17.未成年も頑張ればなんでもできる…はず!――ポペ
なんの問題もなく空港を後にしたれい達はいま貸し切りのバスの中にいる。
「そろそろ人目につくところにでるから銃とかしまっておけよ!!」
れいの言葉を聞いて享一、源三は自分の銃の手入れをやめて、窓から外をのぞいた。
「すごっ!」
「おぉ…」
上から源三、享一である。
窓から見えたのは巨大な鉄の塔。東京ス〇イツリーに対抗してここ北海道で作られている北海スノーツリーだ。今でさえ馬鹿でかいのにこれで作りかけなのだから完成した時の大きさは想像できない。
「ふふ、さすがに壮観だな。しかしこんなものを作って何になんのやら」
「そう言ってやんな、れい。権力者は高いとこが好きなんだよ、きっと」
「あっそ」
「……、興味なさそうだな、おい」
「そんなことはない。ただたんに知的好奇心が沸かないだけだ」
「同じことじゃないか? まぁいい、それよりも腹が減った、そろそろ飯の時間だろ?」
「そうだな、目的地に行く前にどっかで食べるか」
そう言って財布の中を探るれい。そして固まる。
「あー、すまんが源三。お前、飯抜きでいいか?」
「いやいやいや、無理ですって! 俺も腹ペコだよ!!」
「なに、人間1日なにも食わなくても大丈夫だ! まだ未成年なんだ、少しぐらい体に悪いことをしても大丈夫だ!!」
「うそだー!!」
結局というか、やはり源三はれいと享一が食べているのを見ているだけになった。
「うぅ、おい! 一之瀬享一! 先輩を優先するのが普通じゃないか!?」
「わかった、わかったからそんな情けない声をだすな……」
そう言って享一は手をつけてないポテトサラダを源三の前に押した。
「あっ、じゃあ私のトマトとブロッコリーあげるー!」
「おぉ! 豪華なサラダだ。それじゃあ、俺のトマトもやろう。よかったな、先輩?」
「うぅ、覚えてろよ。食べものの恨みはすごいんだからな!」
文句を言いながらもサラダを食べる源三を見てれい達は笑った。
「さて、腹も膨れたとこで目的地に行くか!」
そう言って席を立つれいに続くように享一達も席を立つ。
支払いを済ましバスに乗り込み、れいが運転手に耳打ちしたあとすぐにバスは発車した。
「なぁ、どこに行くんだ?」
「着いてからのお楽しみだ」
「あっそ」
「うぉぉぉい! もうちと食い付かないかな、一之瀬君?」
「かまってほしいのか?」「う、うるさい!!」
そう言って享一の頭をぽかぽか叩くれい。
バカップルがイチャイチャしてるようにみえるのは源三だけではないだろう。
数分後、目的地付近。
「ここになにがあるんですか?」
目の前には巨大な鉄の塔があった。そう、北海スノーツリーだ。
「んー、ちょっと人と待ち合わせしているんだ」
「こんなとこでか?」
「あぁ、いいから黙って私についてこい」
バスから降りてどうどうと立ち入り禁止の看板の横を通りすぎるれいに少しの不安を覚えるものの享一達も立ち入り禁止の看板の横を通りすぎた。
北海スノーツリー現在の最上階、八十三階。
「気をぬくなよ、源三、享一!」
れいがそう言い終わると同時にエレベーターのドアが開く。
そこにいたのはクモのマークがはいったスーツケースをもったサラリーマン風の男だった。
短くてすいません…。