝廷を呪う人。・・・俺のターンドロー、きた!ここで俺は朝廷へとダイレクトに呪いをかける!・・・何ッ!?呪い返し・・・だ、と!?フフッハハハハハハハッ甘いなァ!俺の呪いは一つじゃなかったのさぁ!!俺はこの瞬間、朝廷の呪い返しが発動し呪えなかった場合に発動する呪いをかけていたのさ!つまり、朝廷!!お前は呪われたァのだ!!俺の勝ちだ!!」
実況「おおぉおおー!!さぁ、気温計は、、きたぞおおぉおおおここで怒涛の51.6℃マイナス!!これは一気にスベっていったああああああああ!!今大会最高スベリです!今大会最高スベリをこの3ターン目に叩きだしましたァ!!相模ウツノスケさん!!これは、優勝へと王手か!!?」
解説「いやーすばらしい!!はい!そうですね!!もうスベるところしかない!スベる氷そのものの一発ギャグといっていいですね!!まず何といっても、独自の世界観!!もう意味不明!しかもやたら長い!!すべり散らかすしかありませんよ!!これは!!いやー数々のスベリを見てきた私も納得いく一発ギャグですね。他人に披露するのにいい感じに幼稚かつ強烈に印象が残って、見てるこっちに冷静さを長い時間で自覚させる素晴らしいスベリ技法ですよ。完全にスベリ領域展開していてまったく隙がありません。・・・観客の中でも唯一ウケているのはモンスターさんだけですからね。モンスターさんは今まですべてのギャグにスベりを見せてきましたが、このギャグでは唯一笑ったという例外中の例外ですからね。・・・これはもう実質パーフェクトですよ。絶対零度まであと一歩でした。」
実況「さあああああ3ターン目終了!!この時点で、津田沼シンタロウさん-8.3℃/千葉コウイチさんー2.8℃/浦安カズミさん-10.7℃/そしてええぇぇ文句なし相模ウツノスケさん-66.6℃!!狂気のゾロ目具合です。もはや言うまでもなく!相模ウツノスケさんが断トツ一位!!他を圧倒しこのまま優勝する勢いだあああぁあああ!!さぁ、はるばる冥府からきたという刺客、相模ウツノスケさん!!一体、冥府ではどんな地獄のスベリがあるんだあああぁあああ!!?・・・さぁ泣いても、笑っても、スベっても、運命の4ターン目です。”そのスベリを見届けろ・・・!”」
「やべ・・・、頭が・・・のぼせて・・・・・・」
狩人は熱中症を超えて死にかかっていた。
ーー運命の4ターン目ーー
津田沼シンタロウ「・・・・・・うっす。すいません、ここで棄権します。まだ、今の僕にはたどり着けないところがあるっていうか・・・・・・うぅッ(寒空を見て涙す)こ゛こ゛がァ僕の゛、僕の限界なんすかねぇ・・・!!」
実況「さぁ!!これは予想外の展開です。津田沼シンタロウさん、ここで何と戦意喪失か!?まさかの辞退!!・・・おっとですが~気温計がなんということでしょう!!ウケるウケるウケたああああぁああああウケていくううううううぅぅううううまた、ウケてしまったアアアアア!!75℃です。!!熱い!!熱い!!ここは鉄板なのかあああぁああああ!!」
解説「はい、そうですね。おそらく、これは一発ギャグというよりもコメントだったと思いますが、大会から逃げた者をあざ笑う・・・いや、最後までスベリ戦えよ!という観客の皆さんの怒りの声だと思いますねぇ。もう一回一からスベリ精神というのを磨いて来てほしい所です。ファイナリストまできた逸材ですから、来年もがんばってもらいたいですね。それでは、どうぞ帰ってください」
(いやいや、敗者を笑ってやってんじゃねーよ・・・よ、よくやったと思うぜ、津田沼さん・・・!)
津田沼シンタロウ「(_______________________※あなたの思う最高にスベリそうな一発ギャグをここに書いてみよう!)」
「だからって、自由帳みたいにしてんじゃねーよ!!」
あなたのスベリ具合では、津田沼シンタロウさんを救うことになるかもしれない!
さらにあなたが考えた一発ギャグ次第では、今後の展開もなかったことにできるかもしれない・・・!
さぁ、スベろう!スベって、津田沼シンタロウさんを優勝者にし、作品の内容も君が変えるんだ!
「(ついに地の文までスベリだしたぞ・・・)ていうか読者に放り投げんじゃねぇ!暑さでみんなおかしくなっちまったよ!!?」
↓ーif、もう一つの世界ー
千葉コウイチ「(平泳ぎの動作で)オナラで宇宙旅行!」
実況「こ、これはああああああああキタアアアアアアァアアアアアアアア灼熱の中の救世主!!!絶対零度!!来ました!!・・・終了!!」
解説「終了!!」
絶・対・零・度。
狩・人・蒸・発。