君のために僕は詠う―22―
君のために僕は詠う―22―
僕達を囲む木々の青臭い、ひんやりとした空気。
今にも降ってきそうなくらいの夜空の星々。
どのくらいアキを抱きしめていただろう…
気付けばさっきまで微かに聞こえていた車のエンジン音が聞こえなくなっていた。さっきまで光っていた市街地の明かりも大分暗くなっていた。
アキは僕の腕の中でじっとしていた。
ただ…アキの鼓動が僕の身体に響いていた。
「―――アキ…」
僕はアキを抱きしめたまま呟いた。アキの身体がピクっと動いた。
「うん?…」
僕は静かに目を閉じた。そのまま堪え切れない“想い”を吐露していた。その“想い”を口にしてよかったのかどうか…今の僕には考える事が出来なかった。
アキの唇を
アキの腕を
アキの鼓動を
アキのすべてを僕だけのモノにしたい―――――
「……屋敷には…明日帰ろう」
僕の言葉に、アキはしばらく黙っていた。
アキの鼓動が僕と同じくらい激しくなっていた。
本条はしばらくの間、ケイの携帯を鳴らし続けた。16回目のコールでようやく繋がった。
[ ……もしもし?兄さん?]
ケイの元気な声が聞こえ、本条はホッと胸を撫で下ろした。
「何やってるんだ!ケイ!何回掛けたと思ってる!!」
[ ごっごめん…今気付いたんだ…本当にごめん…]
「……中島君と麻衣子ちゃんが心配してたんだぞ。今、どこにいるんだ?」
本条の言葉にケイは言葉を詰まらせた。
「……ケイ?どうした?」
[ …ここがどこか…よく分からないんだ… ]
「は?何言ってるんだ?お前、寝ボケてるのか?」
[ ……うん…まだ夢の中かもしれない…]
本条はケイの様子がいつもと違う事に気付いた。
「……ケイ、何かあったのか?」
[ ……うん…。色々あった…。あり過ぎて、今は話せないよ]
「…そうか。いつ帰ってくる?朝には帰って来るか?」
ケイはしばらく考えた。
[ ……今何時?]
「え?…今は…夜中の2時半過ぎだけど…おい、本当に大丈夫か?」
[ …うん!大丈夫!…昼前には帰るから…]
「分った。中島君に連絡しとけよ。多分寝ないで心配してるだろう…」
[ ……分かった。メールしとく…]
本条は微かに気付いた。
「……アキちゃん…そばにいるか?」
ケイは黙り込んだ。
「――アキちゃんも捜索願出てるんだよ。……まったく2人して何やってるんだ…」
[ ……ごめん、兄さん。でも、アキは悪くないんだ…。ちょっとトラブルがあって…帰ってから話すから…]
「分ったよ…」
本条は苦笑した。
―――やっぱりアキちゃんといたか…
本条は電話を切り、大きくため息を吐いた。
「―――ケイ君、連絡取れた?」
ソファで寝ていた清子は、欠伸をしながら居間から顔を出した。
「起こしたな…悪かったな。連絡取れたよ。今日の昼頃に帰って来るそうだ。コーヒーでも飲むか?」
「うん…ケイ君、どこにいたの?」
「…夢の中」
「夢の中?」そう言うと清子は微笑んだ。「…そう…。ならまだ帰って来れないわね」
「悪かったな。仕事何時からだ?」
「今日は休みなの。…ケイ君の体調気になるわ。今日、泊ってもいい?」
清子は本条の淹れたコーヒーを一口飲んだ。
「あぁ…風呂入っていいぞ。部屋は…2階の奥がすぐ使える」
本条の言葉に清子は微笑んだ。
「…本当にあなたって気が利くわね」
<中島、心配掛けたな。僕は大丈夫だからレポート仕上げろよ。 本条>
――AM2時45分――。中島は慌ててケイの携帯番号を押した。
