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あれ、妄想で終わちまった......

ある日の狩人は......病んでいた!!

待合室の一室で、頭を抱えながら座っていたのだった!!

大丈夫か!?狩人!?


(......ハァ...今日は、心療内科にやってきた...。というのも、この異世界にやってきてから、クレイジーな人物ばかりを相手にし、逃げ出したくなるようなシチュエーションばかり経験してきた...。そのせいか、ここんところクレイジーなのは、異世界ではなく俺なんじゃないかと思うようにもなってきた...。あぁ...俺は一体何のためにツッコミを入れてきたんだ...。異世界はもう嫌だ...帰りたい......勇者なんかもう嫌だ...現実世界に帰って...普通に、普通に生きたいだけなんだ......あぁ...故郷の現実世界...。)


病みっぷりを存分に放っている時だった。


「・・・では、次の方、どうぞ。」


奥の部屋からそう呼びかけられる。


(やっとか...)スッ...


狩人は病んだ動きで、救いを求めるように部屋に入っていったのだった。


・・・バタン


「こんにちは。・・・では、さっそくそちらの席にお掛けになってください。」


厳格そうな白衣をきた50代の男の先生が狩人へと、対面式で置かれた机を挟んだ椅子に座るように指示する。


ガラッ「...。」


狩人が座った瞬間だった。


ブ~~~~~~~!!


部屋中にオナラの音が響き渡った。


(......えっ!?オナラ!?)


「・・・・・・。」


対し、先生は手を組んで、何も言わず座っていた。


(・・・えっ!?今のって・・・先生のオナラ・・・!?)


狩人は動揺しながらも、パフォーマンスが上がり始める。

嫌な沈黙が続く。


(えっ!?も、もしかして、この状況!!ツッコんだほうがいいのか!?・・・ツッコめば笑いに変わり、先生が救われる・・・!い、いや!で、でも今の俺は病んでるんだ...こ、ここでツッコんだら治るものも治らない・・・!くっ・・・!先生を救うか、自分を救うか・・・!どっちを・・・ッ!!)


狩人が迷っている時、黙り続けた先生がついにしゃべりだす・・・!


「私はオナラをしていませんよ。」


その一言のあと、また沈黙になる。


(えっ!?じ、じゃあ、もしかして、さっきのオナラって俺!!?・・・う、うそぉ!?)


そこで狩人は、先生の顔を見る。

厳格な表情を一ミリも崩さなかった。


(で、でも!!このモアイ像のような表情・・・ッ!!とても嘘をついているように見えない・・・!!......えっ!?じゃあ、ホントにさっきのオナラって・・・)


沈黙が続く。


(俺!?)


狩人の動揺は続く。


(そ、そんなことがあるのか・・・いや待て!!絶対に俺はオナラをしていないはずだ・・・この肛門様に誓って・・・というよりまったく俺の肛門様は、何も気配を感じていなかった。・・・空間を寸断するように何重にも渡って張られた、あの世界最高峰の赤外線センサーを通り抜けて、オナラが・・・!?)


狩人の頭の中に、スパイ映画のようなスタイリッシュに赤外線を避けていくオナラが浮かぶ。


(ハッ!?)


その時、狩人は重要なことに気づいてしまった。


(もしや!?そんなことがありえるのか・・・!!もしや病んでいる時って、肛門様の警備システムも止まってしまうのか・・・ッ!?)


ゴクッ


(くぅッ...いくら、最高峰の警備といえども、警備システム自体が止まっているなら、確かに誰でも通り放題だ。近所の小学生が「ねぇ、アタリ出たからちょーだい」と言わんばかりに駄菓子屋に入っていくレベルで容易ッ!!そしてッ!!駄菓子屋の店主のじいさんが居眠りしとる最中に、(ヘヘッ全く、じじいはちょろいぜ、こんなの菓子万引きし放題じゃん。・・・ヘヘッ!!)と小学生が悪だくみし放題って感じの緩さにまで・・・)


