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運、これって一番大事ですよね!?  作者: フクツノタロウ
メインストーリーってなんですか?
25/51

UKRニュース速報 入異世界管理法違反の疑いで狩人容疑者を逮捕

生首が飛んで行った後。


「オホホホホホホホ!!生首が飛んでいきましたの!!・・・それでは、この辺で。おいとま~♪」


占い師のおばさんは、そう言いながら最後狩人に軽くお辞儀し、その一室から出ていった。


(結局、最後までキャラ、定まってなかったな・・・)


一室に残された狩人が、心の中で控えめにツッコんだ時だった。


(そんなん占い師のババアに決まってるからやろ!!憑依ひょういや!!憑依!!)


そんな言霊が、狩人に聞こえてくる。


(・・・!!)


言霊は続ける。


(わしは絶対この世からババア共をターミネートしに戻ってくるんや!!・・・そん時はサイボーグの肉体つけて、完全体として戻ってくるからな・・・せいぜい、米でも湯がいて待ってろや!)


そう言い残すと、言霊は消える。


「くっ・・・やっぱりこのアパートは、呪われているのか・・・早いとこ立ち去ったほうがいいな・・・」


そうして狩人が、アパートから出ようとした時だった。


「は~い、動かないで~!」


そういう掛け声と共に、スーツ姿の男たちがその一室に入ってくると、狩人の前に立つ。


「我々は、入異世界管理局の者だ。・・・勇者ドラゴンだな。」


「え・・・。は、はい。」


「じゃあ、これ令状ね。・・・え~18時24分・・・32.8951796574秒。勇者ドラゴン、お前を入異世界管理法違反の疑いで逮捕する。」カチッ


スーツの男は、そう早口で述べると、狩人の手に手錠をかけた。


「いやいや!!逮捕の秒数刻みすぎだろ!!・・・じゃなくてッ!なんで俺が逮捕されなきゃいけないんですか!?」


「はいはい、言い分は後で聞くから・・・ついてこい。」


「ま、待ってくださいよ!!俺、何も悪いことなんてしてませんよ!!それに何なんですか!入異世界管理局って!?」


突然逮捕されてしまったことに、狩人は取り乱していた。

それに対し、スーツの男は憐みの表情で狩人に付き合い始める。


「・・・ハァ、そこからか・・・あのね。我々は、異世界転移、転生者の取り調べをしている機関でね。君たちが現実世界と呼んでいる場所から、ここ。つまり異世界に転移または転生するには、一、10t以上のトラックにより轢死れきし。二、規定高度3000m以上のブラック企業のオフィスからの飛び降り。三、何股もかけた事による因果関係が認められる場合に限り、交際相手からの刺殺あるいは撲殺。または、その両方。それらの死因しか認められていないんだよ!!わかったか!!」


「物騒すぎるわ!!どんだけ現実世界絶望的なんだよ!!嫌すぎる・・・」


「・・・それに比べて、勇者ドラゴン。君は、ゲームを起動しただけで異世界転移してきたみたいじゃないか。・・・ダメだよ。まったく~。そんなんじゃ~。」


(くっ、こっちだって好き好んで、転移したわけじゃ・・・ッ)


「ま、そういうわけだ。・・・それにしても、今まで随分探したぞ。よく近所のコンビニをうろついたものだ。」


(捜査網のスケール感なさすぎだろ・・・)


「公園の公衆便所とか・・・」


(かくれんぼかな・・・)


「そういえば、一時期は、水槽の中も探したりしましたよね!!」と後ろの男が言う。


「俺は魚か何かかよ!!ホントに、人を逮捕する気あります!?」


そこで思い出すかのように別の男が口を開く。


「・・・あ!そうそう、そういえば捜査の終盤は、歯ブラシ持って、歯磨き粉つけて口の中なんかも探しましたよね~なつかしいな~!」


一人の男がそう言うと、スーツ男たちはそこで思い出話に花を咲かせ始める。


「あぁ!あった、あった!・・・あの容疑者一網打尽の捜査な~。あれで一気に一掃できたんだよな~。すんげぇアジトでさぁ。メチャクチャスッキリしたよなー。」


(ただの歯磨きじゃねぇか・・・)


