咲夜ルート3
俺が紅魔館で執事の仕事を初めて一週間以上経った頃
ふと思い出したように咲夜が尋ねてきた
咲夜「そう言えば、貴方のスペルって今どれくらいあるの?」
陽「俺自身のなら…………2枚…………」
咲夜「………いくら何でも少なすぎないかしら?」
陽「陽鬼達がいたし………何とかなると思ってたんだ………だから作らなかったんだが……………」
咲夜「だから少ないのよ…………せめて後2枚作ったらどうなの?」
陽「………今考える暇は無いと思うんだが」
咲夜「………まだ慣れてないものねぇ…………それなら………あ、もうすぐお昼の時間よ」
陽「OK…………ってなんで解ったんだ?時計見てなかったよな」
咲夜「…………今は関係ないでしょ?ほら、早くあの子達呼んできなさい」
陽「お、おう……………」
今完全に誤魔化されたよな……………言いたくないのか?まぁ聞かないでおくけどよ……………
咲夜「…………絶対怪しまれたわよね…………ま、その時はその時でいいかしら……………」
数分後〜
陽「んー………………っ!!」
体を伸ばすと背中からポキポキと小気味よい音が出てくる
首も無意識に鳴らしていて、小気味よいがバキボキと何故か凄い音をたててしまっている
……………相当疲れてんな、俺
陽鬼「うわぁ……………今凄い音鳴らなかった?」
黒音「あまり首は鳴らさぬ方が良いと思うのじゃ」
陽「と言ってもなぁ…………癖になってんだもんなぁ……………」
月魅「何かあってからでは遅いですよ?」
陽「うーん…………んじゃ次からなるべく気をつけるよ」
黒音「そうしてくれると助かるのじゃ…………出来たぞ、今日はオムレツじゃ」
陽鬼「相変わらず美味しそうだねぇ」
月魅「料理に関しては黒音の方が上なんですよね……………悔しいです」
黒音「お主にはお主の良い所があるじゃろう」
陽鬼「そうそう、月魅にもあるよ」
月魅「………何故か陽鬼の言い方が上から目線に聞こえました」
陽鬼「え、待ってそんなつもりは無かったんだけど」
月魅「冗談です」
黒音「…………お主は基本無表情じゃから冗談か本当か解りづらいのじゃが…………」
陽「お前ら仲いいな
いや、仲いいのは知ってたけどさ」
咲夜「…………貴方達、随分体力残ってるみたいね」
陽「お、咲夜」
咲夜「オムレツ食べないの?」
陽「あ、そうだった
いただきます」
そう言って俺達は黒音の作ったオムレツを頬張っていく
相変わらず卵はとろける様な美味さで、安心している
オムレツなのに何故かおふくろの味と言うのに感じたのはなぜなんだ…………………因みに俺の母親はオムレツよりはだし巻き卵を作るほうだったのでオムレツの味は覚えていない
陽「黒音は料理美味いよなぁ………」
黒音「褒めてもらえると嬉しいのじゃ………///」
陽「いいお嫁さんになりそうだなって痛っ!!」
何故だ…………褒めてもらえると嬉しいって言ったからもっと褒めたのに………何で殴られたんだ………
陽「何で褒めたのに……………!!」
黒音「………何故じゃろうな、急に主様の頭を出来れば叩きたくなったのじゃ」
咲夜「ほら、イチャついてないで早く食べてしまいなさい」
黒音「い、イチャついてなど…………いない!のじゃ……………///」
咲夜「………からかいがいがあるわね……………」
陽「お前も黒音からかって遊ぶなよ…………」
咲夜「貴方はぶれないわねぇ…………あ、そうだ
今日仕事終わったらお嬢様の部屋に来て頂戴」
陽「レミリアの?なんで?」
咲夜「お嬢様に貴方のスペル不足について話したら『何とかして上げる』と仰ったのよ」
陽「レミリアが?……………まぁ、終わったら言ってみるとするか」
咲夜「仕事が終わったらそのまま寄って行きなさいとも言ってたわね」
陽「了解、んじゃさっさと飯食うか…………」
陽鬼「だね」
数時間後・主の部屋〜
陽「で、咲夜に言われてきたんだけど…………俺のスペル不足をどうにかできるのか?」
レミリア「出来るわよ?まぁいきなり五枚も6枚も増やせとは言わないわ
