「ワールド・エンドの一員だ!」
なんとか遅刻せずに雪刀は授業を受けることが出来た。
だが、有栖川は来ていない。
チラリ、と彼が座る席を見る。
『月宮雪刀、お前が死にたくないと、助けが欲しいと思ったなら俺を呼べ』
彼が言った意味あり気な言葉が頭に遮る。
そんな彼の言葉を忘れるかのように頭を振り授業に集中することにした。
「(意味なんてない、忘れろ。この世界は安全なんだ。あんなヤツの言葉なんて信じるな)」
先生の説明は御経のように聞こえ夢の中に引きづり込まれるヤツがチラホラ、出てきた教室に大きな音が響いた。
音の発信源を見ると其処には緑色の軍服を身に纏った軍人が3人入ってきた。
「この学校に有栖川ナツという名前で名乗った少年がいるな?」
「は、はい・・・有栖川ナツ君は私の生徒ですけど・・・」
さえチンは怯えた様子で軍人に答えると3人のうちの2人が問答無用で有栖川の席を荒らし始めた。
その様子を茫然とクラス中が見守る
「あのっ、有栖川君は昨日転校して来たばかりで・・・彼、何かしましたか?」
さえチンは3人の中でも偉そうにしているヤツに聞くとそいつはまるで獣を見るかのように見下し、鼻で笑った。
「有栖川ナツという男はS級犯罪組織、ワールド・エンドの一員だ!」
その名前にクラス全員の息が飲む音や信じられないと口を覆う女子生徒
ワールド・エンド
この宇宙空間の中で凶悪な犯罪集団
噂によると各コロニーの優秀な人間を浚い重労働を強いたり、強奪や殺人等を行うらしい
その人間がこのクラスにいたのだ
恐怖を感じるだろう。
「ね、ねぇ、雪刀、アンタ何もされなかった?昨日」
「ん?ああ、別に?あいつ途中で帰っちまったしな」
「そ、そう・・・」
葵は安心したのか息をつき軍人の様子を窺う。
彼らは相変わらず有栖川の机を漁っている。
何もないのか、軍人たちは諦めて教室を出て行った。
さえチンは腰を抜かし床に座った瞬間、クラス中からざわめきが騒ぎたった
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