28:僕はどうも謎の半分が解けてしまった
「そ、それをすべて、今朝までに調べ終えたのですか……?」
「そうだが、そこまで驚くことではないだろう?」
「……」
てっきりジェラルドや魔法騎士達も一緒に昼食をとるのかと思ったら、私達が食事をしている間は、護衛につくという。つまり、前回同様、窓の外に二人の魔法騎士、ドアの外にジェラルドと魔法騎士が配備されている。料理は冷めてしまうが、魔法で温められるから問題ないというが……。なんだか申し訳なく思いながら、オムライス、スープ、そしてサラダをいただきながら、ウィルの話を聞くと……。
ウィルはピラフ、スープ、そしてサラダを食べながら、彼に関して新たに得た情報を元に調べたことを聞かせてくれた。調べたことは……とても1時間や2時間で調べ終わる量ではない。私が安眠を貪っている間も、ウィルが活動していたとしか思えない。
だからといってウィルの目の下にクマがあるとか、肌が荒れているとか、眠そうであるとか、そんなことはない。元々体力のあるからなのか、なんなのか、とにかく圧倒されてしまう。
そんなウィルが調べた結果。
壁に貼られた地図にはネモフィラの花畑の場所が記されている。ウィルとジェラルドの守護霊獣であるイーグルとオオタカに調べさせたという。
見たことのない魔法の呪文の数々。
それは私にかけられている魔法だ。
さらにモノクロの写真の数々。
これは街に設置されている防犯カメラの写真。そして白黒で粗く、人であると辛うじて分かる姿が写っているのだが……。それがあの彼。ウィルがこれを彼の姿だと特定したのは、そのそばにウルフがいたからだ。
彼の守護霊獣はウルフ。
多くの守護霊獣が肩に乗るサイズだが、彼の霊獣は立派な成獣のウルフ。確かにウルフを連れている人なんて珍しいし、彼を特定するに足る情報だと思った。
防犯カメラの写真が撮られた場所は、地図にも記載されている。
さらに9年前に彼がノートに記した記録から、彼がその当時足を運んだと思われる場所も、地図に付記されていた。
「実はニーナ、僕はどうも謎の半分が解けてしまった」
ウィルのこの言葉に対し、私は「え」という驚きと、これだけ調べたのだから何か答えに辿り着いただろうという思いが混ざりあった。つまり、信じられないと思いつつ、納得できるという不思議な心理状態になっていた。
「でもね、解けた謎の半分以上が、今朝の出来事で分かった感じだ」
「今朝の出来事……?」
「そう、僕ら四人で馬車に乗り、学校に向かっただろう」
私はこくりと頷き、あの時の会話の中で、謎解きにつながることがあったのかと首を傾げてしまう。
「ニーナの目にかけられていた魔法について話した時、僕はアンソニーとジェシカの面白い反応を見ることになった。ジェシカは、君と仲が良いし、友達だと思っている。それは間違いない。でも心の中で、容姿については自分が優れているという気持ちがあったのだろうね。君の眼鏡が不要になり、素顔で過ごすことになったと知り、僅かながら嫉妬心が芽生えた。特にジェシカは今、まあ、僕に意識を向けている最中だからね。自分のそばに綺麗な女子が現れたら、気が気じゃないというのもあるからだろう」
ジェシカが容姿に対し優越感を持つのは……おかしなことではない。だって実際ジェシカは、とても綺麗なのだから。ただ、私と比べる必要なんてないのに。眼鏡のない素顔の私でも、ジェシカに敵うはずがない。
でも、ウィルに恋心が芽生えているジェシカが敏感になっているのは……理解できる。
気にする必要のない私の変化にさえ、反応してしまうのだろう。
「まあ、ジェシカの件は前座だ。真打はアンソニーだ」
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次回は「はあああああああ!?」を公開します。
明日もなんとプチ……
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