とりあえず一枚か二枚か増やせればそれでいいもの」
陽「そうなのか………………で、具体的には何をするんだ?」
レミリア「咲夜を真似しなさい」
陽「………ナイフ投げをか?」
咲夜「まるで曲芸の様に言うわね」
いや、それ以外に言い方が無いだろう…………
レミリア「言い方はあれだけど、まぁそう言う事よ」
咲夜「しかしお嬢様、私のは私の能力あってのものです
時止めがなければ防がれるのではないでしょうか?」
レミリア「だったら防がれない様にすればいいだけの話よ」
咲夜「というと?」
レミリア「何かを纏わせて投げるのよ、そうすれば弾幕の代わりくらいにはなるでしょうね」
陽「何かってなんだよ」
レミリア「そうねぇ………………霊力、なんてどうかしら
霊力なら守りの力に適してるし、ナイフに纏わせるにはうってつけだと思うわ」
陽「霊力…………」
レミリア「後は……………魔法でも使ってみたらどうかしら?何かを媒介にするなら貴方でも魔法は使えるでしょう?」
陽「媒介………………なら、糸がいいかな」
レミリア「あら?意外なのを言ったわね
何故糸にしたのかしら?」
陽「いや…………特に何も考えてなかったけど…………ナイフに通して投げる事も出来るよなって思ってな」
レミリア「あら………貴方にしてはまともなのを思いついたわね
いいんじゃないかしら?」
陽「…………さっきから俺の事をちゃっかり罵倒してないか?」
レミリア「あら?罵倒してないわ、少しからかってるだけよ」
陽「意識してるだけでも十分悪意があると感じれたな」
レミリア「えぇ♪」
笑顔で言い切りやがった……………吸血鬼だけどこいつやっぱり悪魔だ………………いや、図書館に小悪魔いるけどな
レミリア「けど…………魔力、霊力ときたら妖力も使いたいところよね〜」
陽「…………媒介は…………」
咲夜「そこはもう弾幕でいいのじゃないのかしら?」
陽「いや、俺は弾幕打てないんだが?」
咲夜「言い方が悪かったわね…………弾幕じゃなくて、『妖力そのものを』放つのよ」
陽「………?どういう事だ?」
レミリア「なるほど…………面白い事言い出したわね、咲夜」
咲夜「お褒めに預かり恐悦至極です」
陽「説明してくれ…………」
咲夜「じゃあ簡単に言うわね
例えると、弾幕は雪玉、元となる妖力は雪と考えなさい
雪玉を作るには雪を一度ちゃんとした形に固めないと行けないでしょう?それと同じことよ
弾幕もその元となる力を自分の形に固めないといけない
けど、私が言いたいのは形を整えないことよ
雪を掴んで、そのまま投げる
つまり、妖力を出して適当に投げつけるのよ
形を整えずに、ね」
陽「けどそれじゃあまともな威力は期待出来ないんじゃないか?」
咲夜「数打ちゃ当たる…………それに妖力の量が多かったらそれはダメージになるのよ?」
レミリア「咲夜の言う通りよ
量より質何て言うけど、妖力や霊力の質なんてその人物の質に当てはまるのよ
だから妖力とかに関しては質より量よ」
陽「そういうもんか?」
レミリア「そういうものよ
そうでなかったら今頃弾幕勝負なんて流行ってないでしょうね」
陽「…………それもそうか…………じゃあ咲夜、ナイフを投げるコツとか教えてくれ」
とりあえず何となくで納得した俺は頭を下げて咲夜に頼んでみた
すると―――
咲夜「無理よ」
何故か無理と言う言葉で返された
陽「………………え?今なんてった?」
驚いて思わず聞き返してしまった
咲夜「あー…………ちょっと言葉足らなかったわね
正確には、ナイフ投げにコツはないって言いたかったのよ」
陽「そ、そういう事か……………でもなんでだ?」
咲夜「うーん……………あんまり『こう!』って感じの投げ方は意識してないって言うか…………投げ方は決めてないし、常人には真似できない技でもあるのよ
自分でもなんでできてるか不思議なくらいの技あるくらいだから」
陽「………つまり?」
咲夜「本当にいつも私がやってるような事は出来ないってことよ」
陽「けど投げ方くらいなら教えられるだろ?」
咲夜「それは…………まぁ……………本当に投げ方だけなら」