[ ―――お掛けになった電話番号は電波の届かない場所にいるか、電源が入っていないため―――]
中島の身体はブルブル震え出した。
「本条――!!!」
ケイとアキが入ったホテルの部屋は、“前の客”の煙草の臭いが残っていた。
丸い硬いベッドに横たわり、ケイは眠っているアキの髪を触っていた。アキは小さな寝息を立てていた。
―――夢じゃないよな…。
ケイはアキの頬に唇を付けた。アキは静かに目を覚ました。
「……ケイ君?…今何時?」
「…そろそろ4時…朝の4時…」
「そうか……」アキはベッドから身体を起こした。「…ケイ君も寝た?」
アキの言葉に、ケイは微笑んだ。
「もったいなくて眠れないよ」
ケイの言葉にアキは頬を赤くした。
ケイは、アキの事故で負った右太ももの傷に触れようとした。アキは慌ててその傷をシーツで隠した。
「……どうして隠すの?」
ケイの言葉にアキはうつむいた。
「見ない方がいいよ……」
「どうして?」
「どうしてって……」
ケイはアキの腕を掴み、自分の方へと引き寄せた。アキの太ももの傷に左手を当てたまま、アキの身体を自分の膝の上に乗せた。
「この傷は僕の傷だ。……だから僕以外の人間に見せても、触らせてもいけないよ」
アキはしばらくケイを見つめた。
「病院の先生と看護師さんは?たくさん見てるし、触ってるよ」
「………何でそんな事言うの?」
ケイは口を尖らせた。
僕はアキの乳房に唇を付けた。アキの鼓動が耳に響いて―――僕は…意識が遠くなりそうだった。
「―――アキ…愛してる…」
僕はアキの背中に手を回した。
アキも僕を抱きしめてくれた。アキの冷たい指先が僕の背中に触れた。
「アキ、愛してる…」
僕は何度も、何度も…<愛してる>という言葉を口にしていた。
何度も、何度も…
どんなに口にしても―――僕は言い足らなかった。
何故だろう…?
何度も、何度もアキを抱きしめた。
何度も、何度も…
どんなにアキを抱いても―――僕の想いは溢れるばかり……
何故だろう?
「―――私も…私も愛してるわ…」
アキが呟くように、震える声で言ってくれた。
僕はずっと考えていたんだ。
君のために何が出来るか…でも答えはまだ見つからない。
でも…でもこれだけは分かったんだ。―――いや、ずっと前から分かっていたんだ。
―――アキ…アキ…
君は僕のすべてだ。
本条は大きくため息を吐いた。アキは申し訳なさそうにうつむいたまま、ソファに腰を下ろしていた。清子は苦笑しながら、ケイの体温を測り、脈を取った。
「―――もう何ともないの?ケイ君?」
「うん…」
「ふぅん…」清子は横目でアキを見た。「ケイ君、この子の生気吸い取ったでしょう?」
「なんだよそれ…」
ケイは頬を赤くした。
「きちんと調べたいからもう1度病院に来てよ。いいでしょ?有治君」
「あぁ…」
本条は小さくため息を吐きながら言った。
「……先生…すいませんでした。心配掛けてしまって…」
アキは申し訳なさそうに言った。
「…まぁ、無事で良かったよ。大木さんに連絡しとくんだよ」
「はい…」
アキはそう言うと、電話の所へ行った。ケイは不満げに本条を睨んだ。
「―――私、もう帰るわ」
清子はソファから腰を上げた。
「あぁ…ありがとう、清子」
本条の言葉に清子はフッと微笑んだ。
「じゃぁね、ケイ君。……あんまり無理させちゃ駄目よ」
清子はそう言うと、屋敷を出て行った。
「―――悪かったよ…兄さん」
「みんなどれだけ心配したと思ってるんだ」
「分ってるよ…」
ケイはそう言うと、息を吐いた。
「アキちゃん、大木さん怒ってたろ?」
