OK、ギーギル!オススメの人生を教えて!
「・・・と、以上でブリーフィングを終えるが、何か質問は?」
パトカーの後部座席で、刑事はマイケルに尋ねる。
「う~ん、OK、OK・・・だいたいわかったさ。俺が角待ち坊やを突スナでキルすればいいんだな。今日もまた、美しきヘッドショットが生まれてしまうんだね・・・。あぁ、吸い付くエイムは、女神のように美しい・・・。なんと罪深いエロさなんだ・・・。見とれてしまうね。」
「いやいや、あなた、私の話聞いてました?スモークとフラッシュバンを他の者たちが投げ込んで、そこからライオットシールド部隊が突入し・・・」
「シーーーー・・・俺のポリシーを教えてやろう。やかましいボイスチャットは、ミュートにする。これだけだ。」
「・・・つまり、私の今までの話を一切聞いていなかったと・・・」
「おっと、キルされたくなかったら、その汚い口から発せられる雑音を止めることだ、刑事さんよぉ。エイムが乱れる。」
マイケルは、ナイフを何回も空振りにし、座席のシートをズタズタにする。
「・・・・・・。」
マイケルは、パトカーのドアを開けて、外に出ようとした時だった。
「あなた、そんなやり方では、いつか死にますよ。」
刑事が意味深く重く、発言する。
「・・・・・・フュ~♪安月給刑事ごときが、SVV∀⊥隊員の俺に、向かって警告ですか。まったく、平和の平和・・・平和ハッピーインハッピー祭りの刑事さんは、違うな~。フュ~♪銃撃戦も経験したことがないお子様坊は、黙って牛丼でも食って喜んで、値上げ値下げの度に一喜一憂で人生を楽しんどきな。それぐらいしか、楽しみないだろ?それとも、犯人と鬼ごっこで遊ぶかい。追いかけはするけど、アイツらの足は、音速並だ。だから追いつけなくて、悔しい思いをにじませ、家に帰って運動会帰りのジュニア生のように『俺、猛特訓して、足、絶対速くなってやる・・・!!』って少年マンガ主人公並に燃えるけど、スポーツショップで足が速くなる靴を買ったら満足して何もしないだろ?」
「フッ、なぁに、そんな刑事でも直感だけは・・・・・・冴えてるってもんです。(クソッ、言われたこと全部当たってやがる・・・。ここは名言でごまかすかッ・・・!!月刊 理想刑事にも書いてあったしな。)」
「・・・・・・フン。」
バタン!!
マイケルは、パトカーの扉を勢いよく閉めたのであった・・・。
「・・・って、何だよ!!このドラマは!!無駄に真剣すぎるだろ!!(内容はしょうもねぇけどな・・・)」
マイクを向けヘッドホンで聞いていた狩人は、勢いよく突っ込む。
「オラァ!勇者どけ!!テメェは、もうただのオブジェクト化してりゃあいいんだよ!!」
その時、強盗が暴言を吐く。
(クッ、なんて扱いを受けるんだ・・・)
狩人は、ガラス際から離れる。
「さぁ、こい。角で待ちかねたぞぉ・・・・・・。埃になってしまうところだった。」
その10秒後だった。
バリーン!!
マイケル、すなわちギリスーツがガラスを突き破って、突入してきた。
その手には、スナイパーライフルが、構えられている。
「・・・もらった。」
カチッ、ドオォォン!!
スコープを一瞬だけ覗くと、強盗のヘッドに向けて、撃った。
「すっ、すごい!!ドラゴン君見てくれ!!あれは、く、クイックショットだ!!」
そう解説を始めるのは、潜入捜査官だった。
(アンタは、そういうキャラじゃないだろ・・・)
ズコン!!
