78:謁見
翌日は、朝から大忙しだった。
父親と二人、宮殿へ出向き、国王陛下と謁見することになっていたからだ。
タキシードの父親に対し、私はロータスピンク色のローブ・モンタントという立襟のドレス姿。頭にはドレスと同色の帽子を被り、馬車で宮殿へと向かった。
9年前に比べ、往来を走る車は増えていた。でも宮殿に行く時は馬車が推奨されていたので、それに習った形だ。
父親は何度か国王陛下に謁見することもあったようだが、私は初めて。
マジパラでは、宮殿で開かれる舞踏会のシーンの背景に、国王陛下夫妻がちょろっと描かれていたことはある。でも本筋に関わらないので、どんな方なのか、まったく分からない。
だからとても緊張しながらの謁見となったのだが……。
実際に会った国王陛下の印象。
ダンディ。
もうこの一言に尽きる。
フランシス王太子も、ウィルもイケメンなのだ。そのパパである国王陛下も、当然容姿は素敵なのだが、そこは年齢を重ねた貫禄があり、結果落ち着くのは――ダンディだった。
声も渋いし、とても父親と、同世代とは思えない。
そんなダンディな国王陛下に対し、父親共々、御礼の気持ちを伝える。まずは、ハヤブサをブルンデルクへ派遣してくれたこと。ウィルと筆頭魔法騎士、そして沢山の魔法騎士を、私の救出のために動かしてくれたこと。何より今日、謁見のために時間を作ってくださったこと。これらすべてに感謝していると、誠心誠意で伝えた。
国王陛下は、私が無事救出されたことを、心から喜んでくれた。その上で、逆に御礼を言われてしまった。
というのも、四聖獣の召喚に必要なクリスタルを、クリスは持ち帰り、国王陛下に既に献上していた。そしてこのクリスタル探しに私が協力していると、クリスは国王陛下に話していたのだ。私の協力がなければ、クリスタルは見つけられなかったとまで言ってくれたらしく、そのことに関して、感謝の言葉を賜ることになった。そんなことを知らない父親は、目を白黒させ、驚いている。
さらに次期大魔法使いであるクリスが、王都に戻ることができたのも、私のおかげであると、国王陛下は言ってくださった。さらに。その場でなんと、クリスとの婚約と結婚を祝う言葉まで、賜ることになったのだ……!
父親と私の国王陛下との謁見は、お昼前だった。でもクリスと国王陛下は、とっくに謁見が済んでおり、私との婚約と結婚についても、話を終えていたようなのだ。
おかげで謁見は和やかに終わり、それどころか明日の宮殿で開かれる舞踏会にも、都合が合えば顔を出すといい、とまで言ってもらえた。
国王陛下直々の舞踏会への招待。
行かないわけがない。ということで明日の夜は、舞踏会へ行くことが決定した。
念のためで、イブニングドレスを持ってきてよかったと、胸をなでおろす。
謁見を終え、回廊を父親と歩いていると、クリスに声をかけられた。まだ大魔法使いではないクリスは、宮殿では、軍服姿がデフォルトのようだ。
銀狼の姿から、人間へと戻った時にも着ていた、襟や袖に白いラインが入っているロイヤルパープルの軍服を着ている。
その軍服は、ライラック色のクリスの瞳に、ピッタリだ。
丁度お昼の時間だった。一緒に昼食をと誘われ、父親と三人で、食事をすることになった。
昼食の後、帰りはクリスが馬車で送るということで、私はクリスと二人、宮殿内の庭園を散歩することになった。
クリスは私を、薔薇園に案内してくれた。
その薔薇を眺めながら、私は今日の謁見の様子を、クリスに話した。
「そうか。うまくいってよかったよ」
「クリスが根回ししてくれていたおかげだわ。本当にありがとう」
「僕はただ、事実を報告しただけだよ。ニーナの予知夢のおかげで実際、クリスタルも見つかったし……」
そこで言葉を切ると、クリスは立ち止まり、私を見た。
この後、もう1話、公開します!
準備出来次第、公開します。11時半までに公開します!
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