異世界からの電話
酷く蒸し暑い夏の夜のことだった。
ベッドで寝ていると、シーンと静まり返った寝室に突如として着信メロディーが響いた。
当時目覚ましのアラームと着信音は違うので、そのメロディーがすぐに着信の音だとわかった。
ベッド横の簡易的な棚がバイブレーションでブルブルと震え、棚からポスッ!! とシーツに落ちた。
ブルブルッ、ブルッブルッ、
「・・・・・・」
ラ~♪ ラ~♪ ラ~ラ~♪♪
「・・・・・・」
静寂が包み込む真夜中だからこそ、酷く大きく聞こえる。
その携帯電話が体の中心にスライドしてきて、半ズボンの足にコツと当たった。
それでなくても寝苦しい夜を送っているというのに、苛立ちは募るばかりだ。
アーーッ!!! と叫ぶと、手汗でヌルヌルとする手で携帯電話をパシッ!! と掴んだ。
ラ~♪ ラ~♪ ラ~ラ~ラ~♪♪♪
「なんて非常識な奴だ……」
しかもだ!! 液晶画面に乗っている電話番号が文字化けしている。
「一言文句を言ってやる!!」
通話ボタンを人差し指で押すと、耳元にあてる。
出た瞬間キレてやろうと、肩を怒らせた。
「あのさーーー!!!」
『☆Θ△▽〇§Ψ&+〇☆◇~~~』
「はぁ? えっと……何語ですか?」
僕にとっては摩訶不思議な言葉が聞こえて狼狽えた。
声の語調的に喜んでいるみたいだが……さっぱりわからない。
「☆☆ЙЮΠ〇▽ ☆★K№∂」
「・・・・・・」
『ΨЮΛω〇』
「ほん〇〇こん〇ゃく!!!」
話にならないと思った僕は、簡易的な棚の中から某アニメに出て来た道具を取り出すと、あむあむと咀嚼した。
ゴクンッと呑み込むと、もう一度携帯電話を耳元にあてる。
しかし……初めてのことだなー外国人から電話がかかってくるなんて……もしかして間違い電話か?
その線が高そうだが……時差とは言え、はた迷惑な話だな。
『僕の話聞こえてますか?』
「OK~OK~すこぶる調子がいいよ~」
『あっ……良かった……死ぬ間際に誰かと話しがしたかったんです。電話が通じた時、凄く感動しました!!』
えっ? えっ? 話重すぎじゃない?
この人は今、何をしようとしてるの? もしかして投身自殺とか!!
ちょ、おいおいおいおい……!!! 性格ひねくれすぎだって!!!
死ぬ間際に電話掛けてくんなよなー!!!
「電話が通じて感動って……もしかして貧民関係ですか?」
『だってワイのところ稲作耕してるし』
「へぇ……そうなんだ……」
一人称ワイとかださすぎ!! 痛すぎっ!!
「えっと……結構田舎の方に住んでる方ですかね?」
『田舎? なんだそれ? 今ワイ、王国の前で電話してるんやが?』
「王国? やっぱり外国人?」
『まぁー異世界人であることは確かやろうなーこっちには魔法とか剣とかあるし』
「・・・・・・」
異世界人にしては気安くないか? もっとこうさ……驚く場面じゃね?
サラッと凄いこと言ってるけど、全然頭に入って来ないのよ凄さが!!!
そもそも死ぬ間際に電話掛けて来たんじゃないの? なんでこの異世界人悠長に会話してるの? つうかもう死ねよ!!! 死ぬ間際って言ったのも絶対嘘でしょう!!!
『そっちの世界はどうや? やっぱり剣とか盾使ってガキーン!! ガキーン!! とかやってんのか?』
しかもこっちの島にまで入って来たし!!!
早いところ通話終わらせて、眠りたいんだけど!! 明日も学校あるの!!! 朝7時起きなのっ!!!
「そんな物騒な事やってるわけないでしょう」
『はぁ? 何言ってんねん!! 剣使えなかったらこちとら死ぬ言ってんねん!!!』
「戦争の真っ只中ですか?」
『戦争? なんや……意味不明っ!! まぁー戦うっていう意味はあってるやろうな!!』
「戦争以外で戦うことあります?」
『世界とは理不尽で構成されてるからなー自分に良いように傾かなければ武器を権力を使って黙らせようとする奴らばかりや』
「はぁ……そうですか……」
何か深い意味に聞こえてきたなー
『そんな奴らから逃げ……戦ってんのや!!』
こいつ今、逃げるって言いかけたな!!!
そもそもどういう状況なんだ? 死ぬ間際なのに、なんで連絡出来る? 悠長に会話出来る?
追い詰められているそれに見えないぞ!!!
「それで……あなたは……どうして僕と通話しようと思ったんですか? 死ぬ間際なんですよね?」
『そうや死ぬ間際やで、けいたいでんわとか言うやつがいきなり目の前に現われてなーそれを手に取ったら、電話が繋がったってことや!!!』
それがたまたま僕の携帯に掛かってきたと? そんな奇跡ある?
「死ぬってことは……剣でも突き付けられてるんですか?」
『違うなー魔法や魔法や魔法弾や!!!』
さっぱりわかんねーな……
『今その魔法弾をワイにぶっ放そうとしてるんや!! 今のワイの力ではその弾を避けることは不可能や!!』
いやいやいやいや!!! これだけ通話出来る余裕があるなら出来るでしょうよ!!!
その魔法使いの? 敵さん? どれだけ待ってくれてるのって話だよね!!!
「逆にこちらも魔法弾をぶっ放すというのは?」
『向こうの魔法弾が強力やからなー一縷の望みもないやろうなー」
なんでそんなに嬉しそうなんだよ……
そもそも本当に死ぬ間際なの? 全然そんな調子に見えないけど?
『そろそろダメみたいや……最後に名前聞いていいか?』
急に深刻そうになったな……
「この状況で僕が名前を教えると思う?」
『ビローンや、ワイの名前はビローン』
「うわぁ……汚いやり方だな……先に名乗られたら言うしかねーじゃん……真生だよ……」
渋々だが教えた。きっと僕はお人好しなんだろうな……だからこんなしょうもない電話に付きあってるんだろう。
『そうか真生か……魔王みたいな名前やな……魔王ってな!!! 凄くごっつくて―――』
鼓膜を揺るがすほどの爆音が炸裂したかと思うと、通話がぷっつりと切れてしまった。
「えっ? ガチだったんだ……マジのマジで異世界から電話が掛かって来たのかよ……」
気安い喋り口からの衝撃的展開に、携帯電話の液晶画面に目を向けて唖然とした。
結局、何が言いたかったのかわからなかったな―――
なんかEND
久し振りに短編を書かせて頂きました。
自身のモチベーションのためにも、感想か評価かブックマークお願いします!!!
異世界転生小説が苦手な僕に教えて欲しいです!!!




