ゾンビ「今日は(生存者の)皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」
―次回の運、これって一番大事ですよね!?―
CNNがジョンサバイバーの独占インタビューをしている時、そこでFOX NEWS 独占インタビューの時間になったのでFOX NEWSの撮影クルーが部屋に入ってきて、CNNの独占インタビューが続いている横で、FOX NEWS 独占インタビューが始まった。
ジョンサバイバー「・・・とはいえ確かに食糧も大事ですが、案外空腹状態が1週間程度続いたところでそれほど問題はありません。それよりも実際の所、サバイバルでもっとも重要な事は”清潔な水”をいかに迅速に確保するか、ということです。」
CNNとFOXの人「それは聞いたことがあります。ヒトは3日間水を飲まなければ死んでしまうと。」
CNNの人とFOXの人はシンクロしてしゃべった。
ジョンサバイバー「はい。その通りです。ですから、私はゾンビワールドにおいても真っ先に清潔な水を確保することを強調したいのです。そこで私が提唱した水の確保法が役立ちます。まずヒトの関節には水を溜める機能があり、人体でもっとも水を溜められる両膝にはそれぞれ10リットル、ですから合計して20リットルもの水を溜めることが可能、というのは先日の発表通りですが、そこから水を必要になった時には溜めているだけでは吸収できていないので、膝を吸って喉を潤すという所までがセットの画期的なサバイバル法です。・・・なので常日ごろから20リットルの水を膝に溜めておけば、仮に水が手に入らない極限の状況であったとしても、少なくとも脱水で死ぬことはないので、溜めておくことをおススメしておきます。」
CNNとFOXの人「それはちょうどラクダ・・・のコブのような機能を果たすと。人体にそんな隠された機能があったとは驚きしかありません。」
ジョンサバイバー「私もこの人体の機能を発見した時は、驚きを隠せませんでしたが私たちが考えるよりも人体はサバイバルにはるかに強い、というのがわかります。・・・・・・ここまでは人体からのアプローチでしたが、もう一つ水を確保する手段をせっかくですから私から紹介したいと思います。」
ジョンサバイバー「その方法は私も人から教わった方法なのですが・・・ちょうど昨日、私は心身をリフレッシュさせに中央アフリカに遊びにいったのですが、そこで出会ったシャーマンと名乗る老婆が教えてくれたのです。」
CNNとFOXの人「まさか雨乞いをする方法とでも言うわけじゃありませんね?」
ジョンサバイバー「少し違いますね。それは、人体に直接水素を発生させる水素呼吸法です。習得はやや難しいですが水素呼吸法を身に着けたならば、もうあなたはサバイバル生活、いや日常生活においても飲水とは無縁の存在になることが可能になるでしょう」
CNNとFOXの人「Doubt!!」
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狩人の前に立ちふさがった筋骨隆々の黒人・ボブはそこでサングラスをかけてゲームのルールを説明し始める。
ボブ「叩いてかぶってジャンケンポン・・・この金づちと安全ヘルメットで行う。勝敗は相手が死ぬまでだ。」
ボブはそう言いながら、血で染まった金づちと『安全』ではない『殺人第一』と上から血で塗り替えられた安全ヘルメットを地面に置いた。
(や、やべぇぇぇ・・・ほんわかしたと思ったら、とんでもないデスゲームだった・・・・・・)
それを見た瞬間、ずっこけていた狩人は恐怖のあまりガタガタと凄まじく震えだした。
π「ちょっと、ちょっとあなた震えすぎですよ。あなたが震えるおかげで、私の内蔵されたジャイロセンサーも女性器にあてるピンクのローター並みに振動してますよ。少しは落ち着いたらどうですか?迷惑ですよ。」
(・・・この時計、急に下ネタぶっこんでくるんだよなぁ・・・・・・)
π「何を言ってるんですかこの程度ゾンビワールドでは当たり前ですよ。それに、グロとエロは比例関係というのは鉄則です。」
「いや何のルールだよ!!・・・て、そんなことじゃなくて!!今から目の前の黒人とデスゲームさせられるんだよ!?怖すぎて震えるのも当然だわ!!」
π「まぁまぁ。大丈夫ですよ私がいるのですから。」
(なんのあてにもなんねぇ・・・・・・)
ボブは補足する。
ボブ「あと特別ルールとしてジャンケンで負けて安全ヘルメットが間に合わなくても、頭で耐えきった場合はセーフ扱いだ。要は、相手が死んで自分が生き残れば何でもおーけーだ。・・・よし、じゃあそこに座れ。勇者ドラゴン。」
説明を終えたボブはそこでサングラスをとった。
「(なぜ説明の時だけサングラスを・・・)つーか、マ、マジでやるのかよ・・・ヤバい、ヤバすぎる・・・生存者怖すぎる・・・ゾンビワールドってこんなに怖かったのかよォ・・・」
π「生き残るためには仕方ありませんね。デスゲームに挑む覚悟を決めてください・・・それに私もデスゲームの攻略を手伝いますから大丈夫ですよ。」