居間に戻ってきたアキに、本条は笑いながら言った。
「はい…とっても…先生、私もう1度おばさんのトコ行きます」
「え!?アキ、ここに帰って来たんだろ!?」
アキの言葉にケイは慌てて言った。
「荷物取りに行くんだろ?アキちゃん」
「はい…本当は今日高速バスで帰って来る予定だったので…」
「あぁ…びっくりした…」
ケイは安堵の表情をした。
「2人とも、お腹空いてないか?外に昼飯食べに行くか?」
本条の言葉に2人は笑顔で頷いた。
中島はインターホンを何回も押した。
「―――中島君、やっぱり留守なのよ…どうする?帰る?」
「帰る!?冗談!本条の顔見ないと気が治まらない!」
中島の言葉に麻衣子は笑い出した。
「…少し待ってようかな…麻衣子ちゃん帰る?」
「えぇ!?中島君が待ってるなら私も待ってるよ」
2人は玄関ポーチの段差に腰を下ろした。
本条とケイとアキは、店を出て車に乗り込んだ。本条は車を屋敷へと走らせた。
「―――アキ?…アキ?…」
「どうした?ケイ?」
「…うん。アキ、寝ちゃったよ。」
ケイの横で小さな寝息を立てながら眠ってしまったアキの髪を、ケイは触りながら微笑んだ。
「―――ケイ、アキちゃんに無理させたら駄目だろ」
本条は運転しながらバックミラーでケイの顔を見た。
「分ってるよ…もう言わないでよ…」
ケイは大きくため息を吐いた。本条は苦笑した。
「分かった。悪かったよ。もう言わないから…」
「はぁ〜…もう最近目まぐるしくて頭の中グチャグチャだよ…」
そう言うと、ケイは両手で顔を覆った。
「……あれ?中島君達じゃないか?」
本条は玄関ポーチの段差に座っている中島と麻衣子を見て言った。
「本当だ…何やってるんだ?」
ケイは首を傾げた。
本条は車を玄関の前に停めた。
「本条!本条!!お前無事だったんだな!」
ケイの姿を見て、中島は飛び上った。
「だからメールしただろ?…何やってるんだ、2人して…」
「何って…こんなにお前の事心配してたんだぞ!言う事ってそれだけかよ!」
中島は悲しそうな表情で言った。
「……悪かったよ…家、上がってろよ」
ケイは後部座席からアキを抱き抱えた。
「―――アキさん?アキさんだ!」麻衣子はアキを抱えたケイに駆け寄った。「アキさん、どうしたの?…具合悪いの?なんか、少し痩せちゃったみたい…目の下にクマ出来てるし…」
中島も心配げにケイを見つめた。
「―――心配しなくていいよ。少し疲れて眠ってるだけだから…」
ケイは苦笑した。
ケイはアキをアキの部屋のベッドに寝かせた。
アキの頬に手を当て、目の下を指で撫でた。アキは目覚める気配もなく、気持ち良さそうに眠っていた。
ケイはアキの唇に軽くキスをして、部屋を出た。
「―――あれ?中島達は?」
「あぁ、さっき帰ったよ。気を遣ったみたいだ」
本条の言葉に、ケイは微笑んだ。
ケイは黒装束の男と組織のトップの女の話を本条に話した。本条は眉をひそめながら静かにケイの話を聞いた。
「―――そうか…それは大変だったな。アキちゃんには何か話したか?」
「……いや…何も話してない。何も聞かないんだ…」
「そうか…」
本条は微笑んだ。
「…兄さん、アキに話した方がいいかな?」
「……そうだな。アキちゃんが望むなら、話した方がいいだろう」
本条の言葉に、ケイはうつむいた。
「…話したくないのか?」
「…兄さん…僕が<タシギ>の連中を殺した事…アキには言わないで…」
本条はケイを見つめた。そして小さく頷いた。
