37:あわわわわわ。
王冠は確かに、お宝という感じがする。でも男のロマン理論によると、宝は「その場所でだけ楽しめるもの」で男性陣は納得している。よって私が、「王冠」と言ったところで、見向きもされないと思ったのだが……。
アミルとアンソニーは「なるほど!」と、単純に頷いてくれた。そしてジェシカは「王冠なんて、そこら辺に転がっている物ではないですよね!? 過去に王冠が盗難にあったなんて、聞いたことがないですし」と驚いている。
そして。
ジェシカの発言以前から、ウィルとクリスの表情が、硬くなった気がしたのだが……。
「もちろんだよ、ジェシカ。王冠は、王宮奥深くで大切に保管されている。メリア魔法国には、三つの王冠が先祖代々伝わっている。そして一つも盗難になんて、あっていないよ」
そう答えるウィルの顔は……なんだか引きつっている。
さらに隣にいるクリスが、私を意味深に見て、口だけ静かに動かす。その口の動きを追うと……。「予知夢?」と問いかけていると分かる。
あわわわわわ。
そうだった。ここはマジパラの世界だから、私がやったイベントは、イコール現実だった!そうか、王冠のうっかりは秘密なのね。そしてこのことは王族と……多分、クリスは見つけて欲しいと国王陛下に頼まれているのかもしれない。だから知っているのか。
きっと後でクリスにいろいろ聞かれそうだが……。
ひとまずこくりと頷くと、クリスはかなり驚いた顔をしている。
ちなみにうっかり王冠の在り処は、温暖で過ごしやすい都市として知られる、フィアマールだ。フィアマールは、海に面している。当時の国王陛下は、領地視察で訪れたフィアマールで、海水浴を楽しむことにした。その際、王冠をはずし、そのまま……。
フィアマールの海は、マジパラをプレイしていた時に見たのだが、大変美しかった。だからいつかクリスと王冠探しで訪れるのも、悪くないだろう。むしろ……。海に沈む夕日を、肩を寄せあい眺めたり。海から顔を出す太陽を、手をつなぎながら眺めたり……。
イイと思います。
すごくイイと思います。
クリスと海に……行きたい!!
そんな妄想を私がしている間に。
馬車は着実に目的地へと進んでいき、途中休憩を挟み、無事、ヴュルテンの町に到着した。
◇
ヴュルテンの町は、ネズの木に囲まれた草原が、観光地の一つにはなっている。だからといって、観光業がメインの町かというと……そうでもないようだ。ここで日常生活を送る人が7割、観光は3割、という感じ。そして日常を送る人々が従事している仕事は、牧場だ。石畳の道路を少し離れると、草原が広がり、遠くに牛や馬の姿見えている。町ということだが、発展した村、と言ってもいいだろう。
何はともあれ、馬車を降り、早速クロンシュ連山へと向かうことにする。計画では1時間ほど歩くと、ネズの木に囲まれた草原に到着するという。そこで昼食をとり、さらに奥へと進んでいく。
「30分に一回は休憩をとりながら進む。それでも足が痛くなったり、疲れたりしたら、いつでも声をかけてくれ。今回、怪我や回復については、惜しみなくアミルが魔法を使うつもりだから。でもネズの木に囲まれた草原は、観光スポットになっている。だからそこまでは馬車が入れるよう、石畳の道が続く。木の根や岩に阻まれることはない。比較的、歩きやすいと思う」
ウィルの言葉を合図に歩き出す。
先頭を行くのは、アミル、ウィル、ジェシカ。その後ろにクリス、私、アンソニーが並んで続く。プラジュと銀狼も、テクテクとみんなに続く。スノーボールは、可愛くジェシカのリュックサックから顔を出し、ミルキーは私の肩にのっている。
歩き出すと、私達のようなリュックサックを背負っている人はいない。でも軽装でネズの木に囲まれた草原へと向かう人々が、何組かいた。観光用の馬車も、すぐそばを走って行く。
おはようございます。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!!
続きは11時台に「純愛……!」を公開します。
早起き特典
>> スペシャル情報 <<
Episode4の執筆を進めています!
溺愛ルートを突き進むEpisode3同様
Episode4でもクリスの溺愛は止まらない!
が、しかし!
最大の脅威にも見舞われます。
そのクライマックスのほんの一部を!
今回、特別にご紹介!
=== Episode4クライマックス ===
「クリス、どうして、クリス! クリス!」
衝撃でクリスの名を呼ぶことしかできない。
「ニーナ嬢。庭園を案内しますよ」
「やめて、手を離して」
=== Episode4クライマックス ===
溺愛ルートを進みながらの衝撃展開。
Episode4は甘々なのにスリリングという
かつてないストーリーが繰り広げられます!
ということで。
Episode3をお楽しみいただきつつ
Episode4にご期待ください!


























































