55:大自然の中で夕食会
その後も適度に休憩をとりつつ、歩みを進め、ついに湖が見えてきた。
それは息を飲むほどの静謐な青い色をしている。今日泳いだ滝壺は、透明感のある、水色に近い碧色だった。でも今見えている湖の青は、オリエンタルブルーのような青さだ。そして確かに隕石が落下し、クレーターに雨水がたまりできたと思わせる、窪みの中に存在している。
「テントをはったら役割分担をさせて欲しい」
ウィルにそう言われ、皆でテントをはり、再集合すると。
「この湖は、メリア魔法国として調査をしたい。だから申し訳ない。僕とクリスは、その調査に当てさせてくれないか。残りのみんなで夕食の準備をお願いしたい。でも僕とクリスが手伝えないから、夕食は魔法も使いながら準備でもいいかな?」
ウィルのこの提案に、異論を挟むものはいない。
そしてすぐさま行動開始だ。
つまり、魔法を使い、料理タイムになる。
持参していた食料は、既に尽きていた。だからどのみち、食材は魔法で調達する必要があった。さらに今回、魔法を使っていいとのこと。調達した食材を効率的に調理できるよう、様々な調理道具も、魔法で用意した。
その結果。
アミルはケバブを、焚火を使い焼き始めた。
ジェシカは窯を用意し、そこで焼き立てパンを作ることにした。生地の発酵など魔法で時短し、形を作るところがスタートさせている。
アンソニーはスモークサーモン、生ハム、ローストビーフ、ロースハムのテリーヌを調達すると、それを綺麗に切り分けた。さらにハム、ピクルス、スライスしたタマネギ、チーズ、ワインビネガーとオリーブオイルで味付けしたサラダを作り、オードブルにするという。
私はジェシカを手伝いつつ、4種類のソーセージを焼き、さらにデザート作りにも挑戦した。
生地は小麦粉、バター、卵を混ぜ合わせ、ゴルフボールぐらいの大きさにして、窯で焼く。それをホワイトチョコやチョコレートでコーディング。そのままのもの、砕いたナッツをトッピングしたもの、粉糖をまぶしたものと、いろいろと用意した。コロンと丸く可愛いデザートができた。
アミルがテーブルと椅子、そしてテーブルクロスを用意し、アンソニーは素敵なグラスを召喚してくれた。ジェシカが葡萄ジュースを準備し、みんなで飲み物と食べ物を次々とテーブルへ並べていく。最後に私がキャンドルを用意し、炎を灯すと。
即席ではあるが、野外夕食会の準備が整った。まだまだ空は明るいが、ここは背後に森もある。だから既に少し暗くなっていた。よってキャンドルの炎は、いいアクセントになっている。
そこに調査を終えたウィルとクリスが戻ってきた。空を自由に飛んでいることが多い、ウィルのイーグルが肩にいる。どうやら湖の調査で、イーグルも活躍したようだ。銀狼はいつも通り、クリスのそばにいる。
「みんな揃った。食事にしよう!」
アミルの合図で皆、着席する。
それぞれの守護霊獣は、足元や膝の上などで、おとなしくしている。
「ついに湖まで到着した。明日には宝の在り処に到達する。ここまで頑張ってくれて、ありがとう!」
アミルの言葉で乾杯をして、食事を始める。
まずはアンソニーが用意したオードブル。
アンソニーが作ったサラダは、ピクルスがアクセントになり、ハムとチーズの塩味も絶妙。食べやすく美味しい。しかも生ハムやローストビーフは、どう考えても一級品。こんな大自然の中で、この味を楽しめるのは……魔法が使える国ならではと思える。
続いてはアミルのケバブを、誕生日パーティーの時と同様、数種類のソースで楽しむ。さらに私の用意したソーセージを食べ、そしてジェシカの自家製パンを食べた。
ジェシカの自家製パン。
もう絶品。
ジェシカだったら、パンのお店を経営してもいいと思う。
パンとケーキを販売するお店。私なら毎日通う。
しかし。
この絶品パンの後に待つのが、私のデザートだと思うと……。冷や汗が伝う。
「丸くてコロコロして可愛いデザートだね。ジェシカとニーナが作ってくれたの?」
クリスに笑顔で尋ねれ、私は緊張の面持ちで「私が用意したの」と小声で答える。私が小声だったので、みんなに聞こえないと思ったのか、アミルが大声で捕捉する。
「今日のデザートは、ニーナが作った。ホワイトチョコがけを味見で食べたが、上手かったぞ」
!?
アミル、いつの間に味見をしたの!?
まったく油断も隙もない。
だが。
アミルのこの言葉を合図に、皆、自身のお皿にデザートをとっていく。
まだお昼前なのに。食べ物の描写が多く。
お腹すいてきました~
引き続き、12時台にも公開しますー!
ブックマーク登録、いいね!、評価など各種応援を賜り、本当にいつもありがとうございます!

























































