47:甘い囁きと共に……♡
こんなところで抱き寄せるなんて!
一瞬、「みんないるのに!!」と思ったが、今は皆、夢の中だろう。
だからそのままクリスの胸に体を預けた。
「頑張るクリスを応援したいけど、無理はしないでね。今はまだ若いけど、クリスが体を壊さないか心配」
「それは確かに。大魔法使いメイズ様のような年齢で、こんなことをしていたら、大変だ。でもまだ大丈夫だよ。体力はバッチリあるし、ズルもできるかね」
メイズぐらいの年齢のクリスは……さすがにまだ想像できない。
想像はできないが、その年齢になっても、いぶし銀の魅力満点な気がする。
まあ、その年齢でこんな真夜中に研究なんて、ホントしないと思うけど。
「むしろ、ニーナの方が心配だよ。こんな時間に目を覚ますなんて。何か心配事でもある?」
「まさか……」と言いかけ、ギリス王国の国王が描いた、恐ろしいシナリオのことを思い出す。あんなことありえないと思うが、「もしも」は考えだすと止まらなくなる。
「ニーナ? 大丈夫?」
私はぎゅっとクリスに抱きつき、そのまま胸に顔を埋めながら答える。
「今日、ギリス王国の国王が描いた恐ろしいシナリオのことを聞いて、怖くなってしまったの。クリスやウィルやみんなに、何かあったらって」
「ニーナ……」
クリスが今度は私のことをぎゅっと抱きしめた。
「あの時、ニーナの顔色が一瞬悪くなったから、心配していたんだよ」
「……! もしかして、せっかく砂漠の民のアサシン(暗殺者)の協力というカードを手に入れたのに、浮かない顔をしていたのはそのせい?」
「ニーナは僕に負けないぐらい鋭いね」
クリスに褒められ、思わず頬が緩む。
「ニーナに関することになると、僕はまるで子供のようになってしまう。ニーナの表情に一喜一憂してしまうから。だから……魔法での戦いで、負けるつもりはないよ。ニーナを悲しい顔にさせたくないからね。心配しないで大丈夫だよ。今日だって、問題なく砂漠の民のアサシン(暗殺者)を捕えただろう?」
それは確かにそうだ。
あのなんだか地獄に引き込まれるらしい魔法がある限り、たいがいの敵は制圧できそうだ。
「むしろ僕はニーナに何かあったら、それこそもうダメになってしまいそうだ」
「え、そんな!?」
「アミルにニーナがさらわれた時、どれだけ感情を自制したと思う? もうどこにもいかないで、ニーナ」
パーフェクトヒューマンのクリスに、こんな風に言われてしまうと。なんだか自分がとんでもなく素晴らしい存在に思えてきてしまう。
「どこにもいかないわ、クリス。私の居場所は、クリスのこの胸の中だから」
「ニーナ……」
甘い囁きと共にキスをされ、心臓が大きく跳ね上がる。
みんな寝ているとはいえ、テント越しなのだ。
そんな状態で、クリスとキスをするなんて。
宝探しの最中は、クリスとキスをできるとは思わなかった。それも相まって、いつもより嬉しくなり、幸せになってしまう。
でも……。
一度のキスでクリスは、唇をはなしてしまう。
「ニーナ、もう休まないと。明日も沢山歩く予定だろう。足には回復魔法をかけてある。だから足は大丈夫だと思う。でも睡眠不足だと、体全体に疲れが出てしまう」
それは……クリスの言う通りだ。
寝た方がいいと分かっている。
でも……。
「ニーナ、そんな顔をしないで。僕も我慢しているんだよ」
耳元でそう囁いたクリスは……。
「!!」
初めての首筋へのキスに、心臓が止まりそうになる。
さっきのキスの比ではないぐらい、ドキドキしてしまう。
「ズルは今日だけだからね、ニーナ。眠りの魔法と特別な回復の魔法をかけておくから。明日は元気いっぱいで、目覚めることができるよ」
そう言いながら、クリスは唇にキスをしたと思うのだけど。
クリスに抱きかかえられたまま、瞬時に眠りに落ちていた。
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続きは明日、11時台に「クリスのおかげで元気満点」を公開します。
明日はプチサプライズ☆
新たな試みフライング更新です!→謎は明日解明
引き続きよろしくお願いいたします~

























































