39:ブルンデルクのみんなの想い
これはまがうことなく現実であると私が実感したまさにその時。
馬車が止まった。
役所とウィンスレット辺境伯の屋敷は馬車で30分ぐらいだ。私が夢か現実かと悩んでいたのは、30分もかかっていないと思う。
どうしたのだろうかと思ったら。
窓から外を見て驚く。
このお城に見える建物は……料理自慢のレストランを持つ「クロンシュホテル」!
クロンシュホテルは、古城を改装しホテルとして営業しているが、ウィンスレット辺境伯はここをレストランとしてよく利用していた。家族のお祝い事があると、よくここを利用していたが、まさか……。
馬車を降りてビックリ!
ホテルのメインエントランスには、みんなが待っていてくれた。
そのみんなというのは、ウィル、アミル、アンソニー、ジェシカに加え、ウィンスレット辺境伯夫人、それにケイト達使用人。それだけではない。昨日の誕生日パーティーを祝ってくれたアニカ・ラウクもレノー・ブルタンもいる。さらに、メグ、ローガン、ヘクター他クラスメイトのみんなも駆け付けてくれていた!
「二日連続でお祝いなんてなかなかあることではない。だがクリストファー様とニーナの盛大な結婚式は、きっと王都で行うだろう。ならばブルンデルクのみんなも負けていられないとなった。王都に負けず、ブルンデルクでも盛大に祝おうとなったのだよ」
ウィンスレット辺境伯の言葉に、クリスも私も驚いてしまう。どうやらこのサプライズは、クリスも気づいていなかったようだ。
「ニーナ、これを持って、ここからレストランへ向かって」
笑顔のジェシカが私にブーケを渡してくれる。そしてアンソニーが「こっちだよ」と案内してくれたのは、メインエントランス脇のレストランへの入口だ。
よくみるとそのアーチ型の門には花が飾られ、ウエルカムボードには「クリス&ニーナ おめでとう!」とメッセージが書かれている!
門をくぐるとレッドカーペット!
そこを進むと広い庭園があるのだが、そこには祭壇が設けられ、祭司が待機していくれている。しかもその傍には楽団がいて、軽やかなメロディを奏でてくれていた。
アンソニーに促され、クリスのエスコートで祭壇まで進む。
後ろをチラリと見ると、みんなも私達の後をついて来ている。
これは正式な結婚式ではないだろうが、結婚式も同然と言っていい。
私達が祭壇の前まで行くと、みんな祭壇を取り囲むように整列し、そして祭司が私達の結婚を祝う言葉を述べてくれる。小難しい式次第なんてない。祭司はお祝いの言葉の後、クリスと私に永遠の愛を誓うかと尋ねた。クリスと私が同時に返事をすると、みんなから笑いと拍手が起きる。
祭司は「では二人の永遠の愛を誓って、キスをどうぞ」と促す。
もうそうなると勢いだ。恥ずかしいなどという気持ちは吹き飛び、クリスとキスをしていた。
その瞬間、明るく華やかな曲が流れ、皆の拍手喝采が聞こえてくる。さらに「ブーケトス」コールが起きて、私が思いっきりブーケを投げると……。まさかのローガンがキャッチし、大爆笑になる。
その後はみんながいた場所は、ダンスホールに早変わり!
みんなで楽しくダンスを踊ることになる。私もクリスとダンスを楽しんだ。
しばらくすると、庭園にいい香りが漂ってくると思ったら……。
庭園に続くレストランの中では、テーブルに料理が並べられている。
時間は丁度お昼時。
休日のこの時間、本来ならこのレストランは満員御礼のはず。
それが今日は完全に貸し切り!
みんな庭園からレストランへ移動し、お祝いのコース料理を楽しむことになる。
私達が料理を楽しみ始めると、ジェシカとメグがお祝いのメッセージを読み上げてくれた。それはもう本当に驚きだが、コンカドール魔術学園の校長、フィッツ教頭、担任の教師に加え、クリスの研究の支援者たち、王都にいる私の家族、筆頭公爵家のグレッグ、フランシス王太子、大魔法使いメイズ、それに国王陛下夫妻までメッセージを寄せてくれていたのだ!
ジェシカとメグと交代し、アミルとウィルはクリスと私の思い出の写真をスライド上映してくれた。いつの間に写真を撮っていたの!と驚いたが、つい先日のスクールトリップの写真まで含まれており、このお祝いのために、みんながいつから準備していてくれたのだろうと胸が熱くなる。
夏季休暇の後は、魔術祭、体育祭、中間考査、スクールトリップ、期末考査ともう大忙しだったはずだ。それなのに……。
泣きそうになるが、それをグッと堪えていると、今度はクラスメイト全員でお祝いソングを歌ってくれた。
食事をしながら、メッセージあり、スライド上映あり、コーラスありで、本当に大盛り上がりだ。その後もビンゴ大会、再びのダンス、さらにはケーキカットと、お祝いは夕方まで続いた。
お読みいただき、ありがとうございます!
祝(≧∀≦ゞ
次回は明日『お祝いの終幕』を更新します。
引き続きよろしくお願いいたします。
【お知らせ】
>>一気読み派の読者様<<
「完結●断罪回避に成功した悪役令嬢
なぜか2度目の転生へ 」
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上記作品が完結しました☆彡
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イラストバナーもございます。
●あらすじ●
悪役令嬢に転生してしまい、でも断罪を見事回避し、80歳まで生き、天寿を全うしたシャーロット・スウィーニー。人生最期の瞬間に、一つだけ悔いが残ったが、そのまま魂の炎は消えた。
しかし。
再び転生していた。悪役令嬢シャーロットとして。
既に断罪を回避する方法は分かっているのに。まさかもう一度同じことを繰り返せと? 困惑するシャーロットだったが、早速、ヒロインの攻略対象と次々に遭遇してしまう。しかもこの攻略対象達は、なぜかシャーロットのことを甘やかしまくりなのだが……!?
こうして断罪回避方法を知るシャーロットの2度目の悪役令嬢人生がスタートする――。


























