狩人の妄想は続く。


(でも、居眠りしてた店主のじいさんが、予期せぬタイミングで起きて、「坊や...この”ホクマ”の飴ちゃん食べるかって」缶をカランカランって鳴らせて、カラフルな飴玉を、小学生の透き通った水をすくいあげるかの小さな両手に、ポロって落とすんだよな・・・)


(そして、何とも言えない温かみに触れた小学生は、「...ありがとう」と小学生ながらにどこか罪悪感を感じながら、ホロっと、その小さな手にある飴玉を口に入れるんだよな・・・そして、それを温厚な表情で見た店主のじいさんは、「このホクマドロップの缶を見るとな・・・わしがまだ坊やぐらいの時に、おきとった戦争の事を思い出してな・・・坊やぐらいの子を見ると、ついあげたくなるんや。あんなけ、たくさんの人が、ようけえ戦争で亡くなったはずやのに、こうして、ホクマのドロップは今も、・・・あって・・・こんなカラフルで・・・口に入れて溶けるような儚い飴玉が坊やぐらいの手に渡ってると思うと・・・」)


狩人は自分の脳内に勝手に広がり続ける文学ちっくな話に、涙を流し始める。


(うっ、なんだ...急に、涙が...あぁ...つらいこともすべてながされて......あぁ...これが...ぁ...浄化...)


(「ぶげぇッ!!うおええええ!!これっハッカ飴じゃん!!うわ!しね!!このじじい!!こんな駄菓子屋つぶれろー!!つぶれろー!!再開発地区になってつぶれちゃえー!!・・・うわ~んセツコお姉ちゃ~ん」って小学生が飴玉を吐いて、泣きべそかいて逃げていくんだよな・・・)


(う、うわああああああああああああせっかく、いい話だったのに台無しにしてんじゃねぇよおおおお!!・・・ん?)


(じゃねえええええええ!!なんでオナラからハッカ飴に繋がってんだよ・・・!!...そうか、い、今の俺は病んでたんだ・・・どんな話もバッドエンドに繋がっ・・・じゃねえええええええ!!そっちの話じゃなくてだな!!えっと、そうオナラは俺がしたのかどうかって話で・・・)


狩人がついにおかしくなり始める。

大丈夫か!?狩人!?戻ってこい!?狩人!?


(ふぅ・・・ふぅ・・・よし、頭をハッカ飴で覚醒させるッ!!ふぅ、ふぅ、あぁ効いてきた...現実逃避はほどほどにってことで・・・とりあえず、この現実を受け入れることから始まるんだ・・・オナラは俺がした・・・!!このことを、先生に打ち明けるところから心の治療は始まるんだ・・・よし・・・!!)


狩人は覚悟を決めた。


「あ、あの先生・・・!実はさっきのオナラは・・・ッ!!」


「はい・・・」


先生は深刻に返事をする。


「さっきのオナラ・・・」


そして、遂に告げる!!

その時ッ!!


「ブーブークッションでしたね。」


なんと、そのように先生は言う。


「えっ・・・?先生・・・い、今なんですって?」


「ドラゴンさんの椅子にブーブークッションが」


「へっ?」


狩人は下を見て、自分の椅子を確認する。

確かにブーブークッションを尻に敷いていた。


「えええええええええええ!?ブーブークッションかよ!!」


狩人はハイになってツッコむ。


「えぇ、ブーブークッションですね。」と先生は同意する。


「えぇ!?なんで!?なんで!?」


「えぇ。なぜでしょうね。」


「なぜブーブークッションなんですか!?」


「それはブーブークッションだからですね。」


「じゃあブーブークッションってオナラなんですか!?」


「はい。ブーブークッションはオナラです。」


「えっ!?じゃあこれって、本物のブーブークッションなんですか!?」


「はい。これは本物のブーブークッションです。」


「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!」


「はい!ブー!ブー!クッション!ブー!ブー!クッション!」


「ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!・・・はい!!ご一緒に!!」


「ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ブー!ブー!クッション!!ーー


この世界は実にブーブークッションである。 ーーヘアク・サイ


ブーブークッションとは神である。   --オナーラ・ムオン


私でも解明できないことはある。ブーブークッションとは何か。   --スカペーシ



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