「・・・いやーあの捜査の時さぁ、面倒見てた後輩が青ざめた顔して『先輩!・・・俺・・・歯磨き粉つけるの、忘れました・・・!』って、突然言い出してさ~。もう、そん時はどうなるかって・・・オレも思わず、取り乱して『お前!!急いであんパンのあんこで磨け!!って』怒鳴っちまった笑・・・したらさ後輩がさ『マジっすか・・・俺、シュークリームのカスタード派なんすよね』って笑」


「アハハハハハハハハハ!!」


(・・・・・・この人らの世界観どうなってんだ)


そこで先頭の男が狩人の方に向く。


「・・・最高裁がお前の運命を決めるんだ!!」


「突然、それっぽいセリフ言うんじゃねぇよ!!・・・・・・ところであのぉ、一つ質問いいですか。」


「だめだめ。何を聞かれても、私は黙秘するよ。弁護士!弁護士呼んで!」


「なんでッあんたがかよ!!」


狩人は強引に質問することに決めた。


「・・・・・・逮捕された後ってどうなるんですか・・・?」


「・・・仕方ない。答えてやろう。・・・入異世界管理局拘置所に移送された後、お前はそこで毎日20時間ミカンの皮を剥き続けてもらう。」


(いや割とマジで地獄だな・・・)


「そして、時が来れば、強制送還というわけだな。だが、ほとんどの者は剥き続けている間に、それが生きがいになり、強制送還を拒否するがな。」


ここで、ミカンの皮を剥き続けて早58年。

未完俊三みかんとしぞう師を紹介しよう。


むきむきむきーー


わしはひたすらミカンの皮を剥き続けてる。

人生のすべてがミカンの皮を剥き続けてきたと言ってもよい。

ミカンの皮を剥くことに関して、わしを超えるものはいまだいてない。

最近の若いもんは、ミカンの皮の剥き方が全然成ってない。


「こう剥いて、こう!もっと親指をグワアアアアアッッッと入れ込むッ!ーー」


いくら精魂込めて教えても、一枚剥きにできないし、しまいにはミカン汁を飛ばしよる。

どれだけ手を汚せば気がすむのか、一体


特にここ10年のミカンの皮を剥く人材にはひどいものがある。

最近の人らは、こうもミカンの皮に接していないのかと思うと、かなしくなる。

その中でもわしに言われた、印象に残ってる発言がある。


「ミカンの皮を剥く・・・?えっ?ミカンって缶詰に入ってるやつスッよね?」


これは時代の流れか

わしがオールドタイプといいたげな、その若もんの眼差しはどこか鋭い。


あぁ、ミカンの皮どこへゆく


・・・・・・・・・


「まてまてまてまてえええええええ!!急に誰だよ!!何だよこれは!!」


「・・・勇者ドラゴン容疑者、お、お前!?ミカンの皮を剥き続けた果てに、ミカンの皮に愛されミカンの皮にそのすべてを奪われた、師を知らないとでも!?」


「どうでもいいです(わざとらしいな・・・)」


「ふっ、まぁいい使いまわしみたいな顔しやがって、もういくぞ。」


そう言うと、スーツ男たちは狩人を連行し始める。


「意味わかんねぇよ!!(けど、妙に傷つく・・・ッ!)」


ーーカタッカタッ・・・


狩人がアパートの階段を下りている時には、すでに報道陣が集まっていた。


パシャッ!パシャッ!カシャ!カシャ!


「・・・あ!今、狩人容疑者がアパートの部屋から出てきました。狩人容疑者が、たった今階段を一段一段と下っています・・・!」


女子アナウンサーが中継し始める。


「顔は、とても使いまわされたような表情をしています・・・!」


「だから、どういう意味だよ!!」


その時、記者の一人が叫ぶ。


「使いまわされた今のお気持ちは!!?」


(いじめッ!?)









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