空気を読みすぎてしまいました・・・ただの静観マンに成り下がってしまったよ~(T-T)
「よし、めぼしい物は、盗んだな・・・。後は・・・」
強盗が、サンタクロースの袋のように肩から担ぐ。
「まっ、待ってくれ!!私たちを解放してくれ!!頼む!!」
縛られている評論家のおっさんが、叫んだ。
「・・・・・・。」
「頼む。このことは、誰にも言わない。なっ?この5人だけの秘密にしようではないか。」
「・・・秘密だと。」
食いついた強盗に、評論家のおっさんの目がキラリと光った。
「あぁ、そのかわりに、口止め料として私の口座に毎月・・・」
ズドォン!!
強盗のショットガンが火を噴いて、壁が破壊された。
「ひいいいぃぃぃ!!冗談ですうううう冗談ですううぅぅ!!。少し場をリラックスさせようとぉぉぉ・・・!!」
(絶対、今のはマジだったろ!!)
狩人は、そう思った。
続けて、評論家のおっさんはしゃべる。
「・・・冗談は、置いといてですねぇ~。強盗様・・・こいつらの命はどうでもいいので、私だけでも解放して頂けませんか・・・?もちろん、無償で、誰にもこの事は言わないので・・・。(口止め料をもらえないなら数ヶ月後に、この事をドキュメント本で出版して、稼ぐしかあるまいな。)」
「さっきは全員解放といったではないか。」
「よく、考えたらどうでもいいかなと・・・。(無理な要求をしてから、現実的な要求に落とす。私の業界では常套手段だよ・・・。所詮強盗ふぜいだな。)」
「・・・お前がそこまでして解放されたい理由はなんだ?」
「・・・ゴクリッ(ここが正念場だな。この理由で私の運命が決まる。)」
評論家のおっさんの顔に脂汗が出る。
「ぷ、プロ野球中継がもうすぐ、始まるので・・・それの観戦せねばということです・・・。」
強盗は、少し考える。
(おっさん・・・あばよ。さんざん、かき乱してくれた存在だったなぁ・・・。)
狩人は、そう思う。
「・・・よし、いいだろう。絶対誰にも言うなよ。」
(って解放されるんかいッ!!)
「ああぁぁぁありがとうございますううう!!絶対誰にも言いません!!(口では・・・ね。)」
おっさんは、縛られていたのを解かれる。
立ち上がる。
「あぁ、この開放感。久々ですよ。私が学徒の時を思い出します。学校が終わった帰り道ぐらいに、開放感がありますよ。ハハハハハハッ!!他のものたちよ、君たちは負け組!!私は、自分で自由を勝ち取った勝ち組!!私のようになりたかったら、精々、あがいてみることだな。まっ君たちの軟弱な頭脳ではできないとは思うがね!!ハハハハハッ!!ではな!!ハハハハハッ・・・!!」
そう捨て台詞を吐くと、高笑いしながら評論家のおっさんはそのコンビニから出て行った。
(すんげぇ・・・ザコ臭、醸し出していったぞ・・・)
狩人は、そう思った。
「あの~ちっといいスッかね?」
その時、チャラ男が強盗に向けて言った。
「なんだ。」
「どうして、目的を終えたのに、逃げないんっスか?」
「・・・白々しい・・・店員だな。お前は、知っているだろう。なぁ、潜入捜査官?」
潜入捜査官という言葉を聞いて、チャラ男が激しく動揺する。
「なっ・・・!!どこでそれをっ・・・!」
(なんか、壮大になってきたな・・・どこまで広げるんだ・・・。)
「まぁ、お前の正体など実際どうでもいいのだ。・・・どうせだ。勇者ドラゴン。1人でずっと、黙って呟くぐらいしか出番のないお前に振ってやろう。」
「うっせぇ!!余計なお世話だ!!(・・・俺は、自分で個性をだしていって出番をもらうんだ・・・!!)」
「俺が強盗をした後、どうして逃げないか。わかるか?」
「・・・実は、まだ盗みきっていないとか・・・どうでしょう。」
「つまらん回答だ。そんなセンスで勇者をやっていけると思うのか?」