「こ、攻略・・・?」
タカシ・モトジマ「オイコラアァッ!!さっさと座れェ!!時間稼ぎしてんじゃねぇぞ!!・・・なんならこんな茶番すっ飛ばしてすぐにぶっ殺してもいいんだぞ?」
「くっ!(つうか、絡んできた方が茶番って言っちゃってるよ・・・)」
ということで渋々狩人は黒人の対面に座った。
π「今回のデスゲームは叩いてかぶってジャンケンポンってところがミソですね。確かに勇者ドラゴンさん。あなたの腕力では目の前の黒人とでは比べものにならないぐらい非力でしょう。推定されるステータス差は一目瞭然です。この黒人をゾウとするならあなたは細菌並みですね。」
(どんだけ差あるんだよ)
「・・・ですが、これは叩いてかぶってジャンケンポン。・・・ジャンケンに勝ち続ければ一方的に攻撃が可能です。例えるならターン制RPGでずっと自分のターンしかこない状況ならば、どれだけ小さいダメージでもいつかは倒せます。」
「いやでも、そんなジャンケンで勝ち続けるって理想すぎて無理だろ・・・」
π「はい。そこで今回私、しれっともう助っ人と通話回線を繋いでいます。ジャンケン学の世界的権威・コロンブス大学教授のジャン・ケン教授に次の一手を教えてもらうことにしました。簡単に紹介しますが、ジャン・ケン教授の主な業績、量子力学の視点からジャンケンを解明した『ジャンケンの多元論』でノーベル物理学賞を、ジャンケン強者は自然と上の立場になるという『ジャンケン強者の社会支配定理』でノーベル経済学賞を、そしてジャンケンによって長年続いていた第7次世界大戦を終戦させ、『世界平和ジャンケン連合』の設立にも関わった業績によりノーベル平和賞の、ノーベル賞を三冠した教授です。」
「ジャンケンだけでそんなに研究できるの!?(ジャンケンってそんなに奥深かったのか・・・)」
π「それほどの教授が次の一手を教えてくれるのですから、絶対にジャンケンに勝ち続けられますよ。」
「う、ぅんまぁ信じてやってみるか・・・」
π「ふむふむふむふむ。・・・なるほど、そしてジャン・ケン教授が言うには筋骨隆々の黒人の初手は必ず、グーがくるのでパーを出すと勝てるらしいです。よってパーをだしましょう」
(パーか・・・パーだな。よし、パーでいくぞ・・・ッ!)
その時、覚悟が決まった狩人の目つきは変わった。
そしてジャンケンの時。
ボブ「叩いて、」
(狩人)「かぶって」
ボブ、(狩人)「ジャンケン、」――
「ポン!!」
ドドン!!⇒結果:ボブはチョキ。狩人はパー。・・・よって狩人の負け。
「おいいいいいぃいいぃいいいいい!!!負けてんじゃねぇえええかあああああぁぁああ!!教授ゥウウウウウウゥゥ!!」
狩人は絶叫した。
「さっきの前評判は何だったんだよ!!?ノーベル賞三冠とか言ってたよね!?」
π「まぁ、そりゃあジャンケンなのでそういうこともあるでしょう。・・・それとジャン・ケン教授は研究が忙しいらしいのでここまでのようです。・・・あ、金づちきますよ」
ボブ「最初は俺の一撃、もらったあああぁぁあッ!!」――フッガツウゥゥン!!ドッチャアアアァッドゴオオォオオオボゴオオオオオォッ!!
ボブが金づちを手に取り、狩人の頭を殴った瞬間、バトル漫画のように地面がめりこみ瓦礫が吹っ飛んだのだった。
ワンテンポ後。
「・・・・・・。・・・・・・あれ、痛くない。えっ!?出血物凄いけど全然痛くない!!頭も普通に動かせる!!なんで!?」
頭部(顔面)を真っ赤に染めた狩人は驚き続ける。
ボブ「な、なに・・・俺の一撃を・・・もろともしない・・・だと・・・こ、この小僧が・・・」
π「やはり、私ですよね。・・・私は優秀です。」
「も、もしかしてなにかしてくれたんですか!?・・・全然痛くないんですけど!」
π「はい。当然です。こんなところで勇者ドラゴンさんを死なせるわけにはいきませんからね。私の方でダメージを請け負っておきました。つまり、パイナップル社のクラウドの方で一旦、ダメージをツケにしておいて、世界でも救ってもらってからそれまでのダメージをすべて返そうというシステムです。」
「いや!!結局最後死ぬじゃねぇか!!」
π「ちなみに利子のダメージもありますのでご了承を。」
「悪魔すぎるわ!!」
π「さぁ、勇者ドラゴンさん。まだ黒人とのデスゲームは始まったばかりですよ。次のジャンケンがきますよ。まずは自力でジャンケンに勝つことから始めましょう。勇者ドラゴンさん。あなたはとりあえず目の前のジャンケンを勝つことだけに集中してください。」
「う~~ん・・・ホントにさっきの教授は何だったんだ・・・」
π「ピーン!ふんふんなるほど。・・・あ、一応参考として言っておくのですがネット検索と私の計算によりますと筋骨隆々の黒人はグーが多いのでパーを出せばおそらく」
「お前もかよ!!」
そして、二回目のジャンケンが始まる。
ボブ「叩いて、」
(狩人)「かぶって」
ボブ、(狩人)「ジャンケン、」――
「ポン!!」