弾丸は、見事ヘッドショットを決める。
「グッドキル・・・まっ、角待ちboyなんてこんなもんさ。猫のような飛び出し危険には、反応できないのさ。」
マイケルがキルを確信したときだった。
「・・・誰しもが同じ速度で生きているとは思わないことだな。モジャモジャアアァァ!!」
「・・・!」
強盗が、マイケルの背後に現れた。
「こ、これはッ!ラグを利用したラグ残像!!う、うん間違いないね・・・彼は赤ピンだ!あの1本だけの赤ピンだよ!!ドラゴン君!!これをうまく利用するのは至難の技だよ!!ドラゴン君!!」
(なんかめっちゃ、盛り上げようとしてるけど、盛り上がらねぇよ・・・)
「くっ、だが俺の反応速度は、残像を超える!!」
そう言うと、マイケルは、一瞬で反転する。
「こ、これは、感度マックスの振り向きエイム!!す、すごい!!突スナでありながら彼は、感度マックスだよ!!ドラゴン君!!すごいと思わないか!!なっ!?すごいだろ!!」
(もしや、俺が場違いなのか・・・?)
「・・・ザッコ、はい~キル~」
ズドン!!
「ぐはぁぁぁっ!!」
マイケルは、ショットガンを食らい壁にめり込む。
強盗は、その死体に近づく。
「・・・まったく、エイムを過信したヤツの末路だな。いいか、エイムってのは感覚もんなんだよ。感覚に頼って生きていけるほど、この業界(強盗界)は甘くねぇ。大事なのは、立ち回り。立ち回りこそが安定させるってことをわかっていなかったみたいだな。」
そう強盗は吐き捨てると、スマホを取り出して撮影しだす。
「よし、『SVV∀⊥隊員をキルしてやったwww楽勝すぎwww』っと、強盗ロワイヤルの掲示板に上げとこっと!」
(余裕の強者台詞言っときながらメチャクチャ喜んでるじゃねぇか・・・)
パシャ!パシャ!
強盗の撮影が続く。
「にしても、勇者ドラゴン・・・テクノロジー、今の時代は、いいよなぁ。」
「ハハッそうですね・・・(さっきから俺は、お前の話相手じゃないんだぞ・・・)」
強盗は、スマホに口を近づける。
「このスマホのAI確か・・・hey、ziri!」
ピポ
強盗が持っているホームボタンのあるスマホが反応する。
「モウ、アナタノコトナンテシリマセン。」
「・・・・・・。」
「上等じゃああああゴラアアアァァ!!尻軽クソビッチの居場所はこの家にはねええぇぇ!!!出てけぇぇ!!」
ズドン!!
強盗は、そのスマホを投げ捨て、ショットガンで穴を開けた。
(何でAIと、もつれてんだよ・・・)
強盗は、もう一つスマホを取り出す。
「・・・けっ、俺の本命は端からこっちだ。・・・OK、ギーギル!オススメの、角待ちポイント教えて。」
スマホから拡張現実の地球が映し出されると島国にフォーカスしていく。
そして、ピンが無数に立つ。
「・・・こんなふうに、今は簡単に角待ちポイントがわかるから便利なもんだ。昔に比べれば随分と戦いやすくなったなぁ・・・」
強盗は、しみじみと語る。
(無駄にハイテクだな・・・)
「さらに・・・ギーギル!オススメの強盗ポイント教えて。」
またさっきと同じように、ピンが立っていく。
「いや、オススメすんじゃねぇーよ!!悪人にしか需要ねぇじゃねぇか!!」
「一目でわかる時代っていいよなぁ・・・」
強盗は、しみじみ語る。
(もはや、強盗すらハイテクかよ・・・)
「ここまで、進歩したおかげなのは、確か、何だっけな・・・AIのディープ、ディープ・・・ディープキスか。」
「AIがディープキスしてどうすんだよ!!・・・てか、これがさっきのもつれに繋がるのかぁ・・・う~ん、これほど無機質なキスはねぇよな~ってじゃなくて!・・・ディープラーニングだろ!」
「それだ。AIのディープランニングってやつで一気に・・・」
「ちげええええええええ!!なんだよ、ディープランニングって!!覚醒したマラソン選手か何かかよ!!」
「まっ、何でもいいか。得られる恩恵だけが重要なんだしな。AIのことなんて知らね。」
(はぁ・・・無駄に疲れるな・・・いつものことだけど)
この時、人類はまだ知らなかった・・・
すでにAIの支配が始まっていることを・・・
この4年後・・・長きに渡って、AIと人類が大戦を繰り広げることになるとは・・・
「勝手に、壮大な予告にすな!!」