52:男性陣の裸の上半身について
水浴びの話となれば、男性陣の上半身裸が話題になるのは必然。
女子と言えど、素敵な異性の裸なら気になるのです。
まずは当たり障りのないアンソニーについて。
「アンソニーは子供の頃以来だから、ビックリしたわ。子供の頃は、細くて華奢だったのに。今は予想以上に筋肉もついていて、驚いてしまったわ」
兄弟も同然のアンソニーについては。
男子の裸を見慣れていなくても、なんとか見ることができていた。
そのアンソニーは、優しい王子様というイメージ。どちらかというと筋肉とは無縁ぐらいに思っていた。だが毎朝ウィンスレット辺境伯から、訓練を受けているだけある。服を着ていて気づけない部分にも、ちゃんと筋肉がついていた。でもそれは、お姫様を悪党から守ってくれる王子様として、相応しい程度のもの。ウィンスレット辺境伯のような、ムキムキマッチョではない。
「そうね。お兄様は、毎朝お父様の指導で体を鍛えているから……。でもお父様は、もっとお兄様に筋肉がつけばいいと思っているみたいですわ」
なに!?
アンソニーのムキマッチョは違反では!?
あの金髪碧眼でムキマッチョは……悪夢な気がする。
できれば現状維持で、お願いしたい。
なにはともあれ、次は……。
「アミル様はね、砂漠の自分の部屋にいる時、とても露出が多い服を着ていたの。だから私は、多少見慣れてはいたけど……。あれよね。日焼けしているから、本当に引き締まって見えると思うわ」
あの部屋でアミルは寝る時、上半身裸だった。だから唯一あの四人の中で、上半身裸を既に見ていた。だからと言ってアミルなら正視できるかと問われても、それは「無理!」ではあるのだけど。
「ええ、あの日焼けした肌は、こういった自然の多い場所では、さらに映えると思いましたわ。肌はまるで水を弾き返すようで、若さも感じましたし。あの肌に触れたら……。ドキッとしそうですわ」
ジェシカは頬を赤らめながら、そんな風にアミルのことを評する。
一方の私は……。
「ええ、あの上半身裸で後ろから抱きしめられた時は、ナツメグや白檀を思わせる甘い香りもして、心臓が止まりそうでしたわ」と、喉元まで出掛かけたが、慌てて飲み込む。こんな話、誤解を生みかねないし、絶対に誰にも言えない!
だから。
「そ、そうね。実際私達より、年下ですものね」
その後に「おほほほ」とつけたくなるぐらい、ぎこちない話し方になったが、ジェシカは気にせず応じてくれる。
「年下……。アミル様はまだ16歳になったばかりですものね。そうは見えないワイルドさがありますけど。でも驚きましたわ、あのおへその飾り。今時の若い方は、ああいったオシャレをされるのかしら?」
ジェシカもまだ18歳なのに!
ただ、アミルのあのへそピアスは、確かに前世の若者でも通用するオシャレの感覚だと思う。私はなんだか痛そうで、無理~という感じだけど。
「個性的よね。私も初めて見た時は驚いたわ。そういえば日焼けと言えば、ウィリアム様も……」
アミルのことは、これ以上話すと墓穴も掘りそうだったので、ウィルの名前を出してみたのだが。ウィルの名を聞いた瞬間、ジェシカの顔が真っ赤になる。
「ウィリアム様も日焼けしているけど、アミルとはまた違うわよね。焼けているといっても、なんというのかしら。都会焼けというか。健康的に見えるぐらいの、日焼け具合。ただウィリアム様は、騎士の訓練を王都でもバッチリしていたから、全体にきちんと筋肉がついている。顔つきも精悍だし、ハンサムだし、程よく日焼けしたあの体は……あの顔にまさにピッタリっていう感じだったわ」
「ニーナ、い、意外とウィリアム様のお体、ご覧になっていたのね」
ジェシカの指摘にドキリとして、背中に汗が伝う。
そ、それは……その通りだった。
あの水遊びをしていた時。
アンソニーは家族ということで、なんとか見ることが出来た。もちろんドキッとするが、男兄弟の上半身裸、という感じでどうにか対応できた。アミルについては、一度見ていたこともあり、それでなんとか耐えられた。だがクリスの上半身裸は……直視不可能で、見れば失神確定。だから思わず……ウィルの上半身を……結構しっかり見てしまった気がする。
「ぐ、偶然だと思うのよ、私も。たまたま、たまたま、ウィリアム様のお姿がしっかり見えてしまって……」
「私はウィリアム様のお姿を、まともに見ることが出来なかったわ……。だから今、ニーナに教えてもらえてよかった。きっと素敵だったのでしょうね……」
ジェシカは目を閉じ、頬に手を当て、ウットリしている。
まさに乙女な感じで、実に可愛らしい。
「ウィリアム様のお姿は、まともに見られませんでしたが、逆にクリストファー様は、しっかり見ることが出来ましたわ」
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