登校。
こんな世界があったらいいな、といった妄想ダラダラの小説ですが読んでいただけたらなぁと。
「おはよう」
その声を聞き慌てて後ろを振り返る。
そこには赤髪の女の子 空野心美が不機嫌そうに立っていた。
「お、おはよう…」
不機嫌な彼女の挨拶に僕、火崎怜はとりあえず挨拶を返す。
「あのさ、待ち合わせ時間から1分も過ぎてるわけなの。わかる?」
原因がわかった僕は即座に謝罪する。
「ご、ごめん!ちょっと支度に時間かかっちゃって…」
すると彼女はへの字に曲げた口を開く。
「いいわ、〇×堂のいちご大福で許してあげる。さっさと学校いくわよ。」
〇×堂のいちご大福は大変人気で数時間並ばないと買えない代物である。
「またあのいちご大福か…」
「何か言ったかしら??」
「い、いや何も!」
僕は急いで彼女の元へと駆け寄る…
僕と心美はグリモワール学院の2年生である。
寮で生活し、朝は共に登校。何故共に登校するかって?
僕達は小さい頃からこの都市で過ごしてきた。俗に言う幼馴染みってやつだね。
心美は空野財閥の令嬢であり、この魔法都市の魔道士ランキング5位の実力を持つ天才女子高生なんだ。
そのクールな性格に天才女子高生…影には同性ファンが沢山いるらしい…。
タッタッタッタッ…
「怜くーんッ!!」
と言う女の子の声と共に背中に衝撃が走る。
「おはよう怜くん〜」と頬ずりしながら抱きついてきたのは同じ寮に住む椎名美咲。正直毎日背後から突撃してくるのはやめて欲しいところだ。
だがそんな美咲も魔道士ランキング6位の実力者。
「チッ」
少し離れたところで舌打ちをしたのは心美。
「あら〜心美さんおはようございます〜。ごめんなさいいらしたのですね〜」
煽る様な口調で美咲が発言する。
「早く学校いくわよ、怜。」
いつもの事の様に美咲を無視して心美が僕の腕を引っ張る。
「怜くん。ちょっと私の部屋に寄ってから学校いきましょう?」
もう片方の腕を引っ張りながら美咲は言う。
だがそんな時間もなくもう少しで遅刻してしまう。
遅刻すると罰掃除が待っているためそれは避けたい。
「美咲、とりあえず学校に行こうな。昼ご飯一緒に食べてやるから」
と僕が発言すると
「ほんとに!?それじゃあ学校までダッシュ〜!」
と言い残し凄まじい速度で美咲は学校へと消えていった。
心美は呆れた様に大きなため息をし、僕は苦笑する。
そんなこんなで僕の今日の学園生活が始まった。