じゃあ、パンティーともやし炒めで。
ある日の狩人は、昔ながらの定食屋にやってきた。
ガラガラガラ
さっそく戸を開けて、狩人は店内に入ると席についた。
(ふぅ~腹ごしらえ腹ごしらえ・・・っと)
狩人はメニュー表を手に取ると、さっそく開く。
(何食べよっかな~・・・初めて来た店だからなー。最初は無難におすすめ品いっとくか~、えー何々、「”絶品!今日のおススメ”百年前の残飯」か~・・・・・・もはや毒物だろ!!おススメすんじゃねぇよ!!)
狩人は、気を取り直して視線を動かす。
(くっ、次々!・・・いや、そうだな、今日は久々に麺類とか食べたい気分かもしれない)
狩人は、麺類のページを見つめる。
(えっと、「刻み陰毛のきつねうどん」「刻み陰毛のざるそば」「刻み陰毛のとろろそば」・・・・・・。食欲消え失せるわ・・・何、そんなに麺と絡め合わせたがるんだよ・・・)
狩人は一気に食欲を失ったのだった。
(うぅっ・・・くっ、このメニュー表を見てるだけでわかる。どうやら外れの店を引いてしまったみたいだ・・・しかも・・・)
狩人は、顔を上げて厨房を確認し、またメニューを見つめる。
(さっきから店主の野郎、ずっと俺の方をガン見してやがる・・・くっ~こんなにもガン見されたら、出ていこうにも出ていけねぇ・・・ちくしょう、こうなったら、軽い単品だけ注文して、それとお冷だけを頂いて、早く他の店に行こう。)
狩人はそう思いながら、単品のページを見る。
(ー「もやし炒め」!・・・お!キター!まともなメニューあるじゃん!・・・よしこれを・・・え?もやし炒めの上に何かが乗っている!?)
狩人が見つけた救世主「もやし炒め」の正しい品名は、「パンティーともやし炒め」だった。
ガタッ「いや、余計なもんつけんじゃねぇよ!!」
我慢の限界に達した狩人は、立ち上がり思わず、店内に響く大声でツッコむ。
すると、横からささやき声が聞こえてくる。
「それね。うちの娘のパンティーなんですわ。」
「え!?」
いつの間にか自分の横へと、瞬間移動していた店主に、狩人は驚く。
腕組した店主は話始める。
「まぁまぁ座って。・・・そのパンティーね、うちの娘のパンティーなんですわ。」
「え!?」
狩人は、パンティーの持ち主の正体に驚く。
だが、腹の減っている今の狩人は冷静だった。
「いやいや、俺はもやし炒めを食べたいんです!パンティー抜きのもやし炒めだけをお願いしますよ!!」
「あのね。パンティーつけるとぐっと、その品目の売れ行きが上がる。陰毛もそう!お客さんにはわからんと思いますがね、こんな小さな定食屋が生き残っていくためには、人の温かみを感じる所で勝負しなきゃならんのですわ!!」
「いやいや!!ちゃんとした温かみで勝負しろよ!!生々しすぎてドン引きだわ!!」
「・・・娘は誰にもやらんが、娘のパンティーは誰にでもやる。これがうちの生存戦略ですわ。」
(シ、シンプルにゲスいな・・・)
「近頃はね、何ていうのかねーあの『食べてろくでなし』通称”食べろく”っていうグルメレビューサイトがあるでしょ。あれでそうとう攻撃されてるんだ!!けしからん輩が、うちの定食屋は、おまけ商法のカス店とか書き込んで!!まったく困ったもんだよ!!」
(あくまで、真摯に料理評価なんだな・・・)
「それがね他にも、『娘がいないと何にもできないガン見店主wキモw』とか、『平凡すぎる味。評価しようにも味がつまらない。パンティーも想像とかなり違った。』とかね!!しかも、私や店だけの評価に止まらず、『メニュー表にある料理だけでなく、裏メニューにある店主の奥さんすらもおいしくない。ただの豚でした。もう二度と行きません。以上。』こんな風に、もう毎日毎日攻撃されているんだよ!!私の一家は攻撃されている!!」
(ホントにここは定食屋かよ・・・一体何提供してんだ・・・)
「クソォッ!!ふざけんな!!ふざけんな!!・・・こっちはこの店を安定させようと一生懸命なんだ!!・・・豚の愛妻弁当は、側溝に捨ててきた。娘から毎朝6時新鮮なパンティーを調達してる!コンサル会社の人と人生ゲームして勝ち続けてる!!ネズミを養殖してはライバル店の前にばらまいている!!食べろくのサーバーにアタックも仕掛けてる!!・・・」
「もうすべての行動が定食屋を営む事と結びつかねーわ!!!真面目に飯屋する気あります!?」
「だから、君、テレビで見たよ。あの勇者ドラゴンだろ?・・・頼むよ。うちの店を救うと思って。何か注文しようよ。」
「あの・・・ってそんな有名人な自覚はないですけど~へっえへへ・・・(なんか、早いとこ逃げづらくなったな・・・)
「しっかし~懸賞金五十円だってね!・・・君もうちの店と同じで大変だね~あはははは!安すぎて誰も、食いつかない(笑」
「・・・・・・あのー帰っていいですか?いや、マジで帰るぞ(真顔)」
「・・・・・・ご注文の方をどうぞ」
店主はメニュー表を見ながら、狩人に伺う。
(サラッと流された・・・)
そして狩人は仕方なしに、メニュー表を見る。
「はぁ、もうわかりましたよ。俺だって、冷やかしで帰るのも気分はよくないですし。・・・えーとぉぉ、、、お、『爬虫類の炒め飯』・・・じゃ、じゃあこれにします。」
「へい!爬虫類の炒め飯一点ね。・・・しばらくお待ちください!」
そうして、店主が厨房へ向かい、狩人はしばし待つことになった。
そこで壁に貼ってあるポスターを、狩人は目にする。
「家族経営の定食屋ですが、店主である私は一切家族と馴れ合うつもりはありません。たくさんの裏メニューご用意しております。気軽にお申し付けください。」
(誰となら馴れ合うんだよ・・・つーか、怪しいな・・・)
~♪~♪
その時、電源コードで吊るされているブラウン管テレビから音が流れた。
(今にも落ちてきそうだな・・・)
そうして狩人は、「爬虫類の炒め飯」を待つ。
ここからはテレビの映像だ。
ー今回、私たちが取材したのは最近全国で多発している、学級崩壊についてです。こうした学級崩壊を止めるべく立ち上がった、ある県立高校の中村 藍羅武先生の奮闘に迫りますー
その時だった。
「はいお待ちどう~爬虫類の炒め飯で~す」
「え!もうできたんですか!早い!・・・・・・それではいただきます!!」
ぱくっ
狩人は割り箸を手に取ると、爬虫類を口にした!
「う、うまい!!」