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02.ほら、人生なんて良い事ばかりじゃない――㈲

 太陽が山の頂上に差し掛かり綺麗な夕焼けを生み出している。鮮やかなオレンジがこの世界を包んでいる。きっと大半の人間はこの空を見ては"綺麗だ"とか言って心を震わせるのだろう。だが私達は……少なくとも私は、私の心にはそんな余裕は存在しない。

 私の名前は近江鈴蘭(おうみすずらん)、推定10歳。一番古い記憶はゴミ捨て場で泣いてること。親に捨てられたらしい私は泥棒稼業の近江一家に盗まれた。だから物心つく頃から盗みをしていて、今では若旦那の義光(よしみつ)さんと肩を並べる程だ。でもこの前盗みに入った城みたいな家はさすがに失敗するかと思った。名前はたしか……み………み、御凪?

(ブォォォーー)

 横を一台のトラックが追い抜いた。今日は隣街で財布をいくつかくすねてきた。今は帰り道の途中、森の中の国道。子供の体にはけっこうな距離だ。

「すみませーん。」

 黄色いヘルメットを深々と被る工事の人が声を掛けてきた。

「この先ちょっと工事中なんで通れないんですよ。遠回りになるかもしれませんが、こっちの道をお願いします。」

 子供の私にもなんて丁寧な人だろう。可愛らしく返事をして促された道を進むことにした。

「………工事?」

 私は立ち止まって考えた。朝来た時は工事なんてなかったはず……。振り返って工事の人を見た。ヘルメットを脱ぎ捨て煙草を吸っている。あの顔は見たことがある。高校生にして殺し屋の1人、二村(とおる)だ!じゃあ、このままこの道を行ったら………?

「ターゲットは私なのね。」

 護身用に渡されていたナイフを内ポケットから取り出し、両手で握り締め走った。

(ずぷぷ)

 刃は衣類、皮膚を簡単に通過し、肉を裂き、骨を砕き、刃先は臓器の内部で止まった。引き裂かれた血管から血が溢れだす。ナイフを伝って私の手は生暖かさを感じた。

「ぁ………ぐふっ。」

 二村は口から血を吐き出し、その場に崩れ落ちた。

 私はナイフを森の奥に放り投げ、工事中と言われた道を走った。人を殺したのは、二度目だ。




「ハァ、ハァ………!」

 しばらく走ると道は無くなり茂みになった。夢中でいたせいで道を間違えたようだ。私はそれでも進んだ。草や枝を掻き分け、ただただ進んだ。

(バァン!バァン!)

 銃声が数回鳴り響く。木々が騒つき、それまで気配の無かった動物達が動き出し、烏が不気味な鳴き声と共に飛び立つ。

 私は命の危険を感じた。きっと二村の仲間だろう。どうすればいい、私はまだ、まだ死ぬわけには……!

(バァン!!)




「これでいいか?」

 享一は銃口から立ち上る白煙を吹き消してから言った。

「さすがは私が選んだ男だ。………っと。」

 無線から声がするのに気付いたれいはポケットからそれを取り出した。

「お姉様、大変です!透君がヘマしました!」

 この声は四季だ。

「大丈夫よ、一之瀬君が……。」

「そーじゃないんです!あの女の子に刺されて瀕死なんです!」

 四季はれいの言葉を遮って叫び続けた。

「早く吾郎君を呼ばないと死んじゃいますー!」

 ………どうやら第二話にして武器が1人いなくなりそうだ。

「お話はたーんと聞いてるわよーぅ!」

 無線からオカマ声がする。日比野吾郎(ひびのごろう)だ。

「車飛ばしてそっち向かってるからぁ、四季ちゃん止血だけしといて!」

 れいは視線に気付いた。享一に冷たい目で見られている。"優秀な部下ってどいつだ?"そんな目をしている。

「私と一之瀬君は先に帰るから後始末よろしくね。」

「一之瀬きゅ〜ん!(あたし)吾郎よぅ!早く貴男に会い……ブツン!」

 れいは無線の電源を切った。気まずい沈黙が流れる。

「と、とりあえず他の人達の紹介はまた今度するから、今日は帰るわよ!」

 れいは照準機と二脚を手に、来た道を戻ることにした。

 800メートル先の標的を照準機なしでその額を貫くとは、良い武器を手に入れたものだ。

「帰るって、どこにだ?」

 享一は前髪を掻き上げながら聞いてきた。鼻筋が通り、二重で茶色い瞳。整った顔立ちは間違いなく吾郎の好みだ。

「ふふ、とにかく私についてくるがいい。」




「透君、死んじゃ駄目よ!透君!」

 四季は必死に傷口を押さえるが出血は止まらず、地面の赤はその領域を広げていく。

「四季ちゅぁぁーーん!!二村きゅぅぅーーん!!」

 吾郎が車の窓から顔を出し、手を振りながら叫んでいる。

「吾郎君、早く……!」

 四季が吾郎の存在に気付き、そっちに目をやった次の瞬間………。


(ドォォォーーーン!!)

 吾郎の車は爆発した。

活動報告も更新しました。そっちもよろしくです。なんか………話壊し過ぎてゴメンナサイ(*^□^*)♪

from.真那

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