「いやいやまったく関係ねぇだろッ!!ってか俺は空気を読んだに過ぎねぇし~。明らかシリアスパートだし~。俺は、ただ勇者中心で回るのが嫌いな、空気も読める勇者だし~。」
「ふん。さっさと劣等感は克服することだな。・・・逃げない理由。それはこのゲームのルールでな。盗んだ後は、そのコンビニで迫り来る警察を向かえ撃たなければならないのだ。」
強盗は、そう言いながらガラケーを取り出して、画面を狩人に見せる。
「・・・えっ~と、『強盗ロワイヤル』?」
「簡単にいえば、タワーデフェンスをしなければならない。やってきた警察側を全滅させれば強盗の勝ち。強盗側が倒されたり、盗んだ物を確保されれば負け。負ければ俺は全国で指名手配される。勝てば、チャラ、見逃してくれる。」
「・・・で、その『強盗ロワイヤル』ってやつと何の関係があるっていうんですか・・・。」
「これはな。勝って、盗んだ総額のランキングを映し出す、サイトだ。勝てば勝つほど、上がっていく。ちなみに負けて指名手配されれば、このランキングからは除外される。」
「へぇ・・・。」
「ちなみに俺のクランは現在27位。今はな。過去最高は、2位だ。」
「へぇーすごいねー(棒)」
「強盗に必要な装備の購入。メンバー募集も掲示板を使い、ここで出来るというものだ。」
「つーか、どうして、そんなことがまかり通るんだ?」
「このサイトの運営が、警察という噂がある。察しろ。」
「・・・えっと・・・でっ、ここでもうすぐ銃撃戦が繰り広げられると・・・」
「あぁ、もうすぐで第1ウェーブが始まると思うが、俺のクラメンがまだ来ていない。ここで待ち合わせをしたものだが。」
強盗は、そのままガラケーで電話をかけ始めた。
「・・・おい、今どこにいる。もうすぐで第1ウェーブが始まるんだぞ。・・・あぁ、あぁ。・・・何、店を間違えた!?おい、あれだけ、打ち合わせしただろ。・・・あぁ。いいから早くこい!・・・あぁ・・・」
そう強盗が電話で話している一方、チャラ男?が狩人に話しかける。
「ドラゴン君。ドラゴン君。ちょっといいか・・・」
「あっえぇ・・・って、顔がなんかバグってますよ・・・。」
「あぁ、これは正体がばれたことで、チャラ男のマスクがはがれてきているんだね。気にしないでくれ。ほら、仮装の時期だろ。それと思ってくれていいよ。」
「・・・は、はぁ・・・。」
「いいか、私はあいつの言ったとおり、潜入捜査官だ。」
「それは衝撃の事実ですねぇ・・・。」
「ほら、・・・見てくれ。あそこに電子レンジが置いてあるだろ?」
「あぁ、はい。」
「こんな時のために私は、あそこに爆弾を仕掛けていた。タイマーは30分だ。30分すれば、暖めが始まって、テーブルが回り始める。その状態が5日間続くと起爆して、このコンビニごと吹き飛ばす。」
(遅ぇっ!!)
「そう、遅すぎるんだ。ワット数が足りなかった。これは、予算不足だね。」
「じゃあ、どうするんですか?」
「どうも、しない。」
「え・・・」
「とりあえず、今は3人でこの縛られた状態を続けよう。そうすれば、何か救済があるかもしれない。」
「なんですか・・・その希望的観測は・・・。」
「ほらっ・・・しばらく何も動かしていないとヒントが現れる場合もあるだろう?それと一緒さ☆」
潜入捜査官はウインクした。
(ダメだ・・・。全然、アテになんねぇ・・・。)
「おっと・・・何をおしゃべりしている。お前たちは、盾として機能してもらうんだからな。」
電話を終えてきた強盗が、そう忠告する。
(はぁ、潜入捜査官は、ダメ。タクシーのじじいは相変わらず寝てるし、もう俺は詰んだよ・・・。選択を間違えたッ!!)
狩人は、ただおとなしくするしかなかった。
すべてフィクションです。実在のものとはまったく関係がありません。