陽「本当にそれだけでいいからさ」
咲夜「解ったわよ…………」
レミリア「決まったみたいね
時間はどうするのかしら?」
咲夜「そうですね……………もう仕事が終わった今の様な時間帯にでもしましょうか」
陽「えっ」
咲夜「何よ、文句あるの?」
陽「……………いや、ない」
咲夜「ならいいわ」
レミリア「なら、早速明日から練習ね」
咲夜「はい」
陽「………おう」
三日後〜
陽「……………………」
俺は休憩時間になった瞬間にぶっ倒れた
陽鬼「陽…………大丈夫?」
陽「大丈夫だ…………」
月魅「大丈夫には見えませんが………………」
陽「心配してくれてありがとう…………………」
黒音「主様、ちゃんと寝てないじゃろ」
陽「多分……………1時間は寝てた………………」
うん、自分でも何言ってるか解ってない
陽鬼「ナイフの特訓をしてるとは聞いてるけど…………」
月魅「よっぽどハードみたいですね………………」
黒音「ハードで済むのかの………………」
何か三人が話しているが正直俺の耳には届いてなかった
そんなの気にしてられるほど俺の体力は存在してなかった
それより眠気が酷い……………もうこのまま寝てしまいそうだ……………
咲夜「ちょっと…………何寝かけてるのよ」
陽「痛っ」
後ろから頭を小突かれて少し目が覚める
どうやら咲夜がやったらしい
咲夜「…………何よその目」
陽「………………ん?ごめん、何か変な見方してたか?」
咲夜「まぁ…………寝るのを邪魔されたらそりゃ不機嫌にはなるかもね……………けど、休憩時間とはいえ仕事中に寝るのは感心しないわね」
どうやら俺は咲夜に不機嫌な視線をぶつけたらしい
いかんいかん、咲夜はこうやって仕事のアシストをしてもらってて、ナイフ投げも教えてもらってるのにな………………
陽「済まなかった……………無意識とはいえ悪かった」
咲夜「…………いえ、分かったらいいのよ」
陽「それで、休憩時間は終わりか?」
咲夜「いいえ、お嬢様に言われたことがあるから伝えるわね」
陽「言われた事?」
咲夜「ええ、『今日の仕事は終わっても構わない
その代わりその全てを修行に使う事』だそうよ
そして私も休みをもらったからつきっきりで修行出来るわ」
陽「OK、ということは今からやるんだな?」
咲夜「流石にそこまで鬼畜じゃないわよ
まだ休憩時間三十分残ってるじゃない」
陽「いや、この部屋時計無いから解んないんだけど………………」
咲夜「あぁ…………そう言えばそうだったわね
とりあえずまたそれくらいしたら呼びに来るわ」
陽「解った」
さて、しばらく寝ない様に休んでおくか……………
紅魔館・主の部屋~
咲夜「お嬢様、陽には伝えておきました」
レミリア「ご苦労様、修行は中庭でよろしくね」
咲夜「了解です」
私、十六夜咲夜は少し前にお嬢様に言われた事を伝えた後に再度戻ってきていた
『伝えるべき事を伝えた後はここに戻ってくる様に』とお嬢様に言われていたからだ
私はその言いつけ通りに戻ってきている
レミリア「そうそう、咲夜どうだったかしら?」
咲夜「?何の事ですか?」
レミリア「修行の事よ、上手くいっているかしら?」
咲夜「…………まぁ、物覚えはいいほうですから良かったんですけどね」
レミリア「何か不満があるのかしら?」
咲夜「何故か鳥が飛んできたり、蝙蝠が飛んできたりして陽の周りを飛び回るんですけど、その度に私の方にこけてくるんですよ………………あれは思い出しただけで恥ずかしい……………///」
まったく……………何であんなに落ち着きがないのかしら……………
レミリア「ふふ、それは良かったわね
陽とイチャイチャ出来てるじゃない」
咲夜「あ、あれは別にそんなんじゃないですよ///!!」
レミリア「まぁいいわ、今日はさっきも言った通り、陽の修行をよろしく頼むわね」
咲夜「……………解りました」
渋々出ていき、とりあえず時を止めて陽の場所に飛んでいく事にした私
とりあえず今日はあんなことがないようにしないと……………




