オワカレ
寒い。
もう5月。こんなに寒い筈が無い。
隣にいるアイツの吐いた息が白く、空気中に漏れだしやがて消える。
可笑しい。まるで冬。
そんな事を思いながら下校してた。
アイツはそんな俺を不思議そうな顔で見ていた。
「可愛い娘はこっちに来い」
去年、つまり俺が高1の時アイツはこんな自己紹介できたをしてた。
当時の俺にしては意味不明だった。まさかアイツ・・・・・・藤堂弘樹と友達になるとか。
ましてや一緒に登下校する、今隣に居るとか。
会話無いのも寂しいので弘樹に話しかける。
「弘樹」
「うん?」
「寒くない?」
「大丈夫」
「俺寒い」
「暖める?」
「・・・・・・・・・・・結構。女子でも暖めてろ」
「釣れないなあ美緒君」
美緒とは俺の名前だ。
「ほっといて」
「可愛くないなあ」
「じゃあ絡むな」
俺は弘樹を置き去りにしてその場を走り去った。
弘樹は後を追うが弘樹は運動音痴。俺に追い付く筈が無い。
だから全力で駅まで走った。
はず――、
どん
「ぎゃあああああああああああああああああぁあああああああぁあああああああぁあああぁあああああぁ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!!???」
赤い赤い、目の前が。
「美緒!」
弘樹?
「死ぬな!」
き、ひろ き
し ぬ の?
な に ?
轢かれた。
続くかどうかは知らない、