「―――分かってる。言わないよ。アキちゃんにとって必要な事だけを話そう」
本条は笑顔で言った。ケイは微笑んだ。
「明日、アキちゃんと大木さん家に行ったらどうだ?車使っていいから」
「え?いいの?兄さん、車使わない?」
「あぁ、明日は加茂君が迎えに来てくれるんだ」
「そう…じゃぁそうするよ」
ケイは笑顔で言った。
アキはゆっくりと目をあけた。見慣れた天井が目に入った。
―――あれ?…ここ…私の部屋?…
アキはゆっくり起き上がり、周りを見渡した。ヨーロピアン調のチェスト、スタンドミラー、部屋の中央に置いていた小さな机の上にはお菓子の本…何も変わらない部屋を見て、アキは小さく息を吐いた。
そして、時計を見てアキはギョッとした。
「―――よく眠ってたね、アキちゃん」
居間のテーブルの椅子に腰を下ろし、コーヒーを飲みながら、本条は笑顔で言った。
「すっすいません!こんなに寝ちゃうなんて…」
「いいよ。疲れてたんだろう?コーヒー飲む?」
「はい…あの、ケイ君は?」
「あぁ、夕飯の買い物に行ってるよ。お弁当だけど」
「そっそんな!私夕飯の支度します!」
「いいよ、今日はお弁当食べよう。明日から頼んだよ」
本条は台所に行き、カップにコーヒーを注ぎ、アキに手渡した。
「――――ケイから聞いたよ。怖かったろ?巻き込んで悪かったね」
本条の言葉に、アキは首を横に振った。
「いいんです、先生。ケイ君、助けに来てくれたし…私なら大丈夫です」
「そう…」本条は微笑んだ。「アキちゃん…ケイの事だけど…」
「―――先生、言いにくかったら言わなくていいですよ」
アキの言葉に本条は少し面食った。
「どうして?知りたくない?」
「知りたくないワケじゃないんですけど…多分、私聞いても分からないだろうし……ケイ君は普通の人以上に何でも出来るって事だけは分りましたから…」
そう言いながら、アキは微笑んだ。本条はしばらくアキを見つめた。
「―――アキちゃん、本当にケイでいいの?」
本条の言葉にアキはコーヒーを飲む手を止めた。
「え?…どういう意味ですか?」
「…うん…」本条は小さくため息を吐いた。「ケイは普通とは違うよ。今、離れないと二度と離れられなくなる」
アキの表情が一瞬、変わった。
「……先生…その言い方、何か怖いです」
「あぁ…そうだな。ごめん、ごめん」
本条とアキは同時に笑った。
「君はケイの事でたくさん嫌な思いをしてきただろ?言われなくてもいい事をたくさん言われてきただろ…」
「……知ってたんですか?先先…」
本条は笑顔で頷いた。
「君がこの家に来る前から“彼女達”はよく家に来てたんだ。俺は男だし、そんなに嫌な顔はされなかったんだけど…アキちゃんは同じ女だし、ケイの接し方が180度違うし…嫉妬心はすごかっただろう……よく我慢してると感心してたよ。…ケイが知れば大変な事になるしね」
本条の言葉に、アキは微笑んだ。
「……私、どっかで優越感みたいなの感じてたんですよ。きっとそれが“あの子達”に伝わったんだと思います。だから反感買ったんだと思います。……それに“あの子達”の気持ちも良く分るんです。みんな必死だったんですよ。ケイ君に振り向いてほしくて…構ってほしくて…」
本条は穏やかに喋るアキの話を黙って聞いていた。
「―――ケイも“彼女達”と同じなんだよ」
「…そうなんですか?」
「そうだよ。アキちゃんに振り向いてほしくて、構ってほしくて…必死だったはずだ。アキちゃんを傷つけてしまうほどにね。―――アキちゃん、ケイはこれからも君の事でいっぱいだろう。だから余計に大変な事もあるはずだ」
