1:プロローグ
「ニーナ・コンスタンティ・ノヴァが真名を賭して命じる」
足元に、召喚のための円陣が現れる。
魔力はもう、元に戻っている。だから、絶対に大丈夫。
そう自分に言い聞かせても……。
3回の召喚失敗の時を思い出し、背中に汗が伝う。
緊張で、手にも汗をかいている。
「ニーナ、大丈夫だよ」
クリスの声に、俯いていた顔を上げる。
落ち着いたテノールの声に、瞬時に焦りが緩和される。
ライラック色の瞳が、優しく私に微笑みかける。
「大丈夫だよ」という言葉に、心が平安を取り戻す。
そう、大丈夫。絶対に召喚できる。
息を大きく吸い込み、すうーっとはき出す。
「召喚術式展開 霊獣 <守護朋友>」
円陣が、白く輝く。
お願い。
三食昼寝付きで、溺愛するから現れて!
次の瞬間。
肩に気配を感じる。
ゆっくり肩を見ると……!
つぶらな黒い瞳。
パールホワイトの柔らかそうな毛。
私の小指よりも小さい手足。
これは……ジャンガリアンハムスター!
なんて。なんて。可愛らしいの!
そっと右手を近づけると。
ふんふんという感じで、手の匂いを嗅いでいる。
その愛くるしい姿にキュンとし、そのまま手の平にのせる。
「できたわ! 成功しました! 守護霊獣の召喚、できました!」
私の叫びに、フィッツ教頭が大きく頷く。
「確認しました。ノヴァ伯爵家令嬢、よくやりました。後ほど守護霊獣召喚証明を発行します」
フィッツ教頭が私のそばに来て、手の平にのっかるジャンガリアンハムスターに向け、呪文を唱える。ジャンガリアンハムスターが一瞬、ぽわんと光る。
「登録情報は取得できました。守護霊獣とのパートナー契約は、死が、術者もしくは霊獣を分かつまで、続くものです。生涯のパートナーと考え、大切にしてあげてください」
「はい!」
「よろしい」
フィッツ教頭は、立ち合いをしていた教師陣を連れ、ホールから出て行く。
代わりに少し離れた場所にいたクリス、ウィル、ジェシカ、アンソニーが私の元に駆け寄る。
「ニーナ、おめでとう。無事に召喚できてよかったね」
クリスがライラック色の瞳を細め、自分のことのように、喜んでくれる。クリスの足元にいる銀狼も、尻尾をふって嬉しそうだ。
「やったな、ニーナ! おめでとう」
笑顔のウィルと、ハイタッチする。
「ニーナ、とても可愛らしい守護霊獣ね。スノーボールとも仲良くできそう。名前はどうするの?」
ジェシカが手を伸ばすと、ジャンガリアンハムスターは、ふんふんとその指に鼻を近づける。ジェシカの肩にいるスノーボールも、興味深そうにこちらを見ている。
「名前……毛の色がパールホワイトだから……ミルキーにしようかしら」
「ミルキー。ふふ。愛らしい名前ね。ニーナらしくていいと思うわ」
「本当? ではミルキーで決定ね!」
頭を撫で「ミルキー」と呼びかけると、耳をぴくっとさせ、こちらを見る。
「「可愛い~」」
思わずジェシカと二人、声を揃えてため息が出てしまう。
「ではミルキーを連れ、帰るとするかい?」
アンソニーの言葉に頷き、皆でホールを出た。
お待たせいたしました! Episode2遂にスタートです。
特大サプライズ! 表紙絵をご用意。
シンO2先生のイラスト輝いています。
☆・゜:*:゜ヾ(≧▽≦)ノ*:・'゜☆
時間差で3話公開します!

























































