11.人間時には昔を思い出す――ポペ
・・・、あれは少し前のことだった。かなり鮮明に覚えている。あの日は少し雨が降っていたぐらいでとくに変わったことはなかった。
俺はいつもと同じように学校に行き、帰る。そんなくだらない毎日を送っていた。学校はぜんぜん面白くもないし、友達なんてものはいなかった。俺の行っていた学校は金持ちが通う学校だったが、俺の生まれた家は他の奴の家と比べものにならないほどの金持ちだった。そのため俺に寄ってくる奴らはみんな俺の家と仲良くなりたいとかそんなくだらない理由ばかり。誰も俺を見なかった、誰も俺を見ようとしなかった。そんなことはどうでもよっかたが・・・。
あの日、俺は学校をサボり庶民の住むエリアに行き庶民のために作られた店に入り、適当に時間をつぶし学校に戻ろうとしたときに俺はあの少女と出会った。
歩きなれた学校までの道。一人で人ごみの中を歩いていたときに俺は俺に目線をずっと向けている奴がいることに気づいた。が、とくに気にすることなく歩いていたがついにその視線の送り主が俺の後ろに来て俺の財布を盗り逃げ去ろうとした。俺は盗人が逃げた方向を見た。そして俺は驚いた。盗人は大人じゃなくて子供、しかも男の子ではなく女の子。だがそんなことは関係ない。俺はその少女を追い、そして路地裏に追い詰めた。そして問い詰める。・・・、横にいるホームレスのおっさんがこっちを見ているが関係ない。風景と思い込むことにしよう。
「おい、盗った財布を返せ」
「な、なにも盗ってなんかないよ!」
「・・・、もう一度言う。盗ったものを返せ」
「・・・、はい」
差し出された俺の財布を受け取ったが軽すぎる。
「・・・。中身もだ」
「・・・」
「よし。・・・、おまえなんでこんなことをした?」
「・・・、あなたには関係ないでしょ!!」
「っふ、そうだな。だが、あんまりやりすぎると堅気に戻れなくなるぞ?・・・、戻る気もないのか」
「・・・」
「・・・、もう行っていいぞ」
そういうと少女は逃げるようにどっかにいった。少女の瞳から雫がこぼれていたのはあめのせいだったのか俺のせいだったのかはわからないが・・・。
・・・それよりもいったい何処に帰るんだ?・・・まぁ、俺には関係ないし、もう会うこともないだろう。
「・・・、坊主。さっきのは言い過ぎじゃないか?お嬢ちゃん、けっこう傷ついていたようじゃぞ?少し厳しすぎたんじゃないかの?」
誰だ!?声がした方を見るとそこにはさっきのホームレスおっさんがいた。
「・・・、俺は厳しくはない。・・・、ただ、ただ甘くもないだけだ」
「フフ、そういうことにしとくかの」
「ふん!俺はもう行く。じゃあな」
そのあと俺はまっすぐ学校に行き、その数日後俺はあの少女と再会することになる。少女は俺に気づくことなく逝ってしまったが。
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「ちょっと一之瀬くん!!きいてんの!?」
・・・、どうやら俺は寝ていたようだ。嫌な夢だ。神というのが本当にいるんなら俺はそうとう神に嫌われているようだ。
「い・ち・の・せ・くん!!聞いてるんですか!?」
「すまない、もう一度言ってくれ」
「ったくもう。ちゃんと聞いてろよな!!もうすぐ目的地に着くから一応身だしなみを整えておけ。一応、偉い人と会うことになっているから」
手渡された鏡を見ながら俺は髪を整えていると
「れいさん、ちゃんと女の子らしいもの持っているんですね!すごい意外!!」
と源三が言った瞬間に助手席の窓に赤い液体が飛び散ったのを俺は見た。
・・・、これは一種のスキンシップのようなものだろう、きっと。
俺らが来たところはなんの変哲もないただのビル、中で待っていたのも見た目は普通のサラリーマンの男だった・・・。
活動報告にGOGOGO!