スーパーアーマーなんて卑怯だぞッ!!
TAKE2!カタッ!
「・・・俺ッチは、孤児院出身なんですよね~。両親はいない・・・ッス。(ヘヘッ食らえいやがれッ!「闇のチラ見せ」!!)
「はぁ、そろそろ真面目に解説しますか。え~っと、闇のチラ見せとはですね。あえて、自身の不幸なことを晒すことで、それ以上深入りをさせないという防御技ですね~。特徴としては、防御率が高い!
常識的な人間なら、『あぁ、こいつはめんどくさいな・・・』といって、引いてしまうことにあるでしょうね。そして、ですよ。誤って踏み込んでしまえば、その闇に飲み込まれてしまうというスキの無さ。
明らかな嘘だとわかっても、指摘なんてできませんからね~。繰り出された方は、たまったもんじゃないよッ!まったく!」
一方狩人は・・・
(クソッ!!そんなの卑怯だッ!!どうすることもできないッ!!)
「さぁ、勇者さまぁよぉ~。さっきまでの威勢はどうしたスッか?(孤児院出身なんかもちろん嘘だ・・・だが、これで終わりだな。)」
(ダメだ・・・選択肢がもうないッ!!俺は終わり・・・なのか?すまねぇ、店長・・・追求できそうにねぇ・・・。)
「これは・・・もう勝負がつきましたねぇ~。私も、やっと帰れるというものです。喋っていない時は、椅子にただ、座らされる。退屈で仕方が無いですよ、ほんとうに。おかげでこの仕事をしてから痔持ちになりましたよ。えぇ。」
勝負は決した。
狩人は、負けたのだ。
しかし、狩人の目はまだ死んでいない。
(いや!!まだだ!!まだこれがあるッ!!最終奥義「俺は勇者だ!!」)
「何すかッ?その諦めていないような目は?勇者だからって・・・!王道パターンで勝てると思うなよ?スッ。主人公というだけで、勝とうとするなんてダメッスよ。」
「グッ!!(これは、まさかッ・・・!相手のすべてのあらゆる勝ちの可能性を潰す・・・)」
「俺ッチは、「メタ発言」を発動するッス。この展開から、主人公という立場だけで、覆そうなんてダメッスよね?都合よすぎッスよね?強引ッスよね?もう、俺ッチの勝ちにして先進みましょう。」
「出たアアあぁぁぁ!!」
なんとそこで評論家のおっさんが、情熱の叫びをする。
「メタ発言!これはですねぇ・・・私たちより高次元の存在に呼びかけることによって、あらゆるものの展開を自由自在に操るという最高技ですね~。これを繰り出された方は、もう終わりでしょうね。主人公など特別な存在ではないというのが、まざまざと実感できるといったところでしょう。
いいですか?主人公なんて、所詮いくらでもいるんですよ。その世界には一人しかいなくてもですねぇ~他の世界には、主人公はいるんですよ。その主人公たちをパーティに誘い一つの会場に集めたらどうなるか?
誰が、主人公になるか?そうです。主役を賭けた戦いが勃発ですよ。まったくッ!!私も参加させろとでも言いたいですよ。青少年が多くて、腹が立ちますよ。ほんと。私みたいな、おじさんは除け者扱い。どうせだ、いっそのこと海の向こうにでも行って、勝ち取ってこようかなとでも思う次第ですよ。」
(評論家のおっさんが主人公ってなんか嫌だな・・・。辛気くせぇ!)
狩人は、そう思う。
「にしても、おっさんも、結局海外に逃げるんだな・・・。」
「なにィ!!今、なんと言った、君!!」
これを契機に、今度は狩人とおっさんとの戦いが始まってしまった。
チャラ男は、品出しの時間になったので、その場から消えた。
「とりあえず、海外といっておけば、誤魔化せるもんなぁ~。」
「コラッ!口を慎みなさい!!ここまで誰が解説してきたと思ってるんだ!!」
「たいしたことを言って無くても、言語を変えるだけで、それなり知的風に聞こえる。向こう暮らしだからといって、客観的に見ることができるからって、好きなだけ言いたいことを、ボロクソに言える。
これは、「海外の盾」を発動したといってもいいな。評論家のおっさん!!」
「はぁ~もう君のような、若者が増えた昨今。私がいくら、批判しても警鐘を鳴らしても、ここは変わることがない・・・。
この沈みゆく船に乗っているだけなら、私は浮き輪を装着して、遠い大陸まで泳ぐことにするよ・・・。
もう終わりだよ!もう終わり!ハハハハハハハッ!!じゃあな!!」
そう言うと、評論家のおっさんは立ち上がり、自動ドアに向かう。
その時だった!!
