20.合流、そして戦闘――ポペ
「どんどんいくわよー!」
妙に高いデンションで突き進んでいく日比野姉妹(?)はスノータワーの階段を上っていた。
「おにぃ、お姉様。れいさん達はまだここにいるんでしょうか?」
「いるに決まってるでしょー! じゃなかったらこんな爆音が聞こえるわけないでしょうが!!」
「確かにそうですね…」
姉妹(?)の会話も束の間。銃声が大きくなる。
「万由ちゅぅあぁぁんっ!! 行くわよぉぉんっっ!!」
五郎の奇声と共に走る速度が速くなる。
れい達は角を曲がり数メートルの所にいる。が、オカマもとい五郎は行くのを躊躇していた。理由は突然声をかけて、敵と間違えられて撃たれる可能性と、彼らがこっちに気をとられているうちに敵に撃たれる可能性があったので日比野姉妹は気配を消して銃撃戦が一時的に終わるのを待っているのだった。
しかし、れい達のところに行ったところで役にたつのかが今五郎の頭にある疑問だった。万由は右手に銃を握っている。五郎は無駄にでかい鎌しかもっていない。つまり、五郎が行ったところで守る者が増えるだけではないか、と。
「お姉様、止んだみたいですよ!」
「わくぁったわぁぁっ! 万由ちゅぅあん行って!! 私はここで後ろ見張ってるからぁぁっ!!」
「わかりました!」
やりとりを終え万由はれい達のところに駆けていった。
「さて、皆が終わるまで一人ねぇぇ。なにしてましょうかしら?」
五郎達が来た道から数人の足音と鉄と鉄がぶつかる音がする。敵は重装備らしいのがわかる。
「ふふ、おバカな奴らね。武器が多いほうが勝つとでも思ってるのかしら?」
実際武器が多いと動きが鈍くなる。しかし利点もある。弾がなくなった時に攻撃の手がなくなる心配は少なくなる。
しかし、五郎のまえでは欠点が目立ってしまう。五郎は常人では目でおうのがやっとのスピードで動くのだ。そんな動きをする相手にするには重装備をするのは馬鹿としかいいようがない。
「きしぇぇぇっっ!!」
三人の男は案の定何もできずに頭と胴体が離れてしまった。
「まったくぅぅっ。もう少しちゃんと鍛えなさいよぉぉっ!!」
「れいさん! 万由です!!」
「一之瀬君、仲間よ!」
享一は万由の足音が聞こえてきたほうを見て、銃口を向けていた。
れいの声を聞いても少しの間銃口を下げなかった。
「はぁ、万由は五郎、千歳姉妹(?)の本当の妹だ。正真正銘仲間よ」
「日比野の…?」
享一が驚くのも当然だ。
「五郎お姉様も来ていますよ」
「そうなのか…」
「ちょっ、五郎が生きてるんですか!?」
「言ってなかった?」
「聞いてませんよ!」
「あぁ、もう! いちいち大声をだすな!! 撃たれるぞ!!」
「まかせてください。ここにいいものがあります」
そういって万由が取り出したのは三個のMK3A2手榴弾だった。
「どうしたんだ、それは?」
「え、あぁ。七弥さんから借りてきたんですよ」
そう言いながら手榴弾を敵のほうに投げる万由。直後、爆発音と数名の悲鳴が聞こえた。
「さぁ、行きましょうか。れいさん」
「「「は、はい!」」」」
三人仲良くハモリ、万由司令官についていくのだった。
「あんらぁぁっっ! おひしぶりねぇぇ!!」
ブンブン手を振る五郎を見て足を止める者が一名。
「彼が新人の一之瀬君かしら?」
「あぁ、そうだ。とにかく話は後だ! 一之瀬君さっさと来なさい!!」
「あ、あぁ」
「下にお姉様のデコドラがありますから行きましょう」
万由の提案に反対する者はいないので全員下に続く階段を目指して走りだした。
先頭を階段の位置を覚えている万由。次にれいと護衛の享一が走り、源三、五郎が後方に注意を払いながら走っている。
特に問題なく二十階まで下りてきたれい一行だったが先頭を走っていた万由が急に足を止めた。
「なにしている! さっさと進まんか!!」
怒鳴るれいを無視し銃を握り直す万由。状況を理解した享一、源三はれいを連れ上の階に避難する。
日比野姉妹の前に立っているのは近江一家の若旦那、義光だ。
「なぜあなたがいるんですか?」
会話をしてれい達が逃げる時間を稼ぐ。
「いや、なに。スパイダーの社長がパーティーを開くと聞いたんで遊びに来たんだよ…」
ゆっくりと、憎しみを込めて言い放つ。
義光がナイフを持ち構える。つられるように万由も銃を構え直す。しかし、五郎が万由の肩を掴み後ろにやる。
「ごめんね、万由ちゃん。こいつには借りがあるから私に譲って」
五郎がオカマ口調を忘れている。そんな五郎を見るのは初めてかもしれない。逆らうことなどできるはずもなく万由は後ろに下がる。
「一つ聞かせろ。裸の蛇もどきのあの男はここに来ているのか? まぁ、お前も瀕死か…くくく」
「二村さんはここには来ていません」
万由が答え終わる前に五郎は動きだした。
日記もとい活動報告にGO!GOGO!!