「助けが欲しくば・・・」
模擬太陽が傾き始めた頃、雪刀は朝のHRで言われた通り転校生を案内していた。
この学校は広くもう模擬太陽が傾き始めている。
「此処が理科室で、言わなくても分かると思うけど此処で実験をしたりするんだ。まぁほとんどは使わなくなったんだがな?」
「何故だ?」
「プリペンダーのヤツらが薬物使用を制限しだんだ。その他にも火器とかアルコールとか、最近そうゆうのが多くなってきて使わないって先生が決めたんだよ。」
「そうか・・・」
そう世の中の秩序を守るために政府が発足させた部隊
プリペンダー、彼らは世の中の危険分子を排除するといった役目をしている。
それは人でも物でも、平和を脅かすモノ全てに対してだ。
「まっ!理不尽なのはいつものことだしな!」
雪刀は肩を竦み有栖川の背中を向けて廊下を歩いて行く。
しかし数歩、歩き後ろからついてくる気配がしないため振り返ると夕日に照らされ影が壁にひっつき俯いている有栖川がいた。
彼に顔だけを向け声をかけるが彼は返事をしない。
その行為にため息をつき身体を反転させる。
「なんか、気の障るような説明したか?もしかしてお前プリペンダー主義者なのか?そうだったんなら悪かったよ」
「月宮雪刀、お前が死にたくないと、助けが欲しいと思ったなら俺を呼べ」
「は?」
顔を上げ真剣な表情をした有栖川は目を伏せた。
「案内は此処で終わりで良い」
意味不明な言葉を残し有栖川はポツリ、と呟くと歩いてきた廊下を戻った行った。
それを怪訝そうに見送るとハッ、と気がついたかのように息を吸い込んだ。
「待てよ!有栖川!!」
彼の背中を追いかけると曲がり角を曲がって行った。
同じように曲がると其処は誰1人いなくただ呆然と立っている雪刀だけだった。
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