選んだのではない。選ばされたのだ(・・・誰に?
(頼む・・・せめてまともなのをっ!!)
狩人は、そう願いながらクエストの紙を確認する。
「え~じゃあ読み上げます・・・。依頼主は、復讐の精霊さん。内容は・・・
『最近、暴走族がうるせぇ!やつら何かを訴えながら、爆音の音楽を流しながら、走ってやがるんだ!
まともに寝られやしねぇ。勇者さん、頼むよ。奴らをこらしめてやってくれ!!
巡回ルートは特定してるから、別紙の通り参照してくれ。頼んだぜ!』っと・・・報酬額は94万か。」
(この内容、つまり襲撃ってことはRPGのクエストというより、洋ゲーのサブミッションだな・・・。いろいろごちゃ混ぜすぎだろ!!・・・でも、今までの内容に比べれば全然まともだ。勇者がやる内容とは思えないが、これにしよう。)
狩人はそのクエストを請け負うことを決心する。
「ソージさん、俺これにします。」
「そう。じゃあ、クエストデビュー戦がんばってね。これ、軍資金として1万円よ。クエスト成功の報酬を受け取るまでこれで持たせなさい。」
ソージの、その親切な言葉となんだかんだで助けてくれる行動に思わず、狩人は顔がほころぶ。
「うへへぇ・・・がんばります。」
そして、初めてクエストが決まった狩人は、やる気をなんとか沸き立たせ、ハローワークから出て行った。
「さぁどうやって、こらしめるかなぁ~。」
スキップるんるんの狩人に対し、ガラスの自動ドア越しに映るその狩人の後ろ姿を見ていたソージは、自分の思い通りに動く狩人に悪女の笑顔を浮かべる。
「フフ・・・ちょろい。」