詩 スマホで彼女と会話
掲載日:2026/05/05
スマホで彼女を呼び出してみる。
プルル、プルル。
コール音に、若干、緊張する。
本人が出るのは分かっているが、それでも全神経が耳に集まってしまう。
「もしもし?」
3コールで彼女が出てくれた。
良かったと安堵し、話しかける。
「もしもし。俺だけど」
まだ緊張しているのか、自分の声のようで、違うような違和感。
まるで借りた猫みたいだと、自分で苦笑する。
「今、何していた?」
「えっとね」
沈黙にならないように、自分から話しかける。
彼女の声はいつもと同じ、優しくて柔らかいものであり、ついうっとりしてしまう。
あー、もどかしい。
電話で話せば話すほど、会いたくなってくる。
しかし夜なので、女の子1人、歩かせるわけにはいかない。
「それでね」
彼女が軽く笑い声を挟みながら、話していく。
それを自分は心地良く受け止め、時計を見る。
もう1時間は経っていた。
慌てて彼女に言う。
「そろそろ」
「うん、淋しいね」
同感だと思い、がっかりしながらスマホを切った。