「――はい」アキは真剣な表情で返事をした。「…先生…」アキはそう言い掛け、口を閉じた。
アキが何を言おうとしたのか、本条には分からなかった。
「アキちゃん……これからもよろしくね」
本条は笑いながら言った。アキも思わず吹き出した。
「はい!よろしくお願いします!」
アキの元気な声に、本条はホッとしていた。
―――良かった…本当に良かった…。
「―――先生…」
本条はハッとしてアキを見た。
「…先生の彼女さんってお医者さんなんですか?」
アキの質問に本条は面食った。
「清子の事言ってるのか?……清子は彼女じゃないよ。アキちゃんがいない間、少し家の事を手伝ってもらってただけだよ」
「……そうなんですか?」
アキは納得いかない様子で言った。本条は思わず笑った。
「清子は大学の後輩なんだ。…昔は彼女だったけど、今は違うよ」
「キレイな人ですね」
「あぁ…でも性格は変わってる」
本条はコーヒーを一口飲んだ。そんな本条を見ながら、アキは微笑んだ。
ケイは玄関ホールの隅に座り込み、本条とアキの話を静かに聞いていた。アキの笑い声を聞きながら、ケイは胸の奥から込み上げてくる熱い想いを感じていた。
「―――やぁ!アキちゃん、久し振り!帰ってたんだね!」
本条の部下で、アキの親友の加茂夕貴の夫、昇は見送りに出て来たアキを見て元気に言った。
「はい。正確には今日帰って来る予定だったんですけど……色々事情がありまして…」
「そう?…なんかよく分からないけど…怪我の方はもういいの?」
「はい!もう大丈夫です。夕貴さんは?お元気ですか?」
「あぁ!元気!元気!アキちゃんが帰って来てる事言っとくよ。飛んで来るよ!また、遊んでやってよ」
昇の言葉に、アキは一瞬戸惑った。
「じゃぁ、行って来るよ。アキちゃんも気を付けて」
そう言うと、本条は昇の運転する車に乗り込んだ。車はゆっくりと走り出した。
アキは車が見えなくなるまで見送り、屋敷に戻った。
「ケイ君!!そろそろ行こうか?」
「うん!準備はいいの?」
ケイは玄関の上がり口に腰を下ろし、靴の紐を結びながら言った。
「準備万端!……今日、天気良いよ!絶好のドライブ日和!」
アキの元気な笑顔に、ケイは微笑んだ。
ケイの運転する車は高速を走り、サービスエリアに入った。アキはトイレに行き、自動販売機でコーヒーを買って車に戻った。
「―――食べるモノ何もいらない?」
「うん。コーヒーだけでいいよ」
2人は車の中でコーヒーを飲んだ。
アキは車の窓から見える澄みきった青空を仰いだ。
「…良い天気ね…」
いきなり―――ケイはアキの唇にキスをした。アキは驚いて、紙コップを落としそうになった。
「…っ何!?何するの!」
顔を真っ赤にしてアキは言った。ケイはそんなアキを見て笑った。
「あのさぁ、1つ聞いていい?」
「え?…うん…」
ケイはアキをしばらく見つめた。ケイの澄んだ瞳にアキはドキドキしていた。
「―――僕と寝た事、後悔してない?」
ケイの言葉にアキは言葉を詰まらせた。
「…え?…どういう…」
「後悔、してない?」
ケイは真剣な表情で言った。アキは黙ってケイを見つめた。
「……後悔なんてするワケないよ」
そう言うと、アキは微笑んだ。ケイはホッとしたようにハニカんだ。
「良かった。そしたら大丈夫だよね…」
「え?」
ケイはアキの頬にキスをした。
「えっ?」
アキは動揺した。ケイはにこっと微笑んだ。
「結婚しよう、アキ」
アキは持っていた紙コップを膝の上に落とした。