ガシャーン!!
なんと、コンビニの店内に、タクシーが突っ込んできた。
「なんだ!なんだ!・・・これは、まさしく、審判の日が到来かッ!?どうか私だけは・・・ッ!」
おっさんが、状況を把握できず、あたふたとそう言って立ち上がる。
「い、忙しいな・・・。イベント詰め込みすぎいいいぃぃぃ!!」
狩人もそう言って立ち上がる。
「これが噂のダイナミック入店ってやつッスかね~?」
チャラ男も裏から飛んできた。
タクシーの後部座席から、目出し帽と防弾チョッキを装着し、ショットガンを持った男がでてきた。
「よ~し、全員動くな。頭を吹っ飛ばされたくなかったらな。」
(これは、定番イベント・・・強盗!!)
狩人は、足が震える。
「そうは・・・いかないッスよ!!」
パアァン!!
その時、チャラ男が、腰のホルスターからリボルバーを抜き、速射!!
ズドンォン!!
「ぐはッ!!」
リボルバーの弾は、強盗の頭に命中したものの、のけぞることなく、すぐにショットガンで反撃をされた。
チャラ男は、おにぎり陳列棚に吹っ飛んだ。
口から血が流れる。
(なんか、雰囲気変わってきたな・・・これはギャグだし、死ぬ事なんてないよね?ない・・・よね?)
狩人は、そう思う。
「俺は、ショットガンを持っている。つまりスーパーアーマー持ちだ。愚かな抵抗はやめることだな。」
「はぁ~まったく、こんな入店をして、さらにはショットガン持ちとは・・・まったく君は、どこまで勢いバカなんですか。少しは、頭を使いなさい!!このアクセル脳!とりあえず、そのスーパーアーマーを脱ぎなさい。話はそれからだ!」
「おっさん!!(なんかさっきよりすげぇ、頼りがいを感じる!)」
評論家おっさんの抵抗に、狩人は、期待を寄せる。
「残念ながら・・・タクシーを運転したのは俺ではない。この、じいさんだ。」
その時、タクシーの運転席で座っていたじいさんが、狩人たちに会釈する。
「前の車を追ってくれ・・・ならぬ前の店に突っ込んでくれ。そう頼んだのだ。」
(おい!じじい!!)
バタン!
そして、運転手のじいさんが、降りてきた。
「初乗り料金くれんかの~?」
「そうだったな。くれてやろう。・・・弾丸をな。」
ズドォン!!
「ぬおおおおぉぉ!!」
じいさんがショットガンで撃たれ、菓子陳列棚に、飛んでいった。
「くっ!こんなことをして許されるとでも思っているのかね!!」
評論家のおっさんは引かない。
「黙れ、評論家。おとなしく、批判だけしてろ。」
パチン!
強盗は、おっさんに、ビンタした。
「おのれええええぇぇぇぇ!!年収800万円の私にいいいいぃぃぃ手を上げるとはなあああぁぁぁぁ!!
暴力だけは、超えてはならない一線なのだよおおおおおぉぉ!!」
「ちなみに俺の年収は、1500万円だ(ドン!)」
おっさんは、コンマ単位で土下座する。
「・・・・・・非常に、失礼な私の行い、どうか見逃して存じ上げ頂けますよう・・・」
(そこで屈するのかよ!!)
「勇者ドラゴン。貴様はどうする。抵抗するか?」
「ハハハッ・・・もう(どうでも)いいです。」
「賢明だ。」
チャラ男、評論家のおっさん、タクシーのじじい、狩人の4人は、強盗に、店内にあったソーダとコーラ味のひもグミで縛られたのであった・・・。