みんな心に魔王を持っているんです
(王様の合図と共に大勢の憲兵が俺のために盛大な出発式・・・てっあれ?
なんか少なくね?)
憲兵10人ほどがリコーダーを持ってでてきて、力が抜けるような弱々しい音をだす。
(ん?これは小学生のリコーダーのテストかな?俺勇者じゃなくて音楽教師に就任でもしたのかな?
うーーーん全員不合格です。もっとがんばりましょう。通信簿には1をつけますねー。じゃなーい!!)
「おいおいおいちょっと待てーーーー!!なんだよ!!これ!!勇者様の出発式じゃねーのかよ!
ここ仮にも王国だろ?もっとこう交響楽団とか呼んで派手に・・・」
「仕方ないじゃろ!予算削減のためでの。憲兵をリストラしていったら10人しか残らんかったわい。
ワシだっての・・・ワシだって・・1日10食から5食に減らすほど、この国は貧窮しておるのじゃ。
だから許しておくれよ。ドラゴンよ。」
(十分食ってるじゃねーかよ・・・。)
「のおぉ?カネカネ大蔵大臣よ?」
ナハハ王は横にいたカネカネ大臣をゲス顔で見る。
「そうであるな~。国王様。ゲスゲスゲスゲス!!」
カネカネ大臣もゲス顔で返す。
「ナハハハハハハ!!おぬしも悪よのお~。」
「ゲスゲスゲスゲスゲスゲスゲス!!」
「ナハハハハハハハハハハハハハ!!」
ナハハ王とカネカネ大臣は盛大に笑う。
(ここはすでに魔王城だったか・・。このおっさんら2人倒せば俺帰れるかも。
やったー(棒)あークリア早かったなー(棒)。)
「勇者ドラゴンよ!なんだその顔は!!ワシとカネカネ大臣が2人で着服でもしているとでもいいたげそうな顔じゃの!」
「はぁ・・もういいや。次に進んでくれ。」(きっと世の中てこんなもんなんだよ。うん。)
狩人は大人へと一歩近づいた気がした。
「おほっん!では気を取り直して。あーーーえーー次なんじゃったけ?・・・出発式の進行手順を書いた台本をとってくるんじゃ。」
ナハハ王はリコーダーを持った1人の憲兵に台本を取りに行かせた。
しばらくするとその憲兵が台本を持って帰ってくる。
「はぁ・・・はぁ・・・実は私は肺を患っているのです。さっきリコーダーを吹き、走ったおかげで体が限界のようです。勇者ドラゴン。どうか魔王を倒して平和を・・・。
あぁ愛する妻と子供に最後に会い・・たかっ・・た・・・な・・・。」
憲兵はドッサと倒れて息絶えた。
その様子を見たナハハ王は言う。
「おのれ~!!魔王!!死んでいったものたちのために必ず討伐するのだ!ドラゴンよ!わかったな!」
(俺はどうやらコントを見ていたらしい。)
そしてナハハ王は台本を確認する。
「えーーでは勇者ドラゴンに初回購入特典品を授与する。持ってこ~い。」
そのナハハ王の合図と共に1人のメイドと身長190cmほどのイケメン男が何かをもって近づいてくる。