24:アミルこそ、女たらしでは?
朝食を終え、さらに準備をすすめると。
鏡に映る私の顔は、いつものニーナに落ち着いている。
屋敷のエントランスでクリスに会った時。
もちろん、心拍数は上がるが、これは正常運転。
問題なしだ。
こうして昨日から続いていた推しフィルターの異常事態も落ち着き、馬車に乗り込む。すぐに馬車が走り出し、するとアミルが口を開いた。
「みんな、昨日はありがとう。オレ、あんな風にみんなから誕生日を祝ってもらえるなんて……。初めてだった。とても楽しかったし、感動した。準備も大変だったと思うけど、協力してくれて、嬉しかった」
そこでアミルはウィルを見る。
「指令塔になり、準備から当日まで、指揮をとってくれて。ありがとう、ウィル!」
「大したことはしていない。喜んでもらえてよかった」
次にアミルは、アンソニーを見た。
「あのホールの使用許可をとり、調理人や召使いの応援を、ウィンスレット辺境伯にとりつけてくれて、ありがとう」
「こちらこそ。アミルの誕生日を祝えてよかったです」
続けてクリスに対しても言葉をかける。
「ローストビーフ、本当にうまかった。オレの串焼きが一番と思ったが、そんなことはない。さすがクリスだ。あとピアノ。あれはサプライズだが、とても嬉しかった。ありがとう」
「アミルの串焼きも、ソースを含め、美味しかったよ。本当に、おめでとう」
そしてジェシカに対しては……。
「バースディーケーキ、ありがとう。クラスメイトのみんなも喜んでいた。……良かったらその、また甘いお菓子、作って欲しいな」
そう言って頭をかくアミルの頬は、少し赤い。
まさか、アミル、ジェシカのことを……!?
「お安い御用ですよ、アミル様。焼き菓子を作るとなると、それなりの量になりますから。クッキーなんてみんなで食べないと、毎日クッキー三昧です。また作りますから。おやつで一緒に食べましょう」
ジェシカはニッコリ笑顔で応じる。
その笑顔に再び頬を赤くしたアミルだったが、すぐに私へと視線を向ける。
「ニーナ、ホールの飾りつけ、特に花のアレンジ。とても素敵だった。気に入ったから、いくつか部屋に持ち帰って、今もまだ飾っている。次の誕生日はニーナだ。その時は盛大に祝わせてくれ。本当はニーナの夫として、祝いたかったけど……。友として祝わせてもらうよ」
まったくアミルは。
アンジェラは、クリスを女たらしと言っていたが。
アミルこそ、女たらしでは?と思えてしまう。
ジェシカに頬を染めていたのに。
今度は私にさりげなく気持ちをぶつけてくるなんて。
でも、それがアミルらしいというかなんというか。
それにしても私の誕生日を知っているなんて……。驚きだ。
「誕生日パーティーは、アミルが自発的にやりたいと思ったことよね。楽しいことだから、やろうとしただけかもしれない。でもあれだけクラスのみんなが来てくれたということは……。きっとアミルは、クラスメイトと上手くいっていると思うの。これからも沢山友達を作って、素敵な恋人も見つけて頂戴ね」
アミルはじっと私を見て、それから力強く頷いた。
これで誕生日パーティーの件は終わったと思ったのだが。
「みんなからもらったプレゼント、夕食の後に開封したよ」
その言葉に全員がアミルを見た。
果たしてアミルは「男のロマン」を受け入れたのだろうか……?
「本当に、驚いた。クラスのみんなのプレゼントとは、明らかに違う。なんていうのかな……」
そこで考え込んだアミルは。
「オレの夢が詰まっていた」
……!
それって、「男のロマン」を受け入れた!?
「あの天体望遠鏡。早速、昨晩、空を眺めた。調整に少し手間取ったが、すぐに星や惑星を見つけた。とても美しかった……」
アミルがその時を思い出したのか、ウットリした顔で宙を眺める。
「分かる、分かる」とウィルとアンソニーが頷き、クリスはニコニコと眺めている。
「それにギターという楽器。オレは正直、楽器なんて演奏してことがない。だからこの楽器を弾けるようになったらって……夢が広がった」
ウィルとアンソニーはギターも喜んでもらえたと分かり、ホッとした顔をしている。
アミルはそこで何かを取り出した。
男のロマンにアミルは好反応!?
次回は明日、11時台に「オレの心をたぎらせた……!」を公開します!
引き続きよろしくお願い致します~
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