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07.団欒――消炭灰介

 四季からの通信を切るとれいは自分と同じように作業を中断して無線に耳を傾けていたメンバーに指示を出す。

「話は聞いてたね、六条、七弥、今回は二人にも出てもらう。四季と八戸のバックアップに回れ」

 手短にそう言うとれいはくる、と享一のほうへ向き直る。

「ごめんね、一之瀬くん。着いてそうそうなんだけど、頼まれてくれるかな?」

 言葉と態度とは裏腹にれいの瞳に宿る光は鈍く沈んでいる。

 享一としては引き受けるも何もないのでためらわずに頷く。

「源三も」

「りょーかい」

 れいは二人の武器を携え歩き出した。

 

 れいの向かった先は入り口へ戻る道を一本逸れたところにある車庫だった。

 一台の車の前でれいは立ち止まった。

 つや消しブラックのボディ、BMW・7シリーズ。

「車……」

「そう、E67、防弾もばっちりだよ」

 享一の呟きに、れいは律儀に言葉を返す。

「運転は?」

「フフ。私、18だから」

「二年前から乗ってましたけどね」

 源三の告げ口にれいはフフ、と意味深に笑って返すと車に乗り込む。それを見て二人も続く。

 れいが左前部の運転席、源三が助手席に着き、享一がリアシートを陣取った。

「あ、そうそう」

 車を発進してから数分後、れいは唐突に口を開いた。

「一之瀬くん、レミントン出して」

 なにかと思えば、享一はれいの言葉に素直に従い、ベースケースからレミントンM700を取り出す。

「これ、没収ね」

 そう言ってれいは後ろ手に狙撃銃を掴むと自分の足元に無造作に置く。

 その唐突すぎる行動に享一ただ辟易するのみ。

「源三、ガバ貸して」

 続いての矛先は源三。れいは運転しつつ片手の平を源三方面に仰向け催促する。

「あ、はい」

 言われて源三は腰から砂漠迷彩の施されたコルトガバメントを取り出しれいへと差し出す。

「二丁とも」

「え」

「は・や・く」

 れいはせっつくように差し出した手を一度ふる。

 一瞬の戸惑いを見せたものの源三は素直に従い懐から雪上迷彩の施されたコルトガバメントを出す。

「一之瀬くん、これ持っておいて」

 二丁とも片手で受け取ったれいはリアシートへと無造作に投げる。

 意表をついて出現した二つの拳銃をどうにか受け止めると享一は自分の腰に手を回しベレッタを触る。

「俺にはベレッタ(これ)が――」

「源三、私がピンチになると撃っちゃうから」

 享一の言葉をさえぎったれいの横には不満げな源三が。

 それを横目で見てれいはフフ、と笑う。

「はあ……」

 享一は曖昧に頷くしかない。

「あ、ピンチのときでも私が合図するまで撃っちゃだめだよ」

「れいがそう言うなら……」

 その言葉には嘘はなかった。れいと共にした時間は僅かだが、享一にそう思わせるものをたしかにれいは持っていた。

「あ、初めて名前呼んでくれた」

 そんな享一の思いとは裏腹に、れいは重箱の隅をつつくようなどうでもいいことに気づく。

「や、別に」

 完全な不意打ちを喰らい享一は思わずたじろぐ。

「れい、前」

 照れた享一の顔を見ようと思って後ろを振り向いていたれいに努めて冷静に源三は注意を促した。

「え?」

 それは少し遅かったかもしれない。れいが急いで前に向き直ったときには既に視界一杯の壁、慌ててブレーキを踏みハンドルを切ることでどうにか激突は避けられたものの、シートベルトを締めていなかった享一とれいは派手に前のめりになった。れいが額をぶつけたクラクションが鳴り響く。

「いたーい」

 れいの率直な反応に何故か車内では笑いの渦が巻き起こった。

 れいは車をバックさせ道へと戻る。

 踏み込んだアクセルはほんのつかの間の休息が終わる合図だった。

(*゜Д゜)・:∴ブハッ

どうも、消炭灰介です。

一周しましたね、物語のほうは消炭の手を離れ大きく立派に成長しましたが今回は初期の三人のお話です。

物語の流れとしては現状維持……ですかね?


なお、今回張った拳銃の複線を誰も使ってくれない場合は消炭灰介は自動爆破されるのでお気をつけください。


それでは真那さんへパスですノシ

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