05.なんかなるさじゃなんともならないのが人生――ポペ
私がいつもくじけそうになると決まって助けにきてくれる人。いつもなぜか誰かに頼りたいときに私の目の前に現れて手を差し伸べてくれる。別に異性としてどうこうという感情はない。むしろ、頼りになる兄という感じだ。もっというならば、私が安心して泣ける数少ない場所。
「雅さん・・・。もう、もう耐えられない・・・」
そういい終える前に私は泣き出してしまっていた。
「よくここまで頑張ったね。あともう一息だ。それに、五郎は自分のせいで四季を泣かしてしまっていると思うと悲しくなると思うよ。だから、ね」
「うん、うん」
まともに喋ることすらできないぐらい私は泣き崩れていた。確かにこれでは五郎君も心配してしまう。
数分後、ようやく泣き止んだ私に
「そろそろ、離れてくれないかな?」
・・・え?気づくと私は雅さんにへばりついて泣いていたらしく、彼の着ていた黒いコートが涙と鼻水で少々、いやかなり汚れていた
「ご、ごめんなさい!あぁ、ぜんぜん汚れが落ちない・・・」
「ダイジョブ。これさっきそこで拾ってきたのだから」
そういって雅さんは持っていたバックから今度は高そうな黒のコートをだし、それに着替えた。いや、それよりも
「なんで、そんなの拾って着ているんですか!?」
「なんでって、君が毎回毎回僕にへばりついて泣くからコートを毎回毎回新しいの買わなくちゃいけないんだよ。だから今回はその予防策として拾ってきたコートを着てきたんだよ」
・・・、相変わらず優しいのにさりげなく嫌味を言ってくる人だ。それに新しいの買わないで洗えばいいじゃん!!
「さて、僕は君のやっていたことの続きをしてくるから君はここで待っていて」
「・・・」
そう言って雅さんは五郎君の入ったポリ袋を引きずりどこかへ消えた。
数分後、雅さんは手ぶらで戻ってきた。
「おまたせ。さぁ、次は二村君を奪還しなくちゃいけない。そろそろ彼の治療も終わってるころだろう」
「・・・、はい」
そう言って私たちは、二村君のいる病院に向かった。
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ここは・・・?
周りを見渡すとほとんど何もなく普通の、どこにでもありそうな病室の風景。
・・・、そうか俺は確か目標の少女に腹をナイフで刺されたんだっけ。・・・、もしれいさんにこのことが伝わってたらなに言われるかわかったもんじゃないぞ。いや、おそらくすでに伝わっているんだろうな・・・。しかも、新人君にもきっと伝わってるんだろうな~~。どうしよ、帰りたくなくなってきたわ。
「はぁ~、帰りたくねーーー!!」
今度は口に出して言ってみた。べつに誰かに同意をえたかったわけでもないのに
「そうか・・・。ならば手伝ってやろう」
だれだ!?さっき見たときは誰もいなかったし、俺が気づけないほど気配を殺せるってことは同業者か!?
「だれだ?」
内心とは逆に冷静を装った口調でそう言って扉のほうを見てみると、全身黒い服で覆われたいかにもって感じの男が立っていた。その男が纏っているオーラは確実に負のオーラだ。憎しみ、怒り、悲しみ・・・そんなものがごちゃ混ぜになったような禍々しいオーラだ。
「だれだ、とはご挨拶じゃないか。家のかわいい鈴蘭を殺っといて」
だれだ鈴蘭って?・・・、確か今回の目標だったやつか!!
「ほぉ~、おまえは近江一家のやつか?なんだ仇討ちにでも来たのか?なら止めとけ。そんなことしたら俺の一派と近江一家で戦争になるぞ?」
「そんなもん関係ない!!」
そういって男は持っていたナイフを高々と持ち上げた。
活動報告でいろいろ言い訳しますのでそちらをみてください。